第89話 発覚!雪原の秘密

 ヒビキたちは、フローズン雪原での調査を続けている。

「ゴマプー!」

「みんな、久しぶり!」

「ゴマフアザラシは、アザラシとしては中型である。日本の水族館や動物園で最も多く飼育されているアザラシである。体長はオスで百七十センチメートル前後、メスで百六十センチメートル前後である。体重は七十-百三十キログラムほどになる。ゴマフアザラシを漢字で表すと胡麻斑ごままだら海豹あざらしとなる。この名からも分かる通り背面は灰色の地に黒いまだら模様が散らばっている。一方、腹面は薄灰色うすはいいろでまだら模様は少ない。体表の模様は個体差がいちじるしく大きい。せい成熟せいじゅく年齢ねんれいはオスで三歳、メスで四歳である。繁殖はんしょくは一夫一妻形式で四月に交尾する。約一年後の三月に流氷上で一子を出産する。授乳じゅにゅう期間きかんは約二週間である。新生児は白色からややクリーム色をした産毛に包まれて生まれてくる。この白色の産毛は流氷上で出産するゴマフアザラシにとって保護ほごしょくとなる。なおこの産毛は出産後約二週間でけ落ち、新生児も親と同じ胡麻斑模様になる。冬から春にかけては流氷とともに移動・回遊するアザラシであるため、冬のオホーツク海沿岸でよく見られる。流氷上で出産や育児を行う。流氷が消滅しょうめつし後退すると北上する個体が圧倒的に多いが、北海道東部のふうれんや野付半島などにとどまる個体もいる。寿命は三十年前後とされるが国内の水族館でも三十歳をえた個体が出産した例がある。国内の水族館で同じゴマフアザラシ属のゼニガタアザラシと交雑こうざつした記録がある。広食性で口に入るものなら何でも食べる。小型のタラ類、カレイ類、サンマ、ニシン、チカなどの魚類の他、イカやタコ、エビやカニなどの無脊椎むせきつい動物どうぶつも食べているらしく、飼育している個体にアジやサバ、キビナゴ、イカナゴ、ホッケなどを与える施設しせつもある」

そこに、ゴマフアザラシのゴマプーが現れた。

「こっち、こっち!」

ゴマプーに導かれたヒビキたち。

「ここだよ!」

「これは…」

「マンモスの化石だ!」

「マンモスは、現在は全種が絶滅している。現生のゾウの類縁るいえんだが、直接の祖先ではない。約四百万年前から一万年前頃までの期間に生息していた。巨大きょだいきば特徴とくちょうで、種類によっては牙の長さが五メートルに達することもある。日本では、シベリアと北アメリカ大陸に生息し、太く長い体毛で全身をおおわれた中型のケナガマンモス M. primigenius が有名である。実際にはマンモスは大小数種類あり、シベリア以外のユーラシア大陸はもとより、アフリカ大陸や南アメリカ大陸に広く生息していた。特に南北アメリカ大陸に生息していたコロンビアマンモスは、大型・短毛で、かつ最後まで生存していたマンモスとして有名である」

「すごく大きい!」

そこは、マンモスの化石がまっている場所だった。

「かつてここに、氷河ひょうががあったのかも!」

「氷河は、山がちな、または傾斜けいしゃした地形に、複数年にわたって氷や雪が堆積たいせきし、万年雪が圧縮されることでできる。下部には過去の氷期にできたものがけずに残っている場合もある。氷河は侵食しんしょく、堆積を活発に行い、独特な氷河地形を生む。地球の気温と氷河は密接な関係があり、海進、海退の原因となる。現在陸上に見られる氷河は、南極なんきょくひょうしょう、グリーンランド氷床を最大級として、総計千六百三十三平方キロメートル及び、陸地面積の約十一パーセントを覆う。近年は地球温暖化の影響でその面積やあつさの減少が激しく、問題となっている」

ゴマプーは、フローズン雪原が大昔は氷河だったと断定したうえで、

「ちゅぴ!」

「ちゅる!」

「ピカっとひらめいた!」

「氷河から雪原に変わった場所だ!」

と証明した。

「そうそう、リボーンマウンテンへ行く方法を教えてあげる!」

ゴマプーはヒビキたちにそう伝えると、

「ここの主を助けてほしいんだ!」

「どんな主なんだろう?」

「ワクワクしちゃう!」

と、ヒビキたちはフローズン雪原の主との対面を心待ちにしているようだ。

 一方その頃、

「外へ出ようか…」

アラシは、リボーンマウンテンの山頂にとどまってテントを張っていた。

「ぐっ、寒い…」

しかし、天気の急変もあってか、テントの中へと入るのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る