蛇神[後編]



机を片付けて用意をする。



いつも初めにする質問は今回、大狐がしてくれた。




彼女はああいう態度を取るが。庭に居るのは、



私達を見守ってくれているからかも知れない。




そんな勝手な妄想はここら辺にして、



"貸し"にビビりながらもいつもの様に始める。 




「では手を合わせ、目を瞑り下さい。」



少女「はいっ」



パシッ、、



煙草に火を付ける。




「では、始めます。」



煙草を吸い、ゆっくりと吐く。





『我、汝を祓う者なり、




汝、彼から離れたまい、




我の元に姿を表したまえ、』






ゆっくりと、煙は流れる。



部屋を煙が覆った頃。



少女の床の方からにゅるにゅると。



蛇の様なモノが現れた。




蛇「アア、クサイ。クサイ。」



拍子抜けた声にビックリした。



蛇「クサイヨ!」



「すいません。



あのっ、、蛇神様でしょうか?」



蛇神様「アァ。ソウダ。



ワタシハ、ブンシンノイチブダガナ。




トコロデ。ナニカヨウカナ?



ハヤク、ワタシヲ。



カノジョノモトニ、カエシテクレ。」



「その事なんですが、、。」



蛇神様「ドノコトダ??」



噛み合わない話しに困惑した。




声は思っていたよりも、優しそうで。



悪意や、呪いの様な、モノは感じなかった。




とりあえず、蛇神様が現状で思われているだろう事を。



私が代弁させて頂き、勝手に話させてもらった。



「蛇神様は、信仰心を喪い。



更には、信者だった者達に"邪神"とまでされた挙げ句。



御神体までも壊されて、怒っていらっしゃるのですよね?




そうして、呪いをかけなさったのですよね?」



蛇神様「、、ノロイ、、?」



何かが違う様だ。



彼女の状態を伝え、話しを伺う。



蛇神様「ノロイヲカケテイルノハ、ベツノモノダ。



ワレワレハカレラヲ、マモッテイルダケダ。 




カノジョガイタミヲカンジルノハ、ワタサシタチガ、



ノロイヲタベテイルカラ、ソノトキナドニ、



イタミトウヲ。カンジテシマッテイルダケダロウ。




ダカラコノコヲフクメ、



キミタチガカンガエテイルコトハ、



マチガッテイルヨ。



ワレワレハ、アルジサマニタノマレテ、



カレラニツイテイルダケダ。」



「勘違いしてしまい、



申し訳ありませんでした、、」



どうやら、蛇神様を邪神とした者達は、



蛇神様の御神体を壊しただけではなく、



蛇神様信仰すらも潰す為に、彼等に呪いをかけたのだ。



一族ごと。




"消す為"に。




「では、、。



祓おうとして、痛みを感じるのは、、。」



蛇神様「サキホドモイッタガ。



ワレワレハ、カレラヲマモルヨウニト。



アルジサマカラ、イワレテイルダケダ。




コノモノタチハ、サッキノハナシカラスルト。



ワレワレヲ、ジャシントシタモノタチカラ、



ツヨイノロイヲウケ、リョウシンニイタッテハ、



ノロイガツヨスギテ、イマハ、



ネムッテシマッテイルノダロウ。



ソレナノニ、ナニモシラナイデ、



ワレワレヲ、ハラオウトスレバ、ノロイノチカラハ、



ドンドンカソクシ。ソノモノノセイメイスラモ、




オビヤカシテシマウダロウヨ。




アルジサマハ、コンナジブンカッテナニンゲンタチヲ。



ナントカタスケヨウト、シテクダサッテイルノダ。




ワタシナラ、ホオッテオクノダガナ、、。



ホラ。ショウコナラコウシテ、」



そう言うと、うねうねとしながら口から何かを出した。




ウエッ、。



蛇神様「コレガ、カレラカラウケテイル。



ノロイヲカタチニシタモノダ。



モウ。チカラハナイガナ、、。




ソモソモワレラヲ、ジャシントヨビ。



イチゾクニノロイマデカケタアゲク。アロウコトカ。



アルジサマヲ、テキニマワシテシマッタノダ。



アイテニハ、イズレ。オゾマシイヨウナ。



シ。



ガ、マッテイルコトダロウ。」



「邪魔してしまい、本当に申し訳ありませんでした。




何か、一族に伝える事はありますか?」



頭を深々と下げ、目線を合わす。




蛇神様「ソウダナ、、。



コノムスメハダイジョウブダロウガ。



アニノホウハ、ハラオウトシタ。



ワレワレハ、シンコウシンガツヨケレバツヨイホド。



カレラニチカラヲアタエラレル、リョウモ。フエル。




ウラヤマニ、コケノハエタキガアル。



ソレヲ、アラタナゴシンタイトシテ、



コンゴハ、アツカウヨウニイッテクレ。




ソウスレバ、カゾクノナオリモヨリ、ハヤクナルダロウ。



コレニコリテ、シンジャヲフヤソウトハセズ。



タスケヲモトメルモノニノミ。



オシエヲ、スルトヨイダロウ。




アト。サイゴニナルガ、、



イマノアルジサマハ、モウ、ゴインキョナサル。



アタラシイゴシンタイニハ、アタラシイアルジガスマウ。




コンドハ、コンナニ。



メヲカケテクダサル、カタデハナイカモシナイ。



ダカラヒトニハ、ジュウブンキヲツケルヨウニト。」



「分かりました。」



蛇神様「



、、アルジサマハ、タノシカッタソウダ。



モウ。ソバニイルコトスラモ、デキナイガ、、ナ。




イママデドオリニカンシャシ、シンコウスレバ。



イチゾクヲコレカラモ、タイセツニ、マモリ。



タダシキホウヘトミチビイテクダサルダロウヨ。




ホントウニ、カワッタカタダッタヨ、、」



何処か寂しいそうに。蛇神様は主様の話をなされた。



「きちんと。伝えておきます。」




蛇神様「チュウカイシテクレテ、タスカッタ。



ソロソロモドラナクテハ、、。



ノロイハ。マダ、ツヅイテイルカラナ。




ジャアナ。



ワカイノ。」



「はいっ。」



そう言うと、少女の脚の方へと戻って行った。




窓を開け、空気を入れ換える。



大狐「で。



どうだったんだい?」



長々と待たされた様な顔をして、



大狐は少女の元へと近寄る。



「蛇神様は別に、、」



内容を説明しようとすると、



大狐は遮る様にして話した。



大狐「んなん。聞こえてたよ。




そうじゃなくて、少女さ。



大丈夫そうなのかい?」



母親かの様に、優しく少女の頭を撫でる。



「ええっ。蛇神様が護って下さっている様で。」



先程。蛇神様から出されたモノを見せる。




大狐「げえっ、、。




こんなもんを良くも、、」



私には呪いの他は、何かは分からなかった。



大狐の口調からして、良いモノではないのだろう。



「どっ、どうでした??」



大狐と話している間に、少女は起きた様だった。



「蛇神様は、、」




説明が終わると、少女の顔色が変わり。



自らの脚を優しく撫でた。



蛇神様が浄化したであろう、その塊を。



大事そうにして、少女は持って帰った。




大狐「さて。



受講料を、払って貰おうかね??」



「なんなりと、、。」




邪神とまで呼ばれてまでも、人間を愛した蛇神様。



もしも、人間が神様となったとしても。



そこまでして助けようとはしないのだろう。
























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