インディゴ地方の冒険

第69話 水辺の道を進め

 ヒビキたちを乗せたトリップ号は、インディゴ地方にたどり着いた。

「ちゅぴ!」

「ここは、にじいろたきへと向かう道だ」

り立った場所は、虹色の滝へと通じる名水の小道である。

 すると、

「助けてちょうだい!」

花の生き物がアメーバのモンスターにおそわれている光景を目撃もくげきした。

「典型的なアメーバは、幅広はばひろい仮足を、持ちからを持たないものである。古くはそのほとんどをアメーバ属に所属させたが、現在では様々な属に細分されている。代表的な種としてはオオアメーバがある。和名としてはアメーバが使われるが、かつてはアメムシというのがあった。大型のものは一ミリメートルをえるが、多くは約五十ナノメートル程度である。細胞さいぼう内には核があるが、単核のもの、多核のものがあり、分類群によって異なる。細胞の後端あとはしには円盤形えんばんがたの収縮胞が一つある。アメーバは基本的に鞭毛べんもうや繊毛をもたないが、移動の際は細胞内の原形質流動によって、進行方向へ細胞質が流れるに従い、その形を変えるようにして動く。この運動をアメーバ運動という。この時に原形質流動によってき出される部分を、足になぞらえて仮足または偽足ぎそくという。仮足の先端は幅広く丸くなっており、プラズマレンマという透明とうめいな層が見られる。細胞体は透明で、体内には多数の顆粒かりゅうが見え、特に内部の層では運動にしたがってそれらが流動するのが見られる。また、進行方向の反対側の端は、内部の細胞質が前方に流れるにつれて縮んでゆくが、その部分に独特の突起を数個、常にたばのようにしてつけるものがあり、これを原形質突起という。アメーバ類は原形質流動によって移動し、そのため外見が変わり続けるため、一生の内で二度と同じ形を取らないなどと言われることもある。しかし、一般いっぱんに言われるようなまったくの不定形ではなく、おおよその形は属や種によって決まっている。環境条件や状況によって型を変えるものもあるので、これらの違いが種のちがいであるとは必ずしも言えない。さらに仮足の形質や核の構造などによって細かく分類されている。しかし、同一種内でも、系統けいとうによる差がいろいろあるようで、難しい点もあるようである。無殻アメーバは、大型アメーバと小型アメーバとに大別することができる。大型のものは、一般に静かな淡水たんすいに多く、水中の落ち葉や水草の上などをはい回って生活するものが多い。水田などでもよく見られる。また、浮上ふじょう形態けいたいと呼ばれる太陽虫のような姿もしばしば見ることができる。仮足を長細く十〜数十本伸ばして浮遊する。小型のものは、土壌中どじょうちゅう(に住むものが多く、土壌微生物を培養ばいようすると、寒天培地の表面に出てくる。土壌が乾燥化かんそうかするとシストと呼ばれる丸くて不活発な形態に移行し、乾燥にえる。これを耐久性たいきゅうせいシストと呼ぶ。耐乾性にとぼしい擬似シスト、あるいは増殖ぞうしょくシストと呼ばれるものもある。また、一部のアメーバでは有性シストを形成するものがある。大型のものはシストを形成する種が比較的ひかくてきすくない。シストのあつまくは用がむと脱ぎてられる。また、他の動物に寄生生活をするもの、寄生生活と自由生活の両方を行うものがある。後者は両生アメーバと呼ばれる。繊毛せんもうちゅうとうの他の微生物を食べて生活する。食べる時は、仮足でえさを包むようにして、細胞内に取り込む、いわゆる食作用を行なう。取り込んだ餌のはいる空胞を食胞といい、この中で消化が行われ、栄養分は膜を通して吸収される。アメーバは分裂ぶんれつによって増殖する。これまで典型的なアメーバでは有性生殖が観察されていない。実は本当に有性生殖ゆうせいせいしょくを欠いていて、それが系統による形質の差ともかかわりがある、という可能性が示唆しさされている。人間との関わりはほとんどない。名ばかり知られているが、一生その姿を見ない人も多いと思われる。ただし一部には病原性のものがある。赤痢せきりアメーバはヒトのちょうに寄生し、赤痢に似た症状のアメーバ赤痢を引き起こす。アカントアメーバは普段は土壌やみずまりに棲息せいそくしているが、コンタクトレンズの保存液中で繁殖はんしょくして激しい角膜炎かくまくえんをおこし、失明にいたることがある。アカントアメーバやBalamuthia mandrillarisはアメーバ性肉芽腫せいにくがしゅせい脳炎のうえんを引き起こすことがある。また、ネグレリア・フォーレリは原発性アメーバせい脳髄のうずい膜炎まくえんを引き起こす。また、様々な自由生活性アメーバがレジオネラ症の病原体の繁殖宿主として働いていることがわかっている。アメーバのように鞭毛や繊毛を持たずに仮足を備える原生生物は、かつては原生げんせい動物門どうぶつもん肉質にくしつむしつなに分類されていた。アメーバ類は、その中で仮足の種類や殻の有無などに注目して分類され、典型的なアメーバをアメーバ目としてまとめていた。しかし次第にこうした運動様式や外形に着目した分類体系は生物の系統を反映しておらず、肉質虫類は多系統的な群であると考えられるようになった。多細胞動物をふくむさまざまな細胞がアメーバ運動をすることから、アメーバ運動は細胞の持つ古い基本的な形質である可能性が考えられる。もしそうであれば、肉質虫やアメーバを一つの仲間と見ることは、先祖形質を共有することで分類群をまとめようとすることであるから、無理があるのは当然だと言うことになる。これについては肉質虫の項を参照。電子でんし顕微鏡けいびきょう観察かんさつ分子ぶんし系統けいとう解析かいせきによってアメーバ類の分類体系は大きく変革されつつある。二〇〇〇年代に入ってからの分子情報の蓄積ちくせきと解析手法の成熟せいじゅくによって得られた骨子こっしは、大まかにいってアメーボゾアとリザリアとに二分するものである。かつてのアメーバ目のように葉状仮足をもつアメーバ類はねん菌類きんるいと合わせてアメーボゾアに、それ以外の多くのアメーバ類は他の様々な肉質虫類と一緒にリザリアなどに分けられている。しかし細部についてはなお不明確な点が多く、今後いっそうの研究が待たれる状況である」

「行こう!」

「うん!」

現場に向かうと、アメーバのモンスターにとらわれた花の生き物の救出作戦が始まった。

「私に任せて!」

サクラは、ルビーのマジカルジュエルを魔法まほうの筆にセット。それをモンスターに向けてると、

「リボンチェーン!」

スライムはラビカの魔法によって拘束こうそくされた。

「決めるなら、今しかない!」

ヒビキは、サファイアのマジカルジュエルを魔法の筆にセット。それをモンスターに向けて振ると、

「ジュエリーレイン!」

チララの魔法によって、モンスターを撃退することに成功した。

「助けてくれてありがとう!私はフローラ!」

フローラはヒビキたちに挨拶あいさつすると、

「さあ、ハミングタウンに帰ろう!」

「はい!」

ヒビキがスマートフォンで転送アプリを起動して、ハミングタウンに帰ったのであった。

 それから、

「あれは!」

「三葉虫の化石だ!」

「三葉虫は、分類学上は三葉虫綱とされ、古生代を代表する海生動物であり、化石としても多産し、示準化石としても重視される。古生代にのみ生息した節足動物である。多数の体節を持ち、各体節に一対の付属ふぞくあしが備わっていたと考えられている。甲羅こうらの特徴は、縦割りに中央部の中葉とそれを左右対となってはさむ側葉となっており、この縦割り三区分が三葉虫の名称の由来となっている。また、頭部、胸部きょうぶ尾部びぶといった横割りの体区分も認められる。頭部と尾部は複数体節の癒合でできている一枚の"甲羅"におおわれ、胸部は六十超の甲羅で構成されている。脱皮の場合、頭部は最大五つのパーツに分割される。付属肢は全てが体の下に覆われる。中葉はアーチ状に盛り上がり、側葉の内側は平坦へいたんである。より派生的なグループでは側葉の外側が腹側へと傾斜けいしゃする傾向を持つ。このため、三葉虫が腹側へと丸まった時に胸節側葉部の外側域が重なり合い、甲羅で生体部を覆うこととなる防御姿勢の構築が可能となり、一部の種ではほぼ球状に丸める。頭部には、通常複眼が左右に一対あるが、頭部に対する相対的なサイズはさまざまであり、目を退化消失した種もさまざまな系統で知られている。目のレンズは全身の外骨格と同じ方解石という鉱物こうぶつでできており、多数の個眼を持ち、その数は数百に及ぶ。ほとんどの種では正面と両側面の視覚がすぐれていたことが明らかにされている。口は頭部中葉域の腹側にあり、より腹側にある石灰質のハイポストーマという現生節足動物の上唇にあたる構造で覆われた状態であったと考えられている。そのため、開口部は体の後方を向いていたと考えられている。三葉虫を含んだArtiopoda類全般にあたる特徴として、頭部に含まれる体節数は少なくとも五節があり、それに応じて少なくとも四対の付属肢が先節直後の第一~四体節に配置される。ハイポストーマを付属肢由来と考えれば、これは先節由来の付属肢となる。触角しょっかくのぞいて頭部・胸部・尾部の付属肢間で形態的差異はほとんどなく、触角直後の頭部付属肢でも現生の大顎類だいあごるいの顎のように特化してることはない。触角以外の付属肢は基本的に二叉型ふたまたがたであり、主に歩行に用いたとされる腹側の内肢と、基部の肢節から外側へと分岐しくし歯状しじょうの部位を有する外肢で構成される。また、それぞれをきゃくえらとして機能的観点からの呼称を用いるケースが多いが、これは形状のみに立脚する研究を行う古生物学にとって多くの混乱を産み出す要因となっているとのコメントもある。顎はないが、歩脚の基部は内側に向けてみ合わせた顎基というきょ歯状しじょうの突起をもつ場合が多い。現在、発見されている三葉虫の化石のうちで最も大きいものは全長六十センチメートルもあり、小さいものは一センチメートルに満たない。また、幼生ようせいの化石も発見されている。幼生は胸部の体節が少なく、成長につれて体節を増やしたことが考えられる。また、ノープリウスに近い形の浮遊性の幼生らしいものも発見されている」

ヒビキたちは、道の途中で三葉虫の化石を見つけたのであった。

 一方その頃、アラシも名水の小道にいた。

「忠告しておく。ここを抜けて滝にたどり着くには、そう簡単にいかないことを…」

アラシはこう言い残して、どこかへと去っていった。

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