僕は僕であれるのか

教室に帰って一瞬で席に着いた。

ふと思ったが制服はどうするんだ?明日から僕は男子の制服だが男子の制服でいいのか?まあ僕はいいけど。

担任が何も言わなかったらそれでいいや。

いやでも男子の制服のままだと逆に男装とか言われそうだしな…今日は優希の妹の制服借りてるけど…放課後担任に相談しよう。


放課後


制服の件については校長やその他諸々に相談しておいてくれるらしい。学校もこのような事は初めてなので戸惑っているようだった。


今日は帰りに優希の家へ行く予定だ。制服を返さなきゃいけないからな。ついでに優希の両親が僕を見たいと言ってたらしいので行ってあげることにした。小学生の時からお世話になってるしな。

ちなみに今日もいつも通り優希と一緒に帰っている。先に行ってていいよと言ったのに待っていたのだ。どんだけ僕と一緒に行きたいんだこいつ…とか考えてると

「って言うか日向俺の家来るの久しぶりだよな?」と突然話しかけてきた。うん確かに。めっちゃ久しぶりだ。

「そういえば6ヶ月くらい行ってなかったな。」と返答した。そういえば優希の家について一つ気になった事があった。この際なので聞いてみた。

「てかなんでお前はいつも自分の部屋じゃなくてリビングで遊ぶんだ?」

すると優希はこう言った

「んーじゃあ今日は俺の部屋で遊ぼっか。」

いや遊びに行くわけじゃないんだけどなぁ

あーいやでも遊びって名目で行った方がいいなあそこは。遊びに来た!以外の理由で行くとあのブラコンに絡まれるんだよなぁ…

そのブラコンとは優希の妹の雫である。かなり昔からの付き合いであるが、何故か僕に因縁を抱いているもよう。なんでやねんとツッコんでみたら、「アンタがお兄ちゃんを取ろうとするからでしょ!!」いやしてねぇし!俺拒否してるし!てか今思い出すとこれ伏線だったのか?なんて思いながら優希の家へ歩いて行った。


「ただいま」優希が先陣を切る。それに続いて僕も「お邪魔しま〜す」と優希の家に突入した!……久しぶりの優希の家を見渡す。まぁ6ヶ月しか経ってないしそんな変わってないよな。

「ただいま母さん」

「おかえり優ちゃん。あら?その子は…?もしかしてひなくん?」

「はい。早川日向です。本物です。」

「あらまぁ可愛らしくなっちゃって〜!ちょっと待ってね今雫呼ぶから」

え…呼ぶの?呼んじゃうの?俺死ぬかもしれないぞ?本当に殺されちゃうよ?

「雫ー!!ちょっと来なさーい!」

と優希ママは雫を呼んだ

「なにー?」と言いながら降りてきた。

「見てー!ひな君よ〜!」

「チッ」

え?舌打ちされた?今舌打ちされた?僕、名前呼ばれただけだよね?!しかもまだ雫に何も言ってないし!優希とも少し距離取ってるし!ま…まあいいだろう…ここは挨拶といこうか…

「よ…よう雫…げ…元気してたか…?」

「そんなことより!なんでアンタ女の子になってんのよ!今まではお兄ちゃんとは叶わない恋だと思って安心してたのに!本当にアンタは邪魔ばっかりしてくるわね!」

いやアンタも叶わぬ恋なんですが。なんかイラッとしたので言った。

「コイツと恋なんか天と地がひっくり返ってもしねぇわ!このど変態カスなんかとな!」

「はぁ〜?あんたお兄ちゃんになんて事言ってんのよ!ぶっ殺すわよ?!」

「いや怖ぇな!物騒なこと言ってんじゃねぇよこのブラコン!ほんと兄妹揃って変人だなお前らは!」

まぁ、いつもの事なのだ。ここに来るといつもこうなる。だから6ヶ月間行かなかったのかも。

「こらこら、2人とも落ち着いて。」と優希が言った。

「お兄ちゃんが悪いんでしょ!」

「お前が悪いんだろ!」

と雫と2人で叫んだ。優希は痛恨の一撃を食らったような感じで撃沈していった。その後すぐに「もういい!」と雫は自分の部屋へ帰っていってしまった。

いやいや待て待て、こんな事をしてしまったがそういえば雫に制服を返さなければいけなかった。どうしよう、雫はもう部屋へ帰ってしまったし…喧嘩しちゃったし…もう優希に持ってってもらうしかないか。

「優希、とりあえず部屋行かん?」

「あ、ああ。行こうか。」

とりあえず優希の部屋へ行く事になった。

優希パパが帰ってくるまで優希の部屋で待つ事になったのだが、正直めちゃくちゃ不安だ。何度も言うが僕は同性愛者ではない。

異性である女が好きなのだ。何度迫られても優希をOKするわけはない。これだけは絶対に譲れない。もしOKしてしまった時は僕は心まで女の子になってしまった証拠であるのでそのときは早急に処分してほしいところである。っと言うか何故優希は自分の部屋で遊ぼうとしなかったんだろう?とか考えつつ優希の部屋へ向かった。

「ここが俺の部屋だよ。さぁ入って!」

「おじゃましまー?!」

いやおかしい!僕の見間違いか?!いや見間違いであってくれ!

そこに広がるのは壁、天井一面に貼られた僕の写真。ワーユウキサンキモチワルイー

「お…おいお前なんだよ…これ…」

そんな内心を隠し一応聞いてみた。

「ん?何って日向の写真だよ!集めるの大変だったんだから〜!ハハハッ!」

「いやっ…気持ち悪い…もう帰るね…」

と僕は震えながら玄関の方へ向かおうとした。ところが優希に捕まり、

「日向くぅ〜ん?制服、まだ返してもらってないよ〜?」

「ヒッ!」

コイツ…制服を返してもらうって言う建前で僕の着てるもの無理矢理脱がす気か!?イヤッ!コイツコワイ!ボクニゲル!

「帰るんなら俺の部屋の隣の部屋で着替えてから帰ってね。」

どうやら杞憂だったようだ。なんかめっちゃ恥ずかしい。僕本当におかしくなっちゃった?

「あ…うん…」とりあえず僕は隣の部屋へ行った。

「さっさと着替えて帰ろう…」

すぐに着替えを済まして出ていこうとする僕はなんか見られているような気がした。

なんとなく優希の部屋の方を見てみると…

穴があった。まさか…いやまさかな…と思い穴から見えないよう近づいて覗いてみた。

そしたら目があった。多分心霊じゃなくて優希だと思う。うん。もうあいつはどうしようもないな。

「着替え終わったー?」と優希の声が聞こえてくる。ん?え?今あそこにいた…よね…?

え…?いやいや!優希だよな!そう!全部優希だ!と思い込むことにしたが、内心めちゃくちゃ怖かったので優希パパを待つ事も忘れてささっと優希の家を出た。



「いや〜ひなくん可愛かったわねぇ。」

「だよね母さん!んでどう?ちゃんと撮れた?」

「フフッ!ちゃんと撮れたわよぉ!ほら!」

「母さん…これ……足しか写ってないよ?」

「あら…ごめんなさいねぇ」

「まぁいいよ!次は絶対このカメラに収めて見せる!いつかな!」

「…お兄ちゃんとお母さん…それバレて訴えられたら捕まっちゃうよ?」

「バレなければいいんだろ?俺は絶対バレない自信があるぜ!」

「……アンタに同情するわ日向…」

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