2 目覚め

「う・・・うぅ」

激しい頭痛で目が覚めた。

「なんだこれ・・・・!死ぬほど痛ぇ・・・・!」

頭が割れるほどの痛みだった。

「うぅ・・・・ん?」

はずだったのだが自分でも驚く程すぐに痛みは引いて行った。

「どうなってんだ・・・?」

辺りを見渡し、状況を確認する。

「俺確か変な煙吸っちまって・・・・寝てた?」

「んじゃ今って・・・・」

恐る恐る携帯で時間を確認すると深夜1時を回っていた。

「やっべ!父さんには11時までにはって言ったのに!」

まだふらつく体を無理やり動かし坂道を駆け降りていき、自宅につく頃にはもうすでに2時を迎えようとしていた。

「ごめん父さん!・・・・ってもう寝てるか」

リビングの電気をつけ、テーブルの上に荒い文字で「遅い」とだけ書かれた紙を手に取り、心の中で静かに謝罪する。

「疲れたな・・・・」

ベッドの上に横になり、ついさっきまで寝ていたはずなのに意識がどんどん遠のいていく。

「写真・・・・撮るの忘れてたわ・・・・」





「んでどうだった?昨日の流星群」

「まぁ奇麗だったよ」

謎のカプセルの事は誰にも話せないでいた。

「それにしても体育とかだりぃなぁ」

「まあずっと椅子に座って授業受けてるよりかはいいだろ」

「まぁそうだな」

「危ねぇ!」

少し遠くから聞こえて来る声。その方向に視線を動かすとこちらに物凄いスピードで飛んでくる野球ボールがあった。

「札森!」

反射的に手で顔を覆うと案の定手にボールが当たった。・・・のだが何か違和感があった。本来当たったという感覚の次に来るはずの痛みが無いのだ。まるで空中でピタリと止まったかのように。

「え?」

恐怖に耐えながら目を開けるとそこには信じられない光景があった。

「なんだこれ・・・?」

自身の顔面に直撃し、激痛を与えるはずのボールは空中で止まっていた。

・・・・・と思った瞬間、動き出したボールは自身の顔面に直撃した。

「痛ってぇ!」

顔中に広がる痛み。

「おい大丈夫か札森!」

「保健室!俺保健室連れて行くわ!」

痛みに耐える中、仲間の優しさを静かに聞き取っていた。






「それにしてもお前もついてないよなぁ」

「全くだ」

友人とのいつもの帰り道。

「でもなんかさ、ちょっと変だったんだよ」

「何が?」

「何か・・・・・ボールが止まったように見えたんだ」

「なんだそれ?あっ・・・あれじゃね?プロボクサーとかが殴られる瞬間スローに感じるとかあるじゃん」

「疲れてんのかなぁ俺」

「ちょっと君たちいいかなぁ?」

「はい」

180cmはあるであろう男が尋ねて来た。

「昨日さ、流星群ってあっただろう?君たち見た?」

「俺は見てないっすけど・・・札森、お前見てたよな?」

「ああ・・・・はい」

促されるまま答えた。

「そっか。君さぁ、見てる最中で流れ星が近くに落ちたりしなかった?」

「あー、確かにそんな気がしました」

「もしかしてさぁ・・・・それ見に行ったり拾いに行ったりした?」

心当たりしかない

「いや、そのまま帰りました。」

面倒事を避けたい一心で嘘を吐いていた。

「そっか・・・ありがとう。じゃあね」

男は去っていった。

「なんだあいつ?変な事聞く奴だな」

「ああ」

帰宅し、自分の部屋でぼーっとしていた。

流れ星を拾ったりすることは何かまずいのだろうか。そんなことを考えていた。

「あっ昨日のカプセル」

忘れていた事を思い出した。あのカプセルを開いた後、置き去りにしていたのだ。

「あれって見つかったらまずいかなぁ」

急に不安感に襲われて慌てて家を出る

「はぁ・・・・はぁ・・・」

昨日のカプセルを目指し丘をはしっていた。

「やぁ」

聞いたことのある声が後ろからした。

「また会ったね」

帰り道で会った男だった。

「こんな時間に何しに行くの?」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る