#20 風車をメーカー小屋にリノベーション

 ヒビキたちは、がけの上にある風車の中に入ってみる。

「風車は、発電・製粉せいふん・風速計などに使われる。かざぐるまと読むと、羽根車に柄を付け、風の力で回して遊ぶ玩具がんぐふくまれる。英語では windmill だが、millでわかるとおり、windmill は、本来は製粉の動力に使われるものを指す。また、風力発電などに使われる現代風の風車は wind turbine とよばれるが、日本語ではこれらを含めて風車と呼ばれることが多い」

「古くなった機械だから、動かない!」

すると、チララは風車が止まっている原因を解明する。

「そうだ!」

「バターを作るメーカーを設置してみよう!」

ヒビキとチララは、リノベーションのアイディアを生かす。

「ここをこうして…」

「できた!」

そして、

「ついに風車が動いた!」

メーカーが生み出す電力によって、風車は再び動いた。

 さらに、

「こちらは、チーズを作れるわ!」

「チーズは、伝統的ににゅう脂肪しぼう分離ぶんりしたバターと並んで、家畜かちくの乳からつくる保存食として牧畜ぼくちく文化圏ぶんかけんで重要な位置を占めてきた。日本語や中国語での漢語表記は、北魏ほくぎ時代じだい編纂へんさんされた『斉(せい)みん要術ようじゅつ』に記されているモンゴル高原型の乳製品加工の記述を出典とする乾酪かんらくである」

「ヨーグルトも作れます!」

「ヨーグルトは、乳原料を搾乳さくにゅうし利用する動物は専用のウシだけでなく、水牛、山羊、羊、馬、ラクダなどのにゅう分泌量ぶんぴつりょう比較的ひかくてきおおく、搾乳が行いやすい温和な草食動物が利用される。ヨーグルトに溜まる上澄うわずみ液は乳清という。ヨーグルトの起源はヨーロッパ、アジア、中近東にかけての様々な説があり、およそ七千年前とされる。生乳の入った容器に環境常在菌である乳酸にゅうさんきん偶然ぐうぜん入り込んだのがはじまりと考えられている。気温の高い地方では、生乳のままだとくさりやすいが、乳酸菌で乳を発酵はっこうさせると保存性がよくなる。イランなどでは乳を醗酵はっこうさせた後で乳脂肪分を分離し、バターを得ることも行われていた。ヨーグルトに相当する食品は世界各国に存在し、それぞれの国でさまざまな名称を持つ。欧米おうべいや日本において用いられるヨーグルトという言葉は、トルコ語でヨーグルトを意味するヨウルトに由来する。ヨウルトは攪拌かくはんすることを意味する動詞yoğurmakの派生語で、トルコにおけるヨーグルトの製法を反映している。イリヤ・メチニコフがブルガリアを訪れた際に、ブルガリア人が長寿ちょうじゅで有ることを発見し、その原因を現地の伝統食品であるヨーグルトであるとし、『ヨーグルト不老長寿説』を発表した事によって広まった。なお、日本語のヨーグルトという呼称は直接にはドイツ語のJogurtを由来とする。ヨーグルトが固まる原理は乳内のとう乳酸にゅうさんきんが分解し作り出した乳酸によって、乳が酸性にかたむくことで乳内のカゼインが固まることによる。pH4.6を超えた当たりから凝固し始める。乳酸菌は酸に対してある程度の耐性たいせいを持つため、他の酸に弱い雑菌ざっきん増殖ぞうしょくおさえて増殖する」

「ヨーグルトまでも、できちゃう!」

「マヨネーズは、たまご卵黄らんおうのみ使用するものと全卵を使用するものがある。元々は卵やオリーブ油などで作られるスペイン料理のソースの一種であり、現代ではサラダなどの料理における調味料として利用されている日本には油は加えないが類似の風味を持つ合わせ調味料である黄身酢きみすがある。日本国外で生産されたマヨネーズの多くは、日本の基準ではマヨネーズに該当がいとうせず、原産国ではマヨネーズという商品名にも拘らず、日本では表記できないため半固体状ドレッシングという分類で販売されている。日本の企業きぎょうが販売しているマヨネーズは、全卵タイプのものも存在するが、最も市場しじょう占有率せんゆうりつの高い製品は卵黄タイプである。一方、世界では全卵タイプのものが主流である。また、日本人の好みに合うよう菜種油なたねあぶら、大豆油などのくせのない植物油と米酢を主原料にしており、この点でも欧米のものとは風味が異なる。欧米の人々には、日本でマヨネーズを使用したピザが売られていることや、なんにでもマヨネーズを使用するマヨラーの存在は奇異きいに映るが、日本製のものを使用すると、理解を示すという。油分を少なくして、カロリーやコレステロールの摂取せっしゅを抑え肥満ひまん防止ぼうしうたった製品や、食物アレルギーへの配慮(はいりょ)から、卵を使用せずに大豆など植物性原料のみで作った大豆マヨネーズ、あるいは豆腐マヨネーズも販売されている。アメリカ合衆国では、Nayonaise がよく知られる。ただし、油分を少なくしたものや、卵を使わないものは、JAS規格から外れるため、JASマークの表示およびマヨネーズとしての販売はんばいはできず、半固体状ドレッシングやマヨネーズ風ドレッシングの品名で販売されている。マヨネーズには、多くの食用油と不飽和ふほうわ脂肪しぼうさんや酸が含まれている。卵や酢の影響で油臭あぶらしゅうさを感じないように工夫されているが、約七十パーセントが脂肪であって、カロリーが高く、一日あたり大さじ一杯以上のマヨネーズを食べることは、摂取者の体質にもよるが、一般的にはカロリー過多となり、栄養学上好ましくないとされる。登山中の遭難そうなん大地震だいじしんとうかいした建物内に閉じ込められるなど、非常事態から生還した人の中に、マヨネーズを摂取し続けて飢餓きがをしのいだという証言があることなどからわかるように、マヨネーズのカロリーは非常に高く、通常状態の人にとっては摂取量を考慮しなければならないレベルの高エネルギー食品である。アメリカの市販マヨネーズには、ホワイトソースと掛けあわせた製品などもあり、名前が同じマヨネーズでも組成は一様ではなく、食事療法に使用する場合には、個々の製品で成分の確認が必要となる。ロシアが、世界一マヨネーズを消費している。界面化学上は、O/Wエマルションに分類されており、水の中に油が分散している状態である。水は卵の中のわずかな水分、界面かいめん活性剤かっせいざいは、卵黄中のリン脂質である。マヨネーズを製造する際、O/WからW/Oに相転移すると、なめらかな食感は得られず、マーガリンのような、べたついた食感となる」

チーズ・ヨーグルト・マヨネーズを作るメーカーが完成したのだ。

「これで風車も復活したし」

「産業も活性化するね!」

これについて、ヒビキとチララはそう思うのであった。

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