Blue Night
静かな夜。隣に眠る愛する人の寝顔を見つめる。
意外なほど長い
あたしは声を殺して泣いた。
こんなにも近くに居るのに、手を伸ばしても届かないほど遠くにいて。
触れたいと思っても、触れる事は出来なくて。
『好きです』
………
『愛してます』
薄い障子を通して感じる柔らかい光に、あたしは朝が来たことを知る。
体を抱く腕は、眠る前と変わらず力強い。
少し肌寒い朝に、
隣に居る幸せ。
これまでの人生の中で感じたことのない、幸福な思い。
眠い目を擦りながら見上げると、央さんの優しい笑顔にぶつかった。
「おはよう…」
柔らかい微笑みと、優しい声。優しい手つきで髪を
「……おはようございます」
「ーー泣いたのか?目が赤い…」
央さんはあたしの目の縁をそっと指でなぞり、少し……ほんの少しだけ寂しそうに笑む。
あたしは嘘を吐く事は出来ず、でも正直に言う事も出来なくて曖昧に笑んだ。
……困らせてごめんなさい。
央さんにこんな顔をさせているのは、自分なんだと思うと泣けてくる。
ごめんなさい……
唐突に抱きしめられる。
強く。
央さんの胸に顔を埋めてあたしは思う。
一生……この想いを口にしたりはしない。他の誰かのことを想っていても構わない。
ただ……願うのは……
せめてこのままの二人で居させて欲しい……。
あたしから……この場所を奪わないでーー
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます