らす・べが~す①
ピロン!山本君からメッセージが来た。
「未希さん、明日パチンコ打ち行きません?」
「いいよ、何時?」
「俺、明日13時にバイト終わるんで13時半とかどうですか?」
緑で三つ目の宇宙服を着た宇宙人がリョウカイと言ってるスタンプを送る。
風呂に入りながら、明日への期待を含まらせる。打ってる姿を思うだけで、早くハンドルを回したい焦燥感とフライング気味の脳汁が少し漏れ出してくる。
いつもは一人だけど明日は久々に知り合いと打ちに行くから2人して買って楽しみたいな。私だけ勝っても焼き肉おごってやりたいから久々に本気で勝ちに行くムーブをすることにしよう!と固く誓って明日に備えることにした。
13時半、バイト先の「ミネルヴァ」がある駅の一つとなりの駅で待ち合わせをしていると、山本君が小走りで改札から出てくる。
「お疲れ様です!」
「おつかれ~、昼食べた?」
「食べてないです」
「じゃあ、臭いラーメン食べに行こうか!」
「くさい…ラーメンですか?」
山本君が何か言いたそうだったけど、四の五言う前に駅の西口の方に歩いて行く。
「着いたよ、ここ!」
「あーーあ、とんこつですか。確かに匂いは独特ですけど…」
豚骨ラーメンとパチンコがどんな関係があるのか疑ってるようだ。
「有名なパチンコが好きなおじさんが言ってたんだよ、負けた時は臭いラーメン食べて、兜の緒を締めて次の勝負で勝つと」
「いやそれカッコよく言ってますけど、芸人のネタですよね?」
「さあ、食べようか!!!」
山本君が意味わかんないこと言っていたが、麺をすすることにした。濃厚スープが麺と絡み合ってうまい!
ラーメンを食べ終わり、本日の目的であるパチンコ屋「らす・べが~す」に向かった。いざ入ろうかと思ったら山本君が
「すみません、お金おろすの忘れたので直ぐおろしてきます」
と言い、駆け足で隣のコンビニでおろして戻ってきた。その姿を見て私は確信した、今日は勝てると。
「山本君、あんた……いい打ち師になるよ」
「何ですか?急に」
「ATMに走ってお金おろしに行く奴はギャンブルの才能あるって昔から決まってんのよ」
またもや山本君はこいつ何言ってんだと言わんばかりの顔で見てくるが、パチンコの事で頭がいっぱいで眼中にない。
「暑いから早く入ろうか!!!」
「さっきから、勢いでごまかしてる感ありますけど、勝てれば何でもいいっす!」
そして私たちは、万札片手に握りしめ入店した。
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