第5話
「ちょ、おじさん?!」
魔物を倒して振り返ると、男性はぐったりとしていた。
よく見ると騎士の服を着ていたので、魔物の討伐をしていたのだろう。そして、この魔物に遭遇し、この状況になってしまったと言うところか。
「…ヒュー…」
「息は、ある。けど危ないな…」
この世界には、魔法がある。
基本の属性は火、水、風、土の下位属性の四属性に氷、雷、木の中位属性、ほとんどいないと言われる光、闇の上位属性だ。
自称神様のおかげで、全属性が使える。
だから、この男性を助けられる魔法も使えるのだが…
「あぁ、もう!悩むのやめた!!もうここまでやったんだし、最後まで面倒見る!!!!」
一番大きな患部に手をかざし、魔力を集める。
光が患部に吸い込まれるのを確認し、男性の様子をうかがった。
「…すぅーすぅー」
呼吸も安定し、表情も穏やかなのを確認してから立ち上がる。
「…一応、このおじさんの仲間も確認しなきゃ、な…」
魔物が寄ってこないように倒した魔物の死体を土に埋め、男性が現れた方へと足を進めた。
血の匂いに魔物は寄ってくる。
場合によってはあるであろう男性の仲間の遺体を適切な処理をしないと、街まで魔物がやってくるかもしれない。気持ちのいい作業ではないが、やらなければならないことだ。
(俺が普通の八歳児じゃなくてよかった)
皮肉にも、何十回と世界をやり直してきた。
こういうことには慣れてしまったのだ。
「…やっぱりか…」
数百メートル先に、騎士の服を着ている男性が十人ほどいた。
何人かは遅かったようだが、それ以外の人は何とか息があるようだったので、先程の男性と同じように治し、助けられなかった人達はもともと持っていた魔物が嫌う薬草を被せておいた。
(…後でギルドに報告して、回収して貰おう)
手を組み、冥福を祈ってから、生きている人達を浮かせて運ぶ。
途中で最初にあった男性も拾い、街に帰った。
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