虫取り大会~隠れた虫編~

 「ただいまから、虫取り大会を始めるのじゃ!」

木漏こもれ日林道に集められたヒビキたちは、カメじいの説明を聞く。

「今回のテーマは、バッタなのじゃ!制限時間内にどれだけつかまえたのかを競うのじゃ!」

こうして、虫取り大会が始まった。

「スコップで岩をたたいてみるのじゃ!」

カナタとジョンは、

「えいっ!」

スコップで岩をたたいてみると、

「ほいっ!」

「ムカデだ!」

「ムカデは、オオムカデやゲジなどを含め、あしの数が多く、運動性に富む肉食動物である。三千種以上が記載きさいされており、最古の化石記録はおよそ四億二千万年前の古生代シルル紀後期までさかのぼる。ムカデ類の体は縦長く、頭部と奇数対の歩脚が並んだ胴部どうぶからなる。胴部の前端ぜんたんは捕食用に特殊化とくしゅかしたあごあしがある。体長は微小びしょうな四ミリメートルから大型な三十センチメートルまであり、多くが五センチメートルに当たる。頭部は多くが腹背に扁平へんぺいで、四対の付属肢があり、前面に一対の触角しょっかくと下面に上唇や三対の顎などの口器がある。ゲジ類の触角は細長く、無数の環状節に細分されるが、他の群では多くが十数ないし数十節をもち、比較的ひかくてきに太短い。大顎は常に平板状の第一小顎におおわれて目立てない。第二小顎は細短い歩脚様の形をとる。背面は頭板に覆われ、眼の数と構造は分類群によってことなり、ナガズムカデ類は単眼一対・オオムカデ類は単眼最多四対・イシムカデ類は通常は多数の単眼が集約し・ゲジ類は真の複眼を有し・ジムカデ類は全てが無眼である。一部の群、例えばオオムカデ類とイシムカデ類にも無眼の種類がある。胴部は縦長く、前は顎肢をもつ一節、続いて脚をもつ奇数個の一連の体節、終端は生殖せいしょくに関わる二節と尾節からなる。頭部の次の胴部第一節には、毒腺どくせんを持ち、顎のような形になった捕食用の顎肢がある。往々にして "毒牙" や "顎" と紹介されてきたが、頭部に由来の顎ではなく、胴部由来の歩脚から特殊化したものであり、くちびるきゃく綱の名に現されるように、ムカデにおける最も重要な共有派生形質とされる。付け根は腹面全体を覆うもと胸板むないたで、ゲジ類のそれは左右二枚に区切れるが、他の群は左右癒合する。残りの部位は牙状きばじょうで、trochanteroprefemur・あとももぶしすねぶしくびすせつ・ungulum の五節からなり、毒腺の開け口は尖ったungulum の先端付近にある。ゲジ類以外の群では、跗節とungulum が完全に癒合して頑丈がんじょうなtarsungulum をなす。オオムカデ類とジムカデ類は、途中の後腿節と脛節は外側が途切れて第一節と第四節を会合させ、全てが一対の関節丘を共有する。残りの群では完全な後腿節と脛節をもち、特にゲジ類の顎肢は比較的に細長く、上下に湾曲わんきょくでき、歩脚に似通う形態を維持している。毒腺は通常では顎肢に収納されるが、ジムカデ類の中では毒腺が胴部に備わる例がある。神経毒をもつと考えられるが、その成分と仕組みに関してはほとんどが未解明である。顎肢を備える体節は通常では一枚の独立した背板をもつが、オオムカデ類では直後の第一脚と共に一枚の背板に覆われる。顎肢に続く体節には、それぞれ一対の脚をもつ節が並んでいる。発育異常の奇形や改形類の初齢しょれい幼生ようせいを除いて、脚の対の数はどの種も奇数である。脚は基節・転節・前腿節・後腿節・脛節・第一跗節・第二跗節の七節と一本の爪によって構成される。転節と前腿節の接続部は不可動である。ゲジ類の場合は非常に細長く、第一と第二跗節がむちのように無数の跗小節に細分される。対の数は分類群によって異なり、ゲジ類・イシムカデ類・ナガズムカデ類の成体は十五対、オオムカデ類では二十一ないし二十三対、ジムカデ類では数が最多で種によって異なり、少ない種でも二十七対から四十七対までを示し、多い種は百一対を超し、百九十一対まである。特にジムカデにおいては同種でも数は雌雄しゆうで異なり、左右非対称や偶数対(ぐうすうつい)の脚をもつ奇形もまれにある。最後の一対はやや特殊化した曳航えいこうあしであり、歩行には用いず、分類群によっては感覚・威嚇いかく・防衛・配偶はいぐう行動こうどう・頭部に擬態・移動中のバランスを調節するなどの役を果たす。一部の種においてははさみのような構造をもち、捕食に用いられるのではないかと推測される。脚のある体節は全てが腹背で腹板と背板に覆われ、両側は柔軟じゅうなんな関節膜に包まれて小さな側板がある。腹板はほぼ同規的であるが、背板の構造は分類群によって大きく異なり、ジムカデ類以外のものでは往々にして節ごと背板の形態が異なる。ゲジ類のは八枚に癒合ゆごうし・イシムカデ類はがかなり幅狭はばせまく・ナガズムカデ類は体節と合致しない二十一枚に細分され・オオムカデ類は第一枚が顎肢の節まで覆し・ジムカデ類は全ての背板がほぼ同規的で、分け目に幅狭い背板が占め込んでいる。特にゲジ類とジムカデ類以外の群では、第七節以前の偶数番目と第八節以降の奇数番目の背板が狭くなるという共通点をもつ。呼吸用の気門は脚をもつ体節にあり、その数と位置は分類群によって異なる。ゲジ類の気門は背甲の後端中心に並んでおり、本群のみを含んだ気門きもん亜綱あこうの由来となる。他のムカデ類では対になって体節の両側に備わっており、ゲジ類の気門とは別起源であると考えられる。オオムカデ類・ナガズムカデ類・イシムカデ類はほとんどが長い背板をもつ体節のみに気門を有するが、ジムカデ類ではほぼ全ての体節に気門をもつ。オオムカデ類においては前述の体制を覆い、ほぼ全ての体節に気門を有するPlutonium zwierleini という例外がある。曳航肢に続いて生殖に関わる二節があり、一部の群はその腹面から対になる生殖肢が見られ、雌雄によって構造が異なる。オオムカデ類の場合、これらの節は退化的で背側からは見られない。最後尾は尾節であり、anal valvesという肛門こうもんを覆う一対の板状構造をもつ。極地を除いて、ムカデ類は世界各地の陸上に分布し、熱帯雨林においては最も多様化している。多くが森林中の落ち葉・朽木くちき・石のうらなど湿度しつどの高い場所に住むが、草原・砂漠さばく洞窟どうくつ・海岸などに生息する種類もいくつかある。小型のもの、特にジムカデ類は土壌どじょう動物どうぶつとして生活しているものが多い。また、イシムカデ類における地表にも出るホルストヒトフシムカデと同所的に分布する土壌性の強いダイダイヒトフシムカデを比較すると判るように、地中にむ傾向の強い種は単眼数が少なかったり、無眼の場合もあり、あわい体色で、体毛が少なく、肢や触角が短い。地中や朽木の生活に特化したジムカデ類は無眼で、黄色や赤、白、緑などの体色を示し、非常に細長い体に短い足を多数持ち、土壌中をミミズのように穿孔せんこうする。つつくと尾端を頭部と擬態して後ずさりしたり、とぐろを巻くように体を丸める種が知られている。この類に属するヨコジムカデなど、地五メートルほどのえさとなる土壌生物の密度がうすい層からも得られることがあり、活発な垂直移動をしていると思われる種もある。オオムカデ類の小型種もほとんどは無眼で、土壌動物である。ムカデ類は多くが単独生活をする夜行性の肉食動物であり、顎肢を用いて獲物えものの体に毒を注入する。全般的には偏食性へんしょくせいのないジェネラリストと考えられるが、ヤスデを専門に捕食するヨロイオオムカデというスペシャリストな例も存在する。腐肉ふにくを摂ることもあり、人工飼育による観察ではえた場合は植物組織を摂食せっしょくする記録もある。オオムカデ類は多くが地表や樹上などを徘徊はいかい(はいかい)し、待ち伏せや偶発に遭遇した昆虫などの小動物を捕食する。特に大型種ではカエル・トカゲ・鳥類・ヘビ・ネズミ・飛行中のコウモリなどの小型こがた脊椎せきつい動物どうぶつさえ捕食することが知られている。イシムカデ類は、比較的短い体形で軽快に走り回り、小動物を捕らえる。徘徊生活に特化したゲジ類は滑るように素早く走り、鞭状の長い脚を投げ縄のように獲物をまとって捕食する。飛行をする昆虫も採食し、複数の獲物を持ちながらも移動できる。ジムカデ類は細長い体で地下生活に適しており、土中のミミズなどを捕食する。ナガズムカデ類の食性は明らかになっていないが、飼育下では朽木からシロアリをり出して捕食する行動が見られる。天敵として鳥類・爬虫類はちゅうるい哺乳類ほにゅうるいなどの脊椎動物せきついどうぶつ、および他の肉食節足動物などがある。ムカデ類を専門に捕食する肉食動物は、Aparallactus capensis というヘビの一種や Stigmatomma plutoというジムカデ類を好んで捕食するアリの一種が挙げられる。相手にみ付いて自衛する習性をもつが、どのムカデ類も刺激や危険にうと反撃よりは逃走をしようとする。一部の種は胴部の後端が頭部に似通う体色と触角らしい曳航肢をもち、これは頭部に擬態するものと考えられる。ヨロイオオムカデはヤスデに擬態し、頑丈な背板をもって動きが遅く、刺激しげきを受けるとヤスデのようにまとまる。イシムカデ類は後端数対の脚を上下にらして粘液ねんえき分泌ぶんぴつし、クモやアリなどの小型捕食者からの攻撃こうげきを防ぐ。ゲジ類では触角らしい曳航肢にあるほか、脚を付け根から自切するという防衛手段をもつ。また、オオムカデ類は後端数対の脚を挙げて威嚇することがある。繁殖は精包の受けわたしを通じて行い、雌は生殖肢を用いて雄の精包を拾う。雌雄はお互いの後端に向き合うように輪に囲んで、触角で相手の曳航肢にさわる配偶行動が知られる。卵生で、ゲジ類とイシムカデ類の幼生は孵化ふかから既に単独生活をするが、ジムカデ類・オオムカデ類・ナガズムカデ類の雌は育児習性をもち、卵と初齢幼生の世話をする。幼生の成長様式は分類群によって異なる。ゲジ類・イシムカデ類・ナガズムカデ類の初齢幼生は成体より少数の脚と体節で生まれ、成長するたびに脱皮を通じてその数を増やしていく。この特徴に因んで、これらのムカデ類は改形類としてまとめられてきた。ゲジ類とイシムカデ類は複数回の脱皮を通じて十五対に達するが、ナガズムカデ類は一回だけで十五対になる。オオムカデ類とジムカデ類は、孵化から既に成体の同様の脚と体節の数をそろい、整形類をなす」

と、ムカデを捕まえた。

「それっ!」

一方、ネネとミルは、

「一般にダンゴムシと呼ばれるものはオカダンゴムシである。広意の土壌に生息して分解者の役割を担い、土壌形成上、一定の役割を果たしているものと考えられており、食性と生態から自然界の分解者という要素が強い」

と、ダンゴムシを捕まえた。

 そして、

「タイムアップじゃ!」

ついに制限時間を迎えた。

「今回の優勝者は、五匹捕まえたネネなのじゃ!」

「やったね!」

今回の虫取り大会の優勝者は、ネネ。

「これを受け取るのじゃ!」

「おめでとう!」

ネネは、カメじいから金メダルを受け取ったのであった。

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