第27話 初めての長編作品、完結です

「無事に全56話、完結おめでとうと言っておこう」

「ありがとうございます。気が付いたら16万字、ぎりぎりになっていました」

「で、書きたいことは書ききったのかね?」

「この作品で語りたいことは書けたのかなと」

「それにしてはまだ続けられる状態で終わらせたようだが?」

「打ち切り感を感じますか?」

「いや、文字数制限でいったん止めるのは構わんだろうが「俺たちの戦いはこれからだ!」的な印象は拭えまいよ」

「即興で書いた物語にしてはずいぶん愛着を感じてしまいましたからね、姑息な考えも、もちろん持っています」

「続けようと思えば続けられるというわけだな」

「もちろん、これが書籍化とかそんなことを考えるより、思うところがありまして」

「ほう、聞こうか?」

「カクヨムの人気作品が書籍化するじゃないですか、私も実はいくつかの作品は書籍で購入しています」

「応援したいという気持ちでかね?」

「単純に面白かったから本として読みたいのと、書籍版は内容も洗練されていることが多い。トータルとして、有料だからこその魅力があると言えます」

「確かに、書籍化された作品と、無料のWeb版との差は歴然だからな」

「クオリティの差もそれはそれで楽しめるのですが、挿絵があったりするのも嬉しいポイントですよね」

「絵師ガチャも楽しめる」

「ガチャって言わないでください」

「それが君の作品を続けない理由とどう関係するのだね?」

「それらの人気作品って、すごい長編もあって、もちろん書籍化で完走する作品もありますが、多くの書籍化作品が、単発か中途半端な巻数で止まってしまいます」

「商業の基本だからな、売れなければ続かない。本を作る過程は理解しておるだろう?一冊二冊を簡単に作れるわけではないからな」

「個人的にはデジタルオンデマンドの技術革新がもっと顕著になると思っていたのですが」

「ストックデータから印刷し製本し、オーダーから数分ですぐに本になる技術だな」

「大手がそれらの機械を出したの2000年あたりですよ?私は本屋さんが現物のストックを持たず、その場で本を製本する時代がすぐにくると思ってました」

「我が社の存在理由に疑問を抱くのはやめたまえ」

「大量消費と個人需要の住み分けは可能でしょう?同人作家が捗りますよ」

「それはさておき、きみの言いたいことはつまり、発行巻数が続かないことを言っているのだろう?」

「少しばかり、書籍化される作品が多すぎやしませんか?」

「そしてその多くが、初版で力尽く、か」

「重版以前の問題なんです。せっかく書籍化として世に出た物語が、完結することなく中途半端に止まってしまっています」

「だからこそ、それらの多くがWeb版として連載を続けているわけだからな」

「出版社としても発行した以上、もちろん続刊や重版に対する目標値はあるでしょうが、それによって利益を出し続けたい思惑はあるはずです」

「せっかく見出した作家と物語、金の卵は得続けたいものだからな。つまり、なんだかんだ言ってきみは本作が書籍化された後のことを考えているわけだ」

「本の帯に「完結版はWebで!」とか寂しすぎますからね」

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