第68話 虹をさがして

 新たなクリスタルの情報を伝えるべく、ヒビキたちはトリップ号に戻ってきた。

「次のクリスタルがある場所を見つけたぞ!」

「どこにあるのだろうか?」

「気になる!」

すると、

「場所は、インディゴ地方だ!」

ブリーフィングルームのモニターに、インディゴ地方の写真が写った。

「ここは?」

「せせらぎ川の上流であるにじいろたきだ!」

ゼルコバ博士は、虹色の滝がせせらぎ川の上流だと明かす。

 そのうえで、

「運がよければ虹が見えるかもしれない。中には、夜中に出てくる虹があるからね」

と、虹について語った。

 「あっ、あれを見て!」

すると、トリップ号のまどしから何かが見えた。

雷雲かみなりぐもだ!」

「雷雲の別名である積乱雲は、積乱雲の鉛直えんちょく方向ほうこうの大きさは雲の種類の中でも最大であり、雲底から雲頂までの高さは一万二千メートルを(こ)えることもある。また、他に雷雲入道雲などの言い方がある。国際雲図帳における十種類の基本雲形の一つに数えられる。積乱雲は、積雲と共に対流雲に分類され、ラテン語学術名はcumulusとnimbusを組み合わせたCumulonimbusで、略号はCbである。積乱雲は、雲の輪郭りんかくがハッキリとしている。雲頂部は、水滴よりも光の反射率はんしゃりつが高い氷のつぶ(でできていることが多いために、雲の上部は太陽光をよく反射して明るく見えることが多い。反面、背の高い雲であるために雲底は非常に暗い。雲の下部や雲底よりも下では、激しい雨、場合によっては、あられひょうることもある。積乱雲による降水量こうすいりょうは、乱層雲による雨と比べて格段に多く、短時間で大量の雨を降らせる。さらに、積乱雲は帯状に連なって発生する場合もあり、集中しゅうちゅう豪雨ごううの原因ともなることがある。また積乱雲は対流雲であるために気流も激しく、雲の近くにはダウンバーストと呼ばれる冷たい突風がもたらされる場合もある。さらに、雲の中では激しい気流によって雲を構成する粒子りゅうし衝突しょうとつして静電気が発生し、導体ではない空気を以ってしても絶縁ぜつえん不能ふのうなほどの高電圧にまで帯電し、結果、雲の内外において空中放電が発生する。これが雷であり、積乱雲の内部だけに留まった放電を雲内放電と言い、これによって積乱雲が光って見えることもある。なお落雷とは、この放電が地上まで届いたものを指す。この他、まれに積乱雲は漏斗ろうとぐも(ぐも)を伴って竜巻たつまきを引き起こすなど、激しい気流を伴う場合もある。以上のように、しばしば激しい気象現象を引き起こすことがあるため、防災の観点からは警戒が必要な雲である」

「そこは危ない!」

「気を付けて!」

雷雲をよけると、インディゴ地方が見えてきた。

「準備はいいか?」

「はい!」

「さあ、出発だ!」

ヒビキたちを乗せたトリップ号は、インディゴ地方へと飛び立っていった。

 一方その頃、

「なぜこのタイミング?」

侵入者しんにゅうしゃを出すことを防ぐためだ」

アラシと魔王まおうは、虹色の滝にいた。

「なら、仕方がないか…。その通りなら許してやろう。引き続きここを見張っておくれ。ぐはははははっ!」

魔王は嵐にこんなメッセージを残して、どこかへと去っていった。

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