第10話 ふりがなって大事だね
こんにちは。草原守拙です。
歴史小説を読んでいると一番困るのが「人名」「地名」それと「難読漢字」の正しい読み方がわからない時です。
人名について言うと特に飛鳥時代までは現在の感覚で言うと「へんてこりん」な名前が無茶苦茶多くて「おい、キラキラネームかよ!」と思ってしまうものばっかりです。しかし、大体は初登場時に「ふりがな」「ルビ」がついていますので、わからなくなったらそのページに戻ればいいのですが、面倒くさいことは確かです。これが黙読でしたら、最悪の場合は適当に読み飛ばしてもいいのですが、わたしは現在、全ての書籍を絶賛音読中なので、やっぱり正しく読みたいのです。ですからいちいち戻って確認をしています。もし、ハルヒの文庫新刊が出ても音読しますよ。朝比奈さんでもね!
「人名」はまだいい方です。地名はどういうわけか「ふりがな」が最初からついていないものが結構あります。おそらく、飛鳥時代などは山の名前や川の名前、郡の名前など現代ではわからないので「ふりがな」をつけたくてもつけられない可能性もあります。ただ、わたしは作者でも編集者でも校閲者でもないので、本当の理由は分かりません。最近読んだ本で困ったのは「近江大津宮」で「宮」の字を「ぐう」と読むのか「のみや」と読むのか最後まで「ふりがな」がなかったので分かりませんでした。まあ、飛鳥時代ですから『大和言葉』だろうという考えで「のみや」で読み通しましたがね。
あと「郡」という文字ですね。現在の地名の読み方だと「ぐん」ですけど、小説によっては「こおり」と読ませる場合もあります。わたしの予想だと江戸時代までは「こおり」と読んだような気がしますが、正確にはこれも分かりません。
「難読漢字」については作者が自分の語彙力の多さをひけらかしているようでイヤですね。しかも「ふりがな」がふっていないと単なる嫌がらせとしか思えません。だってもっと平易な言葉に置き換えられるはずですもの。それが日本語のいいところではないでしょうか?
作者は「読めないなら辞典を引け」とか思っているでしょうが、わたしは貧乏ですから『国語辞典』も『漢和辞典』も手元にありません。本当でしたら『広辞苑』くらい日本人として持ちたいですよ。でも高くて買えません。
ネットで調べようにも、音がわからないから「部首」で調べるしかありませんが、読書中にいちいちネットで検索をかけるのはとてもかったるいですね。
出版社や作者はもっと「ふりがな」の重要性を知ってほしいです。
で、ネットニュースを見ていたら室町時代の禅僧という知識階級ですら『源平合戦』の武将の読み方がわからなかったり、鎌倉幕府の三代将軍の名前が読めなくて、わざわざ当時の超一流知識人である一条兼良に聞きに行ったという話が載っていて、今も昔も変わらないのだなあと感じました。
禅僧の一人は琵琶法師の謡う『平家物語』を聴いて、武将の名前を書き留めたり、明の国から来た人に、現地の発音を聴いて、それを日記に書き留めていたそうです。この記事読みました? やっぱり文字の発音って大事ですよね。語学学習だって「耳から覚えろ」とよく言います。
ところで「ルビ」ってどこから来たか知っていますか? 答えは宝石の「ルビー」で、イギリスでは活字の大きさを宝石の名前で表現していて、日本で「ふりがな」にちょうどいい大きさが「ルビー」だったそうです。これは電車のドアの上のテレビでやっていました。わたしより電車に乗る機会の多い皆さんは、知っていたかもしれませんね。要するに、これが知識のひけらかしです。湘南特急ではなく承認欲求です。
さようなら。
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