第3話 初めての友達!?

よし休み時間だ。誰かにしゃべりかけないと。青春を謳歌するうえではやっぱり友達は欠かせないしな。でも見た感じ結構グループ出来上がってんなー。やっぱり入学式に行かなかったの結構いたいな。もうすでに出来上がってるグループにひとりで突っ込む勇気はないしなー。できればまだ一人でいる子がいいんだけど… あ、いたいた。あの子はまだ一人だな。よし話しかけに行こう!




そう思い俺は後ろの席で一人本を読んでいる男子のほうへ向かった。




「ねえ、おれ青木太陽っていうんだけど知っての通り入学式行けなくてまだ友達いないんだよね。もしよかったら仲良くしない?」




よし完璧だ。昨日鏡の前で練習した甲斐があった。無視だけはされませんように




「あ、青木君!入学式にいなかったの、君とソラさんだけだったから君たち軽く有名人だよ!二人とも仲良しだね。僕の名前は武藤優すぐる。優でいいよ。よろしく。」




「え、あ、ありがとう。こっちも太陽でいいよ。よろしく!」




よし友達作り成功!ソラと仲良しだと思われているのはやや不本意だが別にそれは目をつむろう。とにかく皆にとっては小さな一歩かもしれないが俺にとってはこれは大きな一歩だ。高校生活が始まってからずっと変なことばかりだったけどやっと普通の人に出会えた。


ここからだ!頑張るぞおおおおおおおおおお








・・・








「ってなことがあったわけよ。そこからいろいろ話して明日は優と一緒に帰ることになったんだ」




「何ですか?自慢ですか?別に私だって友達の一人くらい余裕でできましたよ。そんなことでいちいち私を呼び出さないでください」




俺は優と一通り話した後、ソラと一緒に屋上へ来ていた。




「別に自慢じゃないし。友達出来るなんて普通だし。100人とか余裕で作れるし。」




「わかりましたよ。そんなにむきにならないでください。すごいすごーい」




こいつ俺をなめてるよな。敬語使ってるけど絶対になめてるよな?




「ところでその敬語やめたほうがいいんじゃないか?仮にも幼馴染設定なのに敬語使ってたら周りに怪しまれないか?」




「敬語はやめません。一応女神と勇者の関係なんで。女神は勇者に仕えるものなんです!でも言われてみれば確かにそうですね。さっきも美月ちゃんにその点指摘されたんですよ。なんで幼馴染なのにソラちゃんは青木くんに敬語なの?って」




いやおれに仕えてるとは思えないほどあんた俺のことなめてますよね?




ん?てか美月ちゃんって…なんかその名前聞いたことあるな?




あああああああああああああああああ




「もしかしてその子って輝美月って名前か?」




「はいそうですけど…。すごい美人でした。それがどうしたんですか?」




ソラが輝さんと友達だと!さっき友達ができたとか言ってたが輝さんのことか。あの人とはできるだけ関わりたくないんだよなー。わざわざ席も離れたのに。




「とにかく私は敬語を辞める気はありません。大丈夫です。何とかなります。それから一応言っときますけど、別に敬語だからってあなたのことが嫌いなわけじゃないですよ!勇者なのにすごい謙虚なあなたのことは、むしろ少し好きなくらいです!」




そういいながらソラはにこっと笑ってみせた




ほんの、ほんの少しだけドキッとした。いきなり好きとかいうな、やめてくれ。体に悪い。でもせっかくほめてくれたんだし礼を言わなきゃな




「ありがとな、俺も結構お前のこと好きだぞ。ソラ、これからもよろしくな」




そういい俺もソラの真似をしてにこっと笑った




ソラの頬が少し赤く染まった気がしたが気のせいだろう。




空は夕日で赤く染まりだした。そろそろ下校時間だ。




「あれあれここで何イチャイチャしてるんですかー」




「ここは俺たちの場所だぜー」




「許可なく立ち入ってんじゃねえよ!!!!」




いきなり屋上のドアが開いたかと思うと明らかにヤンキーっぽい三人組が現れた。




いやいま超イイ感じだったじゃん。なに邪魔してくれてんの?本当マジで。別にソラのことは恋愛的な意味では好きではないし、ただ友達として好きだという意味だったんだけど、それでも今すごいイイ感じの雰囲気だったじゃん。




そんな恨みのこもった目で俺は彼らのほうをみた。すると




「なんだおめえがん飛ばしやがってよ」




「俺らのこと知らねえてみてえだな」




「俺たちはこの学校を牛耳る三人組だぜ。皆は俺らをこう呼ぶ」




「「「快晴高校御三家」」」




そういいながら三人は一斉に手をXにした




いや知らねえし。まだ入学してから一週間もたってねえぞ。てかこの高校確かそんな名前だったな。いろいろありすぎて忘れてたわ。思い出させてくれてありがとう。てかそれ絶対練習してるだろ。そのポーズダサいからやめておいたほうがいいぞ。




「なんだ反応がうすいな。」




「俺たちの怖さがまだわかってないようだな」




「体に俺たちの怖さを刻んでやるぜ」




そういいながら彼らはにやにや笑いながら近づいてくる。




「ねえやばくないですかこれ?大丈夫なんですか?」




「ああ、大丈夫だ安心しろ俺がついている限りお前を傷つけさせない!」




決まったぜ




「あ、いやそういうんじゃなくて。能力暴走させてこの人たち殺さないかが心配で、そういう意味で言っただけなんですけど…」




あーそっちですかはいはい。紛らわしい言い方しないでほしいなー。すごい今恥ずかしいんですけど。




「何ぶつぶつ二人でしゃべってるんだ?おらっ!」




気が付くとヤンキーたちはすでに俺のそばに近づいていて殴りかかってきた!




鈍い音がした。その場に倒れこんだ




むろんヤンキーたちが




「え、いまなんか能力使いました?」




ソラは目を丸くしてそう尋ねた。




「いや全然能力とか使ってないけど。実は俺、転勤族で昔いろんなところに行ってたんだ。そのなかでニューヨークのスラム街にもいたことあったんだけど、その時に俺はこの世は弱肉強食であることに気が付いた。弱ければ死ぬ世界だと。それで俺は必死に鍛えて強くなった。だから別に能力なんて使わなくても、こいつらくらいだったら余裕で倒せる。」




「過去が壮絶すぎるでしょ!転勤族ってだけでそんなことあります!あなたが勇者に選ばれた理由がなんだか少しわかった気がします…」




キーンコーンカーンコーン




チャイムが鳴った。下校の時間だ。








・・・








昨日はよくわからないヤンキー組に絡まれて、今日もまた因縁付けられないか心配したが、どうやらそれは杞憂だった。今日は特に何も問題なく学校が終わり約束通り優と一緒に帰っている。




「いやーそれでさー」




「マジでそれだわー」




「あと今日のあれやばくね?」




「それな!」




こんな調子で他愛もない話をしている。周りからしたらどうってことない会話かもしれないが俺はいますごく楽しい。友達と一緒に帰るってこんな感じなんだなー




俺は幸福でいっぱいだったがその幸福は突然終わってしまった。なぜなら前に昨日のヤンキー組が立っていたのだ。昨日のメンバーに加えてもう一人増えているが…




「ようおまえが昨日俺の子分たちをかわいがってくれた男だな?俺もそのことについてお礼をしたくて今日来たんだ。ちょっとこっちに来てもらおうか」




「昨日のことは学校の裏の番長で俺たちの兄貴こと、浦野番町さんに言ってやったよ」




「これでお前の終わりだな」




「ざまあねえな」




お前らすごい自慢げに言ってるけど要は喧嘩に負けて親に告げ口したみたいなもんだろそれ。よく恥ずかしげもなく言えたな。てか浦野番町さんも名前安直すぎるだろ。それで裏の番長になれなかったらどうすんだよ。親は何考えてんだよ。




やれやれこいつもまた昨日みたいにぼこぼこにしないといけないのか…いっそのこと能力使って二度と喧嘩売れない体にしてやろうかな。ほんと…




そう思ってると浦野番町はいきなり俺の胸倉をつかんだ。




あーめんどくさい。とりあえず優はこの人たちから離さないとな。巻き込むのは申し訳ない




「優は逃げろ!君には関係ない!」




「おうおう優しいね!でも安心しな!お前をぶちのめした後、お前の目の前でそいつもぶちのめしてやるからよ。オラッ!!!!!」




鈍い音がした。そして倒れこんだ




むろん浦野番町が




しかし今回倒したのは俺じゃなかった。今回倒したのはまさかの優だった。




俺は状況が全く理解できていなかった。何が起こったんだ。




そんなことはお構いなしに優は倒れた男のほうへ向かっている。そして口を開いた




「ごめんね。実は僕中学校の頃はヤンキーだったんだー。でも今は違うよ。更生して喧嘩はほとんどしないし手も出さない。でもこういう弱いくせに粋がって弱いものいじめをしちゃうクズをみちゃうとぼこぼこにしたくなっちゃうんだー」




笑いながらそう言い優は倒れた番町をぼこぼこにしだした




「ぎゃあああああああああああああああ」




「優ってまさか…あの武藤優か!一夜で今世紀最強最悪の暴走族エンペラーメビウスを壊滅した、いわゆる血のひな祭り事件の首謀者だ。」




ヤンキー三人組の一人は浦野番町がぼこぼこにされているのを見ながら思い出したようにそういった。




「一見すごい優しいそうだが、その顔とは裏腹に容赦なく人をいたぶる、笑いながら人を殴るその姿から、別名微笑みの悪魔といわれている」




「好きな食べ物はラーメンだ」




ご丁寧に解説どうも。お前らすごい詳しいな。最後の三人目の情報が一番いらないように見えて、友達としては一番有益だわ。




「ほかの人だと元ヤンって言ったら引かれちゃいそうで言わなかったけど、君は何となく大丈夫そうかなーって。君には僕なんかとは比べ物にならないほどすさまじい力を感じるんだ。それこそ世界を滅ぼしちゃうよーな」




「ぎゃああああああああああああああああああああ」




いや怖いわ。なんで何となく当てちゃうの。これが元ヤンの勘ってやつ?あと殴りながら笑顔で俺と会話するのやめよ、めっちゃ怖いから。いい加減殴るのやめてあげてよ。




それにしてもやっと普通の人に出会えたと思ったのに全然普通じゃないんですけど… 本当に俺の高校生活どうなんだよ。


頼むから俺に普通の高校生活を送らせてくれええええええええええええ。


神様あああああああああああ




(呼びました?)




確かに神様だけどお前じゃねえよ、ソラ。あと脳内に直接語りかけるのそろそろやめろ

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