第6話

「あ、おじさん起きた?」

「…う、ここは…?君は…」

街に帰り、スラムに住む医者に生きていた騎士達をみせ、摘んできた薬草を薬に調合して貰っている間に俺はギルドに報告に行った。

医者のもとに戻ってきたちょうどその時にあの男性が起きた。

「ここはスラムの医者の家だよ。あぁ、安心して。スラムに住んでるけど、うでは確かだから」

「………」

まだ意識はしっかりしていないようでぼーとしていたが、次にかけた言葉で意識が覚醒したようだ。

「森で魔物に襲われたのは覚えてる?その時の怪我を診て貰ってたんだよ」

「魔物…そうだ、仲間は?!」

「…何人かは隣の部屋にいるよ。それ以外は…」

「そうか…」

見るからに雰囲気が落ち込んでしまった。

「あれ、そう言えばどうやってここに…魔物も…っ!!!」

ブツブツと呟いた後、バッとこちらを見た。

「君!!あの時の少年だよね?!君が私たちをここに運んだのか?!」

「そ、そうだけど…」

「じゃあ、魔法が使えるんだね!?」

「う、うん。使えるよ」

真顔の迫力が怖いし、掴まれている肩が痛くて顔が引きつっていると…

「君、うちの子にならないかい?」

「…おっちゃーん、衛兵呼んできてー!」

「ちょっ…!違うから、そう言う意味じゃないから!!!」

隣の部屋で治療をしている医者、おっちゃん(名前は知らない)に呼びかけると、慌てて止められた。

「そうじゃなくてね、君は若くて才能が有りそうだから、私の養子になってその才能を伸ばして欲しいんだ。この国のためにね。魔物の犠牲者が増えているのは知っているかい?さっきみたいな魔物の被害を減らしたいんだ…」

「無理、養子にはなれない」

「なぜ?!…あ、お金なら心配しなくて良い!私は一応…」

「貴族だから、だろ?知ってる、他の人よりいい服着てるからね」

慌てる彼に否定すると、余計にわからないという顔になった。

「じゃあ、何で…?」

「…俺には血が繋がらないけど、ちっちゃい兄妹がいるんだ。アイツらが一人で生きていけるくらいになるまでは面倒をみてやりたいからな」

(まぁ、養子に入るのは悪くないんだよな。聖女に近づけるかもしれないから)

「………」

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