第5話 雑草は口に苦し?

 ヒビキたちは、ゼルコバ博士とリアからの依頼いらいを引き受ける。

「どうやら、ここは雑草ざっそうが生いしげっているようだ」

「雑草は、特定の分類群を示すものではないが、人間の活動、操作そうさで強く攪乱かくらんを受けた空間を生息場所とする点で、共通の生態学的特性を共有することが多い。転じて、重視されないがたくましい存在、悪く言えばしぶとい存在として、比喩ひゆに用いられる。これらは、分類上は多種多様な植物からなる群であるが、シダ植物で雑草と見なされるものはきわめて少ない。裸子植物らししょくぶつ皆無かいむである。被子植物でも、イネ科・キク科のものがかなりの部分をめる。これらは、被子植物の中でも進化の進んだグループと見られており、帰化植物も多い。これは、人間の生活せいかつ範囲はんいに密着している植物であるがゆえ、ある意味で当然であると言える。また特定の栽培植物には、それに対応する雑草が存在する場合がある。繁茂はんも状況じょうきょうによって、これらに付随ふずいして生息する動物群も存在し、カやハエや昆虫こんちゅう、それらをえさにするクモなどの節足動物・ネズミ等の小型こがた哺乳類ほにゅうるい・小型の鳥といった小動物が生活する格好の場所を提供ていきょうする。しかし雑草によって、人間の活動にとって害虫が発生する元にもなる。日本語では種の名称に、ある種のさげすみをふくんだものが用いられることもある。例えば、動物の名前をかんすものや、迷惑感を示すものなどがある。そのほかハキダメギクやヘクソカズラといった有難からぬ名前を付けられた種もある。これは、人間にとって有用でない、あるいは一般いっぱんには取るに足らない存在と捉えられていることから名付けられた。雑草の研究は、雑草の駆除くじょや管理を対象に進められてきた」

「このままでは、野生動物の住処すみかうばわれてしまう。何としてでもかなければならない」

野生動物の生息環境を守るため、雑草を抜こうと奮闘ふんとうするヒビキたち。

 すると、

「これは、薬の材料になりそう!」

ナツは薬に使えそうな雑草を見つけた。

「僕は医者をこころざしているけど、これはどんな成分が持っているのかな?」

「傷口にってみると、いたみがなくなるかも!」

「ケガをしたときに、直ちに使えそう!」

自然界における大発見したナツとケンタ。そんな中、

「そうそう、君にこれをあげよう!」

ナツはケンタにあるものをわたす。

「これは?」

「緑にかがやくエメラルドのマジカルジュエル!」

「エメラルドは、和名は、すいぎょくりょくぎょくである。内部に特有の傷が無数にあり、これが天然ものの標識ともなっている。大きく傷の少ない方が高い価値で、明るくい緑色のものが最上級である。エメラルドは天然で良質の石がほとんど産しないため、かなりの傷物も宝石ほうせきとして流通させることが一般に認められており、オイルや樹脂じゅしひたすなど化学的処理をほどこして傷を隠したり、石の耐久度たいきゅうどを高めたりする。特に無処理、ノンオイルとの関係がない限り、処理を施してあると考えてもよい。処理が下手な場合、時間の経過とともにオイルが蒸発する、かなり高度な処理でも、近年宝石店の店頭でも盛んに行われている超音波ちょうおんぱ洗浄機せんじょうきでオイルが抜けることがあり、本来の傷物の姿にもどる。また、中には黄緑色をした石もあるが、エメラルドとしてあつかわれず、ヘリオドール、グリーンベリルなどと呼ばれ価値も大きく下がる。発色の仕組みも鉄イオンが関係しており、クロムやバナジウムで発色するエメラルドとは原理がことなる。これらの石は加熱処理によりアクアマリンへ変色させることができる。モース硬度こうどではかなりかたい石だが、内部に多数の傷をかかえているという結晶けっしょうの性質上、衝撃しょうげき極端きょくたんに弱い。指輪の台に取り付けるだけで割れることもあり、職人も驚く石とされる。エメラルドカットと呼ばれるカットがされることが多いが、これは屈折くっせつりつがダイヤモンドのように高くなく、ブリリアントカットを施しても屈折率の高い石に特徴的とくちょうてききらめきが見られないため、印象的な緑色をより広く見せようとした結果である。石のもろさや六角柱をした結晶から取り出せる大きさなどとの関係から、なるべくけやすい角が少なくなるカットが生まれた。透明とうめいの低い石の場合はカボション・カットが施されることもある。まれにキャッツアイ効果の現れるエメラルド・キャッツアイやスター効果のあるスターエメラルドが産出されることがあるが、非常に希少きしょうである。トラピチェ・エメラルドと呼ばれる均等に放射状ほうしゃじょうに六つに割れた一見スターにまぎれている石もあり、これも非常に希少である。同じベリルに属するレッドベリルをアメリカの宝石業界がレッドエメラルドと呼ぶよう他国と激しい議論を重ねているが、本来エメラルドには『緑色の』と言う意味があるためこの名称は正しくないと考える人もいる。ベリルの語源であるギリシア語beryllosにも『海のような青緑の石』という意味がある」

「ありがとう!これでナツとの魔法まほうが出せる!」

ケンタは、エメラルドのマジカルジュエルを手に入れた。

「早速、薬を作っていい?」

「うん!」

ナツとケンタは、雑草を使った薬を開発する。

「できた!」

「これは、うまくいったかも!」

しばらくすると、傷薬が完成した。

 「ただいま!」

「お帰りなさい」

ヒビキたちがトリップ号にもどってくると、ゼルコバ博士とリアが待っていた。

「ここの雑草は、すべてむしった?」

「はい!」

「そして、雑草から薬ができるという大発見があって…」

「へぇ、そんな発見があったわね!」

雑草は、ただ抜いててるのではなく活用法があることをケンタとナツが証明した。

 その日の夜の出来事。

「キャー!誰か助けて!」

突然、そよ風高原に女の子のさけび声が聞こえてきた。

「大変だ!あやしい予感がする」

チララの言葉をたよりに、ヒビキたちは現場へと向かうのであった。

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