師匠



外に出るのは久しぶりだろうか、、




それくらい、家に居る事が多かった。




家では何ひとつとして不自由な事が無い。






だからか。家に居がちで、家に居ると安心する。




でも、たまには外に出るのも悪くはない。






師匠とは外で待ち合わせる。




家は、以前よりも強力な結界が張られ、




血縁の者以外の能力者は、




入れない様になっている。






師匠なら、入れない事はないのだが、




結界が壊れて怒られるのは私だ。




私と師匠は師弟の関係だからか、




仲はそれなりなのだが、師匠の事を、




皆はあまり良くは思っていない様だ。






"理由"は知らない。




誰にでも秘密はあり、相性がある。




仕方のない事だ。






普段は電話でのやり取りしかしない。




電話も頻繁にする訳じゃない。




会うのも年に1回。会うかどうかぐらいだ。




師匠は多忙だ。




だが、困った事があれば、相談に乗ってくれる。




私にとってはいい師匠であると共に、




兄の様な存在だ。






「よっ、」




このピリピリとした感じは、




師匠独特の感覚である。




「お忙しい所。わざわざすいません。」




師匠「良いんだよ。




可愛い弟子の頼みだ。




めんどくせえ事も何なりと、、」




「あはは」




師匠はめんどくさがりだ。




『めんどくせえ、、』




が口癖な程に。




口とは裏腹に、やる事はきちんとする。




ユーモアがある。とでも言うのだろうか、、






師匠「団子。食うか?」




「はいっ。」




何もない穏やかな日。




自販機でお茶を買って貰い、




公園のベンチに座る。




師匠は人混みが嫌いだ。




待ち合わせとかなら、普通は、




ファミレスとかにでも行くのだろうか、




私もあまり、交友が広い訳ではないので、




そうゆうのは分からない。






師匠「電話の件なんだがな、、」




団子を頬張りながら食べる姿は、




何だか子供の様で可愛らしい。




「何か分かりましたか?」




師匠「いや。」






モシャモシャモシャモシャ、、






「あはは、、




そうですよね、、」




袋に入った大量の団子は、少しずつ。




師匠の口の中へと消えてゆく。




師匠「んんっ。




そもそも、、だが。






何故お前の所に"浄化師"が?






お前は人に憑いたモノを祓うのが




仕事じゃなかったのか?」




「えぇ、、まあ、




何か、急に来て成り行きで、、」






師匠「どうせ上手いこと。




話に乗せられたんだろう。」




ガサガサ、、




師匠「お前も遠慮せずに食え。」




「はい。頂きます。」






師匠には叶わない。




見透かされたかな様に、




言ってもない事を平然と。




当てられてしまう。






弾力がある餅はとても美味しく、




師匠が夢中になるのも分からなくない。




「美味しいです。」




師匠「だろう?




ここのは旨いんだ。






和菓子は良いよな、、




洋菓子も嫌いじゃないが、




和菓子には勝てないな。」




瞳はキラキラと輝いている。






「それで、、、




あの。。






何かあったんですか?」




不思議そうな顔をしてこちらを見る師匠は、




食べる手を止めて、お茶を飲む。






グッグッ、、




師匠「まあ、良いじゃねえか。




たまには、水入らずでよ。






さっきの話、だが。




浄化師と俺はあまり相性が良くない。






俺は物を扱うだろ?次々浄化されちゃ、




俺の"商売道具"が無くなっちまうからな、、」




「あはははは、ですよね。」




師匠「花瓶だか壺だかは、




その皿と一緒に作られたのか、、




それとも、前に居た時に一緒だったのか、、






浄化師の場所にあるくらいだ。




あまり、良くねえ品なんだろうぜ、、






ともかく、、情報がすくねえ。




いろいろこっちでも調べるが、




芯はそこじゃねえ。






表は浄化師。って事になってるが、




裏じゃ何をやってるか分からねえ。




面子って奴は、一応名のある本家だからな。






あまり、深く関わるな。




お前が思ってる程。




協会や組織はいいもんじゃねえんだ。






その忠告だ。」




「はいっ、、」




目付きの変わる師匠に、




私は何かを察する。






師匠「まあ、お前の元気そうな顔が




見れて良かったよ。」




「師匠も相変わらずで、、」




師匠「そうなんだよ、、




んで、さあ。」






他愛もない話は時を進める。




久しぶりに誰かと話す時間は楽しかった。






師匠は、優しい。




その師匠が嫌うのだから、、






きっと"私の知らない顔"が。






あそこにはあるんだと、思う。






師匠「あっ、、これ。」




帰り際に渡された布袋。




「何ですか?」




師匠「近頃物騒だからよ。




ちょいと、雑だが、力はある。






師匠からのプレゼントだ。」




「私は何も無いですが、、」




師匠「良いんだよ。






これからもちゃんと。人の為に、




自分の"正しい能力"を使うんだぞ?」




「はいっ。






ありがとうございます。」




師匠「おう。」




そう言い。優しく頭を撫でてくれた。






年甲斐にも無く、照れてしまった。




師匠から渡されたプレゼントは、




緊急事態以外。絶対。




開けるな。というものだった。






中身は何だか分からないが、




強い"封じ"がかけられている為、




結界も通る様だ。






師匠は私の師であるので、




能力的には物質系だとは思うが、




術も使えるとなると、




特殊系なのかもしれない。




渡されたプレゼントを大切にして、




家へと帰る。


















































『駄目ダ。ヨエェヨ。オ前。』




強くなれ。




じゃなきゃ、






殺されるぞ、、


































  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る