第464話 タイムマシンは実在します

 オンラインによる新世界議会は、「C」の権限譲渡について議論が固着してしまった。

 要するに、結論が出ないのだ。


 しかし、俺たちには時間がない、恐らく、俺の子供の何人かは、既に戦死しているだろう、だからこそ、俺は少し逆上気味だったのだろう。

 それは、俺が強引に権限を奪おうとしているように見えたのかもしれない。

 だから、これ以上、俺が何を言っても、議会は動かなかったと思う、GMがあらわれなければ。


「みなさん、私の話を聞いて頂けますか?」


 オンラインであっても、それが先の世界緊急放送による声の主、GMである事は誰もが認識出来た。

 すごいな、リサ。


「皆さんは、この世界にタイムマシンの存在が不可能だとお考えですね、それならば、時間移動を証明出来れば、GFの言う事を信じてもらえますか?」


 一瞬、彼女がFの事をGFと呼んだ事に恐怖した、それは、GMと認識している彼女の口から、権限の2/3が、一人の男に集中している事を意味していた。


「GM、貴方はそれを証明すると仰いましたが、、、どのように?」


「はい、タイムマシンは、実在します、私はこの宇宙を再構築しました、あなた方の創造主です、この世界を構築する際に、私はあなた方が認識出来る世界の外も、しっかり再構築していますので」


 それはますます議会を混乱に陥れた。

 だが、彼女の示した映像が、その紛糾した議会に終止符を打ったのだ。

 GMは、オンライン議会の中で、とうとうあれを映し出してしまっったのだ。


「これは、、、何ですか?、CG?」


「いえ、これがタイムマシンの本体です、予定では、来年に完成する予定ですが、、、時間を越える事が出来ますから、ここでお見せする事ができます」


 、、、、それは、懐かしい、シズのタイムマシンだった。


 あの、津軽海峡沖で撃墜されたシズ、また、見られるなんてな。


「何を言っているんですか、これは未確認飛行物体ではないですか、これがタイムマシン?、それを、どう証明出来るんですか?」


 では、今から全世界の人が、同時にそれを認識出来るように、少し作意しますよ」


 GMがそう言うと、世界中の昼夜が逆転したのである。


 おーい!、ちょっとまて、コレはやりすぎだろ、シズ!

 まるで、部屋の証明を落としたように、昼だった世界は夜に、夜だった世界は昼になった。

 人間は唖然とし、動物達はパニックを起こしていた。


 そして、ネットでは、この神の所行に対して、一斉に反応が出たのである。


 そして、世界中のネットユーザーは、新世界議会に対する、全世界一斉投票の提案が各所から上がってくるのである。

 そして、この目の前で起きた奇跡に、ある者は狂喜し、ある者は恐怖した。

 その恐怖こそが、一刻も早く、この議論に対して結論を出せという趣旨であった。

 なぜなら、世界は未だ、FB・ハーネスによる蹂躙を受けている最中である。

 議員は安全な場所から議会に参加し、市民は危険に晒されている、それに対しての怒りも激しいものであった。

 そして、ロンメル議員は、再び議長に迫るのである。


「議長、もう止めましょう、我々人類が関与できるレベルを越えています、GMが来年にはタイムマシンが出来ると仰っている以上、これら技術はGM経由で我々にもたらされる事は、もはや明白です、それより一刻も早く、Dr.妙円寺に「C」の権限、そして、「F」に対し、「G」の権限をお与えください、それでよろしいですな、ゴット・マーモス」


 この時、世界はようやくGFとGMの意味を理解したのである、ハンス・ロンメル議員のこの発言は、瞬く間に世界中に伝播した。


 そう、GFとは、やはりガバメント「G」とファイター「F]の両方の権限を一つにする、という意味、そしてGMは、「ゴッド・マーモス」、つまりリサとシズは、今人類にとってあらゆる宗教を越えた「神」となったのである。

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