第4話 勇者、保護される

謎の男の声にケインは断ることはできなかった。腹は今までにないほど空いているし、疲労もピークだった。勇者の脚力や気力をもってしても見知らぬ土地を歩き、嘲られることはつらいことだった。

「怪しい人じゃないから安心してよ。オレも昔お兄さんと同じような状況になってさ、助けられたことがあったんだ。恩返しじゃないけどさこういうのって巡るっていうじゃん?」

着いてきてと言われ重たい足を引きづって約10分、マンションの一室にたどり着いた。

「相当疲れているようだね、ソファ貸せるからさ今日はもう寝なよ。」

男にそう言われると勇者はテレビの前にあるソファに横たわり、そして眠ってしまった。魔王を倒すため今まで旅をしてきたし、最近はしっかりした寝床で眠ることはできていなかった。加えてこの転移魔法のせいで疲労はマックスだった。男はケインが寝たことを確認すると手に持っていたものや荷物を側にまとめて置いた。

「お前も大変だな。」

ケインにブランケットを掛けてやると男も自室に入り眠りについた。

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