第6話 カクヨムにします
「というわけで『カクヨム』にします」
「『なろう』や『ノクターン』は嫌か?」
「……まあここは直感ですね」
「まあ、読むも書くもそこそこ使いやすいからな」
「社長、使ってるんですか?」
「そんなことよりさっそく登録し書き始めたまえ。ペンネームの登録も忘れるでないぞ」
「はいはい、わかりました。……で、何見てるんです?」
「ん、何、きみがアカウントやパスを忘れた時のため、控えておこうかと」
「規約、知ってますよね?ユーザー一人に1アカウント。同じIDの複数利用も禁止です。ほらあっち向いていてください」
「くっ、誤字脱字の修正くらい請け負おうとしたのに」
「純愛モノが知らない間にハーレムやNTRになられても困るんです」
「本当に恋愛ジャンルで攻めるのかね?流行に乗ったほうがいいのではないか?」
「そうはおっしゃいますが、取り急ぎ今の自分の知識や経験で書けるのがそのくらいしかないんです」
「ほう、恋愛マスターを気取るのか?小賢しい」
「今がどうとか、正しい恋愛をしてきたとかじゃなく、私だって誰かを好きになったり、好かれたり、お付き合いをしたりって経験は、まあ、ありますので」
「リア充は受け入れ難いぞ?」
「だからリア充なんて自覚はありません。だいたいなんの取り柄もなく生きてきた自負があるのに、多くの作品にあるようなモテモテ状態になりませんでした。よってハーレム系のラブコメは信じてませんし、まず書けません」
「理由なんぞ必要か?」
「説得力とか描写しなくてどうするんです?読者は置き去りにされて、ふーん、とかしか思えませんよ?」
「まあきみがそこまで言うならまずは書いてみるがよい」
「ひょっとして、社長の検閲が入るのですか?」
「儂、上司。きみ仕事」
「くっ、枷を嵌められているとしか思えない」
「安心したまえ、内容に関しては何か言うつもりはないぞ?そりゃあ感想くらいは述べるが、あくまできみの自由意思を尊重しようじゃないか」
「ここまでさんざん圧力を感じているんですが」
「せっかく書くんだ、読んでもらえないと可哀そうだという親心だと思いたまえよ」
「……恋愛、だめでしょうか?」
「ダメとは言わん。太古の昔より普遍的なテーマだ。恋愛こそが人の歴史と言っても過言じゃあない。食と並ぶ最も根源的なジャンルと言えるだろう」
「でも、読まれないと?」
「そもそも、流行のジャンルで書いても読んでもらえるとは限らんぞ?では聞くが、君が投稿サイトで作品を読むきっかけとは何かね?」
「……ジャンル、題名、あらすじでしょうか?」
「もっと決定的な判断基準があるのではないかね?」
「……万人の評価?」
「いかにも」
「評価の高い作品……読んでもらえる作品には理由があるのですね?」
「多くの読者は、世知辛い現世の中で学業に励み、就労し、毎日疲れ果てている。もしくは、家の中でじっとしている人もいるだろうが、誰にとっても時間は等しく有限だ。せっかく読書に回す時間を確保した人の心理として、できれば有意義な時間を過ごしたいと思うのは必然じゃないか?」
「なんだかハウツー本みたいな展開ですね」
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