第2話 平和を守る世界樹

 ハミングタウンにあるおやしろから放たれた光によって、どこかに導かれたヒビキとチララ。

「ここは、どこなのか?」

「空にかんでいる島だ」

ヒビキとチララは、ニュートピアの上空に浮かんでいる島だと気づく。

 すると、

「よくここまで来たのじゃ」

木の上から、フクロウの化身であるこの島の長老ちょうろうが現れた。

「フクロウは、別名ウラルフクロウである。夜行性であるため人目にれる機会は少ないが、その知名度は高く、森の物知り博士、森の哲学者てつがくしゃなどとして人間に親しまれている。木の枝で待ちせて音もなく飛び、獲物えものに飛びかることから森の忍者と称されることもある。全長は五十五センチメートル、翼開長は百センチメートル、尾長は二十三センチメートルである。日本のフクロウ類ではシマフクロウ、ワシミミズク、シロフクロウに次いで大きく、ハシボソガラスと同じ程の大きさ。体重はオスが七百グラム、メスが九百グラムである。尾羽は十二枚あり、褐色かっしょく横斑よこまだらがあり、やや長く扇形おうぎがたである。上面は褐色の羽毛でおおわれ、のう褐色や灰色、白い斑紋はんもんが入る。下面は白い羽毛で被われ、褐色の縦縞たてじまが入る。顔は灰褐色の羽毛でおおわれ、顔を縁取ふちどる羽毛はハート型である。つばさは短く、幅広はばひろい。翼下面よくかめんたん褐色かっしょくの羽毛で被われ、黒い横縞が入る。雌雄しゆう同色どうしょくである。平たいお面のような顔で、頭は丸くて大きい。目は大きく暗闇くらやみでも物がよく見えるように眼球がんきゅうが大きく発達し、眼球とまぶたの間に半透明はんとうめいしゅんまくがあり、日中は眼球を覆い網膜を保護ほごする。角膜は大きく盛り上がり、網膜もうまく細胞さいぼうが発達している。目は、他の種類の鳥が頭部の側面にあるのに対し、人間と同じように頭部の前面に横に並んでいる。虹彩こうさいは黒や暗褐色である。くちばしは先端がするどく、視野の邪魔じゃまにならないように短く折れ曲がっていて、色彩は緑がかった黄褐色である。あしゆびは羽毛で被われ、指が前後二本ずつに分かれていて、大きな指の先に鋭いかぎ状のつめが付いている。ミミズクにある羽角はなく、耳は目の横にあり、顔盤かおばんの羽毛で隠れている。ようちょうは全身が白い羽毛で被われる。単独またはつがいで行動し、わたりは行わない。夜行性で昼間はどうや木の横枝などでほとんど動かず目を閉じて休息している。夕方から活動を始めるが、日中に行動することもある。冬場の獲物えものが少ない時や強風や雨天が続いた場合は昼間でも狩りを行ったり、保存した獲物を食べる。日中木の枝でじっとしている時にカケスなどの他の鳥にさわぎ立てられて、他の場所へ逃げ出すこともある。森林内の比較的ひかくてきけた空間や林縁部などの樹上で獲物を待ち伏せて、首を回しながら小動物の立てる物音を察知し獲物を見つけると羽音を立てずに軽やかにふわふわと直飛し獲物に近づく。足の指を広げて獲物の背中にき立て、獲物を押さえつけてめ殺す。目は人間の五十倍ほどの感度があるとみられていて、目で遠近感をつかめる範囲はんいは広いが、視野はせまく、これを補うために首は上下左右約百八十度回り、真後ろを見ることができる。体を動かさずに首だけで約二百七十度回すことができる。発達した顔盤は小さな音を聞くアンテナとしての機能があり、左右の耳は大きさがことなり位置も上下にずれているため、音源の位置の方向と距離を立体的に認識することができる。聴覚ちょうかくが発達しており、音により獲物の位置を特定し、雪の下にいるノネズミや地上付近のトンネル内を移動しているモグラやミミズを仕留めることができる。ヨーロッパ北部でのペレットの内容物調査では主に小型こがた哺乳類ほにゅうるい、鳥類、両生類が検出され、昆虫が含まれることは二パーセント未満でまれという報告例がある。北海道での同一個体のペレットの内容物調査では主にタイリクヤチネズミが検出され、次いでアカネズミ、ヒメネズミ、鳥類、シマリス、ハントウアカネズミ・ドブネズミ・ヒメヤチネズミという報告例がある。日本でも昆虫を食べることはまれとされていたが、上賀茂かみがも試験地しけんちでの調査では夏にかけて本種の周辺にカブトムシの成虫の死骸が多く散乱し、実際に飛翔中のカブトムシを本種がとらえる様子が確認されたという報告例もある。この報告例ではメスの死骸しがいの発見率が高く、たまごを持ち高栄養価のメスを選択的に捕食していた可能性が示唆しさされている。富士ふじ河口湖町かわぐちこまちでの人工巣内でのビデオ撮影さつえいおよび獲物の残骸から主にアカネズミ・ヒメネズミ・スミスネズミといったネズミ類、ヤマネ、アズマモグラ・ヒミズ・ジネズミといった無盲腸類むもうちょうるい、ニホンノウサギ、昆虫、コガラ・コジュケイ・コルリなどの鳥類を捕食したという報告例があり、鳥類の比率が小さいのは夜行性の本種とは活動する時間帯が重複しないためだと考えられている。食性は動物食で、主にネズミや小型の鳥類を食べるが、モグラやヒミズなどのトガリネズミ目、モモンガ、リスといった小型の哺乳類、カエルなどの両生類、爬虫類はちゅうるい、カブトムシやセミなどの昆虫こんちゅうなども食べる。最も多く捕食しているものが、丸呑まるのみしやすいハタネズミの仲間の野ネズミである。ハタネズミは体長が約十センチメートル、体重が三十五グラム程度で、アカネズミやヒメネズミなどと比較して敏捷性びんしょうせいおとる。巣立ち前のヒナの一日当たりの食餌量は五十-二百グラム、巣立ち後の幼鳥の食餌量しょくじりょうは約二百グラム、にちれい六十六日ろくじゅうろくにち以上いじょうの若鳥をふくむ成鳥の食餌量は約百キログラムである。捕獲した獲物を丸呑みし消化し、ほねや羽毛などの消化できないものをかたまりとしてき出す。市街地近くの森林の少ない場所で巣営するものは、周辺をねぐらとするカワラバトやスズメを捕食したり、民家の屋根裏やねうらをねぐらとするアブラコウモリ、飲食店付近ではドブネズミ、夜間に電灯や自動じどう販売機はんばいきの照明に集まる大型の昆虫などを捕食することもある。秋にはノネズミを捕獲して皮下ひか脂肪しぼうたくわえて冬に備える。種類は成鳥が十四種類、幼鳥が四種類存在し、鳴き声は数キロメートル先まで届くことがある。 オスは十数秒おきに犬がえるような低い音で物悲しく鳴くことから、不吉な鳥とされることもある。オスは『ゴッホウ ゴロッケ ゴゥホウ』とき通った良く通る声で鳴き、メスは低くかすれたあまり響かない同様な声で鳴く。鳴き声を日本語に置きえた表現としては五郎ごろう助奉公すけぼうこうやボロ着て奉公、糊付のりづけ干せなどがあるが、糊付け干せに関してはフクロウのめ物屋という昔話が存在する。オスは『ホッ、ホッ、ホッ、ホッ……』、メスは『ギャーッ、ギャーッ』と鋭くにごった鳴き声で鳴く」

「わしは、天空の島を守る長老なのじゃ。君たちは、どんな名前なのじゃ?」

「僕は、空の国から来た名波響樹。そちらは、パートナーのチララだ」

「ちゅぴ!」

「ヒビキとチララか…。なら、ちょっとわしについてほしいのじゃ」

長老は、ヒビキとチララをある場所へと連れていく。

 たどり着いたのは、天空の島にあるいずみだった。

「君たちには、この世界樹を育ててもらうのじゃ。世界樹は、ニュートピアの平和を守るシンボルなのじゃ」

長老は、世界樹を成長させることでニュートピアの平和を取りもどせるという。

「そのためには、クリスタルが必要なのじゃ」

「クリスタル?」

「かつてここは、クリスタルによって平和は守られていた。じゃが、時空のかなたから現れた魔王によって、ニュートピア中に散らばってしまったのじゃ!」

ニュートピアの伝説について語る長老。

「そこで、君たちにお願いがあるのじゃ。高齢のわしに変わってニュートピアにひそんでいるクリスタルを探してほしいのじゃ」

そんな長老は、ヒビキとチララにあるお願いをする。

「やると言ったら、行くしかない!」

「そうだね!」

これについて、ヒビキとチララは喜んで受け入れた。

「ありがとう、君たちの勇気ある行動に感謝するのじゃ!そうそう、君たちに紹介したい人がいるのじゃ!」

すると、芽吹めぶいたばかりの世界樹から、美しき女性が現れた。

「こちらは、ニュートピアを見守る女神さまなのじゃ!」

「闇の力からここを守ることを、祈っています。選ばれし戦士ならきっとできるはずです」

「はい!」

ヒビキとチララに、女神さまからメッセージが送られた。

「クリスタルを集めて、世界樹を大きくしなくちゃ!」

「ああ、闇の力からニュートピアの平和を守らなければならない。それが、僕たちの使命なのだから」

ヒビキとチララは、世界樹の前でそうちかうのであった。

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