ぴょん吉

 初めまして山本です。今日は未希さんが休みなので山本のバイト日常を日誌に書いていきます。女(未希)もすなる日記といふものを、男(山本)もしてみむとてするなりです!


「1パチのシン〇ォギアのところにかわいい女の子いる!山本君だったら、仲良くなれそう!」

 と内線ではしゃいでいるのは中堅社員の田中さんだ。パチンコに若くてかわいい女性客が来るのは珍しいから、男性スタッフの中では報告しあうのは義務になっている。

「マジすかっ!!後で見てきます!」

「了解!田中君ありがとう!」妻子持ちの店長もはしゃいでいる。


 今日未希さん居ないから、暇だな。田中さんが言ってた女の子でも見に行くか。

 客の出入りも少なくなり店内が落ち着いてきた15:30、巡回も兼ねてどれくらいかわいいのか見に行くか、と思っていたらお客様から呼び出しをされた。

「俺行きます」

「了解」


 呼び出しのお客様の台に向かうと、黒髪高めのツインテールで、黒のショートパンツを履き、ピンクのアイシャドウが良く似合う女の子がウサギのようにと飛び跳ね、髪を揺らしながら必死にアピールしていた。


 ああ、この子か田中さんが言っていたのは、少しメンヘラっぽいけどかわいいじゃん!しかもショーパンだから生足!!!いやーー、いい太ももしてるな。(男の内心はこんな感じです)

「お客様どうしましたー?」

「なんか、玉が出なくなって…」

 はいはい、裏づまりかもな。(字のごとく台の裏の玉の供給部分で詰まって、出なくなること、店員さんに裏づまりって言うとパチンコ慣れしてる感があってオススメ)

「じゃあ、一度見てみますね」

 一回ハンドルを回してみるか。ガチャガチャ、ガチャガチャ。と何度か回したら、玉が通常通り出るようになった。

「直りましたので、次からはハンドルを深めに回してください!」

「ありがとうございます!」

 いや、こちらこそありがとうございます!本当にかわいいし、小動物な感じが魅力的だな。


「あの、パチンコ好きなんですか?」

「はい、パチンコ好きです!」

「一緒ですね!俺も好きで気づいたら店員になってました」

 パチンコ打ちに来てる客にパチンコ好きか聞くのは愚問だけど、これで共通点一つ作れたな。この調子で仲良くなって…


「最初彼氏に連れてこられたんですけど、一緒に行くうちにハマっちゃって。今じゃ彼氏より来てます!」

「……、よく来てくれてるんですね、ありがとうございます!引き続きお楽しみください」


 女の人がパチンコを始めるきっかけの多くは、男の影響だ。タバコと一緒だ。分かっていたがもう止められなかった。男の影が少し見えていたけど、あえて見ないようにしていた。右手の薬指にリングしていたら、彼氏いますってことじゃん!


「田中さん…、あの女の子彼氏いるそうです」

「ごめん、彼氏と一緒に来てるの言い忘れてたわ」

 ちょ、田中さーーん。じゃあ、何でワンチャンいけそうとか言ったの。


                           文責 山本亮




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