第76話 暗闇を乗り越えろ

 岩石の洞窟どうくつ探索たんさくしているヒビキたち。

「うわっ!」

「きゃっ!」

「みんな、大丈夫か!?」

すると、周りが真っ暗になってしまった。

 そこに、

「誰か助けてくれ!」

コウモリが金鉱石のモンスターにおそわれている光景を目撃もくげきした。

「金は、見かけは光沢こうたくのあるオレンジがかった黄色すなわち金色にかがやく。金属としては重く、やわらかく、可鍛性かたんせいがある。展性と延性に富み、非常にうすく延ばしたり、広げたりすることができる。同族のどうぎん比較的ひかくてき反応性はんのうせいに富むこととは対照的に、標準ひょうじゅん酸化さんか還元かんげん電位でんいもとづくイオン傾向けいこうは全金属中で最小であり、反応性が低い。金を溶解する水溶液としては、王水、セレン酸、ヨードチンキ、酸素存在下でのシアン化物の水溶液がある。熱水ねっすい鉱床こうしょうとして生成され、そのまま採掘さいくつされるか、風化の結果生まれた金塊きんかい沖積ちゅうせき鉱床こうしょうとして採集される。これらの性質から、金は多くの時代と地域で貴金属として価値を認められてきた。化合物ではなく単体で産出されるため精錬の必要がなく、装飾品そうしょくひんとして人類に利用された最古の金属で、美術工芸品にも多く用いられた。銀や銅と共に交換こうかん貨幣用かへいよう金属きんぞくの一つであり、現代に至るまで蓄財ちくざいや投資の対象となったり、金貨として加工・使用されたりしている。また、医療やエレクトロニクスなどの分野で利用されている。貴金属としては最も大きい。 金は単体では金色と呼ばれる光沢のあるオレンジがかった黄色の金属であるが、非常に細かい粒子状りゅうしじょうにすると黒やルビー色に見える場合があり、時には紫色むらさきいろになる。これらの色は金のプラズモン周波数によるもので、主に黄色と赤色を反射はんしゃして、青色を吸収する。このため、薄い金箔きんぱくを光にかざすと、反射と吸収の谷間にあたる緑色に見える。化合率が低めだが、合金が多く、頻繁ひんぱんに色が変わってしまう。展性・延性にすぐれ、最も薄く延ばすことができる金属である。一グラムあれば数平方メートルまで広げることができ、長さでは約三千メートルまで延ばすことができる。平面状に延ばしたものを金箔、金箔を和紙にって細く切るなど糸状に装飾しやすくしたものを金糸と呼ぶ。華美かび衣装いしょうを作るために、金糸は綿やきぬなど一般的いっぱんてき繊維せんい素材そざいと併用される。逆に大きな展延性が精密加工時や加工後の製品では、耐久性たいきゅうせいが悪いという弱点にもなる。他の金属と同様に合金とすることが容易である。合金化は金にとっては硬度こうどを上げることができ、他の金属にとっては伸長性が増し、本来の金色以外に変化に富んだ色調の地金とすることができる。銅との合金は赤く、てつは緑、アルミニウムは紫、ガリウムやインジウムは青、パラジウムやニッケルは白、ビスマスと銀が混ざった物では黒味を帯びた色調になる。自然に存在する金には通常、十パーセント程度の銀が含まれており、銀の含有率がんゆうりつが二十パーセントをえる物はエレクトラム、青金または琥珀こはくきんと呼ばれる。さらに銀の量を増やしていくと、色は次第に銀白色になり、比重はそれにつれて下がる。金は熱伝導、電気伝導ともに優れた性質を持ち、空気では浸食しんしょくされない。熱、湿気しっき、酸素、その他ほとんどの化学的腐食に対して非常に強い。そのため、貨幣の材料や装飾品として古くから用いられてきた。一方、金はある特殊とくしゅな条件下で化合物を生成する。金化合物は一般的に熱力学的に不安定であり、光の作用により分解し、単体の金を遊離ゆうりしやすい。合金中において金はイオン化したとしてもただ(ただ)ちに他の金属によって還元かんげんされ、添加てんかされた金属は酸化される。このことも金は安定的と言われる所以ゆえんになっている」

「行こう!」

「うん!」

現場に向かうと、金鉱石のモンスターにとらわれたコウモリの救出作戦が始まった。

「よし、やってみよう!」

「何が起こるかわからないけど、行っちゃえ!」

カナタとネネは力を合わせて、

「ウッドインパクト!」

「シャインマジック!」

ジョンとミルの魔法まほうによって、モンスターを倒した。

「コウモリ目は翼手目つばさしゅもくともいう。約九百八十種が報告されているが、その種数は哺乳類全体の四分の一近くをめ、ネズミ目に次いで大きなグループとなっている。極地やツンドラ、高山、一部の大洋上の島々を除く世界中の地域に生息している。コウモリ目は翼をもち、完全な飛行ができる動物である。前肢が翼として飛行に特化する形に進化しており、多くの鳥類と同様、はばたくことによって飛行するが、コウモリの翼は鳥類の翼と大きく構造が異なっている。鳥類の翼は羽毛によって包まれているが、コウモリの翼はまくと呼ばれる伸縮性のある膜でできている。哺乳類ほにゅうるいでは、他にもムササビ、モモンガ、ヒヨケザルなどの飛膜を広げて滑空かっくうする種が知られているが、鳥類に匹敵するほどの完全な飛行能力を有するのはコウモリ目のみである。コウモリの前肢ぜんしは、親指が普通の指の形で鉤(かぎ)つめがあることをのぞけば、すべて細長く伸びている。飛膜はその人差しゆび以降いこうの指の間から、後肢の足首までを結んでいる。うでと指を伸ばせば翼となって広がり、腕と指を曲げればこれを折りたたむことができる。さらに後ろ足と尾の間にも飛膜を持つものも多い。また、鳥と異なり、後ろ足は弱く、立つことができない。休息時は後ろ足でぶら下がる。前足の親指は爪があって、排泄はいせつなど、この指でぶら下がることもできる。また、場合によってはこの指と後ろ足でい回ることができる。ココウモリ類は超音波ちょうおんぱを用いた反響定位を行うことでよく知られている。種によってことなるが、主に高周波を出し、その精度はかなり高く、ウオクイコウモリのように微細びさいな水面の振動しんどうを感知し、水中の魚をらえるものまでいる。コウモリの存在する地域における夜行性の昆虫こんちゅうやカエルなどは反響定位対策となる器官や習性を持つものも多く、その生態系ニッチの大きさがうかがえる。ただし、大型のオオコウモリの仲間は反響定位を行わない種が多い。哺乳類は一般に大型のものほど長命であるが、コウモリ類は身体の大きさの割に非常に長生きで、体重数十グラムにすぎぬキクガシラコウモリが二十年以上生きた例も有る。これは、空を飛べて夜行性であるために天敵が少なく、死亡率が低いこと。空を飛ぶという制約から高い繁殖力はんしょくりょくを持てず、充分な数の子孫を残すには長命になるしか無かったこと。そのためと考えられる。竹竿の先に鳥黐とりもちを付け、それを振ってコウモリをおびき寄せ、接着させて捕獲することができる。しかし、コウモリは狂犬病きょうけんびょうをはじめとする様々なじんじゅう共通きょうつう感染症かんせんしょうのキャリアとなりうるため危険性がある。熱帯においては、花のみつ花粉かふんを食べる種があるため、それに対する適応として花粉の媒介ばいかいをコウモリに期待する、コウモリ媒の花がある。コウモリは目の前の獲物えものだけでなく、次の獲物の位置も先読みしながら最適なルートを飛んでいる」

「助けてくれたことに感謝している。俺様はシャドウ。イーヒッヒッヒッヒヒ」

シャドウはヒビキたちに挨拶あいさつすると、

「さあ、ハミングタウンに帰ろう!」

「おう!」

ヒビキがスマートフォンで転送アプリを起動して、ハミングタウンに帰ったのであった。

 すると、

「ちゅぴ!」

「ちゅる!」

真っ暗になっていた洞窟に光が差し込んできた。

「そこを抜けると最深部だ!」

「うん!」

ヒビキたちは、洞窟の最深部へと向かうのであった。

 一方その頃、

「作戦の準備は進んでいるのか?」

「ああ」

「さすがだな」

洞窟の最深部には、アラシと魔王がいた。

「お前に伝えたいことがある。もしこの作戦が失敗してしまうとお前の命にかかわる危機におちいることを、きもめいじてほしい」

魔王はこう言い残して、どこかへと去っていった。

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