ブレインコメット
@CHNO3539
1 空の星
人間の脳は10%しか使われていないという。
なら100%使えるようになれば世界はより豊かになるのか。
世界から格差や差別はなくなるのだろうか。
人類は9割の新たな幸せを手にするのか。
それとも9割の新たな争いが生まれるだけなのか
「またお前ボーっとしてんなぁ」
「え?あぁ、まあな」
月曜日の午後。憂鬱な気分が漂う中、何気なく空を眺めていた。
「今日もあれか、天体観測か。しっかし星なんか見てて何が楽しいのかねぇ」
「うるせぇなぁ、人の趣味にいちいち口出しすんなよ」
「はいはい悪かったって」
天体観測。それが俺の趣味の一つだった。星を見ていると何だかまるで別の世界にいるような幻想的な気持ちになれる。そんな一時が日常生活の疲れを癒してくれて好きで子供の頃から続けていた。
「流星群だっけ?何かテレビでやってたけど」
「まあな。結構前から楽しみにしてんだよ」
「ふーん。あっ、てか次小テストあんじゃん!全然勉強してねぇ!じゃあな札森!」
「おう」
岐阜県 **市 油冴町
町、とは名ばかりの田舎と言って差し支えないこの町に住む平凡な学生
札森 守
母親は俺が11になる頃に他界し、父親と二人で暮らしている。
10年周期でやってくると言われている流星群。ちょうど今日がその日だった。
自宅から30分少しでつく丘の上でカメラを構えて今か今かとその瞬間を待っていた。
いつもは星空を見るだけで満足していた自分にとって流星群を見たいという気持ちは物珍しさが大半を占めていた。
「そろそろだな。」
カメラのレンズを持ち空へ向ける。
すると言葉では言い表せな感動が胸を覆った
「奇麗だなぁ・・・・」
思った時には既に言葉に出ていた。
しばらくして異変に気付く
「え?」
星が散らばりはじめてそのうちの一つがこちらの方へ流れてきていた
「おぉ・・・おぉ・・・おぉぉぉ!」
写真や動画なんてすっかり忘れて肉眼で流れ星を追い、落ちたであろう地点へ無意識に走り始めていた
「はぁ・・・はぁ・・・確かこの辺りに・・・おっ!」
目の先には確かに黒い石が煙と共に落ちていた。
「すげぇ・・・これって博物館とかに届けたりした方が・・・ん?」
カプセル。着陸したそれは妙に丸みを帯びていて不自然な程奇麗な石、というよりカプセルと形容したほうが近かった。
「なんだこれ・・・カプセル?」
拾い上げ、割れ目のような物がある事を確認した。
「これってほんとに流れ星なのか?」
まじまじと見つめて、開けた時にはもう遅かった。
「!?」
「なんだ・・・・これ・・・・」
中から紫色の気体が飛び出し、あろうことかそれを吸ってしまった。
「これって・・・・結構・・・・ヤバい奴なんじゃ・・・・・」
意識がだんだん遠のいて行き、視界は暗転した。
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