第29話 作品の応募は宝くじの購入みたいです
「宇宙人の嗜好はどうでもよろしい!」
「持ち出したのは社長ですが同意ですね」
「とにかく「テラ・トライアル」応募するのだな」
「はい「角川文庫キャラクター大賞」です」
「数あるコンテストからそれを選ぶ理由が、対宇宙人対策作品に選ばれる自信がないからだな?」
「宇宙人はどうでもいいです。実際「ドラゴンノベルスコンテスト」は読者選考ありですからね。要は書類選考みたいなものですよね?」
「読者選考に関しては前回の「カクヨムコン」のケースに対して、いろんな作家さんがデータを取って検証しているから一読しておくのがいいだろう」
「既に拝見しております。少なくとも星が必要で、それを獲得するのが難しいということはわかりました」
「確かに、星やその他の評価基準も、誰かに差し上げれば必ず帰ってくるわけではないからな」
「それを期待して星を付けていると思われるのも癪ですし、じゃあどこかで期待していないかと言えば嘘になります」
「故に、作品の内容だけで勝負する孤高の作家さんがいるのも事実で、そういった方々は読者選考の無いコンテストに参加するケースが多いな」
「どちらが良いやりかたなんでしょうか?」
「作家さん同士でコミュニティを作り、相互授受の仕組みでお互いの作品を盲目的に評価する方法と、馴れ合いを是としない方法かね?」
「そう言われるとそんな極端な論じ方はどちらにも失礼ですね」
「儂はここのルール内で、効率を考えるのは嫌いじゃあない。リアル友人を利用し、あくまでこの中で知り合った体で、お互いの作品を評価するとかな」
「そういった意味でも、私の作品で星が0のままというのは、社長がまったく評価していないという証明なのですが」
「きみの作品は読んでおる。だがそれ以外の反応はいっさいしておらん。そこは客観性を担保したいという儂の矜持だ」
「そもそも社長のペンネームも知りませんし」
「知らんでよろしい。で、応募に際し自信はあるのかね?」
「自信とかじゃなく、期待ですね。五等くらいが当たればいいなと思います」
「そんな等級は存在せんのだが」
「知ってます。期待度のレベルの話です」
「読者選考が無い分、よりシビアなふるいにかけられるとも言える」
「選者のレベルが高いのですか?」
「下読みを行う人も多いだろうし、選者は実名で挙げられているのだぞ?選んだ作品に対し責任を持つのだ。好みはあるだろうが、客観的な指標は必ず踏襲するだろう」
「文法、用法ですかね?」
「大きな要素として、テーマ、つまりこの作品は何を伝えたいのか、世に出すことでどんな影響を与えたいのかという尺度はあるのではないか?」
「売れそう、じゃなくて、メッセージ性ですか?」
「単純に、読んで良かった!って読後感を得られ、何らかの気付きがあって、読者の人生に対しわずかでも影響を及ぼせる。さらに言うと、お金を出す価値がそこにあるか……で、きみの作品は、選者の心の中心で何を声高に叫ぶのだね?」
「白いご飯の大切さですかね?」
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