16 輝き

「はぁ.........だっる。殺さねぇように威力弱め過ぎたか.............?ただでさえ聞き込みなんてダルい事やらされてんのにまだあいつら追いかけるとか...........勘弁しろよ」

「だったらここで大人しく諦めたらどうだ?それならこちらとしてもありがたいんだが」

「うるせぇなぁ........はぁ。手加減すんのも面倒くせぇや。一人くらい殺してもいっか。どうせ目当てはガキだったんだし」

「随分物騒な事言うじゃねぇか。まぁ大人しく殺されてやる訳にもいかないんでね。それにお前...........いやお前らには聞きたいことが山ほどあるんだ」

激しい憎悪を瞳の奥に潜めた石田は敵意を剥き出してスタンガンを取り出し、男に構えた。

「はぁ...........めんどくさ。」





身体中のあちこちが痛みで悲鳴を上げている中、それを押し殺し足を速めた。

「遠くって言ったって一体どこに行きゃいいんだよ.......」

ボロボロの体を無理やり動かしながら、必死に考えを巡らせる。

「とにかく人気の多い所へ行けばあいつも諦めるか.......?」

一生懸命考えた割にはシンプルな答えだった。

「うぅ........札森.....?」

「浅田さん!」

昏睡しかけていた浅田さんが目を覚ました。まだ意識が朦朧としているようだが、ひとまず無事という事に安堵した。

「札森、前!」

丁度十字路を走り抜けようとした時突如彼の口から飛び出した声に動揺して身構えた。が、その声の緊迫した様子とは裏腹に夜の住宅街の静寂は乱される事は無い。

「なんですか浅田さん!?」

十字路の前で急に一度立ち止まり、話しかける。

「ほらそこから車が.......車のライトが光ってんだろ?事故ったらどうすんだ!」

彼が指さす曲がり角からはライトどころか車の音など微塵もしなかった。代わりに一人の通行人が曲がり角から出て来て、目が合ってしまったその人は肩を貸しながらボロボロの体を引きずる高校生二人を不審者を見る目で見ながら足早に過ぎ去っていった。

「大丈夫ですか浅田さん?とにかく走りますよ」

言い方は悪いが寝ぼけているのだと思った。だが、彼の言動はますます不思議な方向へ向かい始めた。

「違うんだ.......ほら!あそこ!かなり遠いけど小さい光の玉が沢山......え?ここ住宅街だよな.....?こんな開けた場所おかしいんじゃ.....」

(幻覚でも見てるのか.......?)

とりあえず彼の言う沢山の光の玉とやらへ向かってみることにした。位置を教えてもらいながらその方向へ向かう。数分走り気づいたのは何か狼煙のような物が遠くから上がっている事。その場所が何やら騒がしい、願ってもない人気の多い場所という事。そして更に足を進めると、

「近いぞ!すぐそこに光の玉がいっぱい!」

「光っていうかこれって........」

彼からのナビを受け、その場所へ来た。そこは........

「おい誰か消防車呼んだ?」

「これって早く通報しないとヤバいんじゃ?」

「この家の住人誰か知ってる?」


野次馬が取り囲み、煙の出ている一軒家。ボヤ騒ぎの現場だった。

「浅田さんこれって.......」

「家の中に3つ。光の玉が出てる........いや、一人一つ、胸の中で光の玉が光ってる。気づいてみればお前からもだ」

彼の奇妙な証言は戯言ではないとすぐに理解できた。

       そう。これは


     「コメット.....能力?」






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