第462話 俺はシズもリサも

 再び俺は、FB・ハーネスに入った。

 そして、速やかに火器管制システムを立ち上げ、武器・弾薬の点検を始めた。


「雄介様、私が攻撃とサポートの両方を担当しますね」


 ああ、なんだかシズの声でサポートしてもらっていると、ドットスや戦後の横須賀にいた頃を思い出す。

 懐かしいだけではない、またシズと、こうして一緒に何かが出来るって未来が、本当に幸せに感じてしまう。

 だが、もうシズを失いたくはない、この戦いを終えて、早くみんなと平和に暮らしたい。


「ありがとうシズ、、、いやGMか?、、君のことを、何と呼べばいいのか、ちょっと迷うな」


「そうですね、今の私は、シズでありリサであり、、、なので、もうGMでもいいですけどね、なんなら混ぜちゃって「リズ」にしちゃいますか?」


 GMか、なんだか色気がないな、、、いや、、、リズって、本当に混ぜちゃった感じがするな、人間には無い感覚だよ。


「GF、私なら構いませんから、シズとお呼びください、その方がGFもご安心なされるのではありませんか?」


 ああ、この感じはリサっぽいな、リサは俺の事、まだGFって呼ぶんだ、なんだか複雑だな、でも、まあリサがそれでいいなら、シズでもいいのか。


「そうです、名前が重要なんではありません、じゃあ、こう考えてください、シズ化したリサなので、リズ、ね、これならいいでしょ」


 いや、余計に複雑だよ、俺はシズもリサも愛している、そこだけは理解してほしいからな。


「なら、この戦闘間はシズで行く、頼んだぞ」


 シズは、「了解!」とノリノリで答えた。

 元人類としては、何だろう、この背徳感。

 

「お父さん、準備はいいですか?、敵は我々の存在にまだ気付いていません、緒戦で撃破しましょう」


 そうだな、面倒くさい考えは後回しだ、とにかく時間を稼ごう。

 俺たちがFBメンテナンス工場を飛び出すと同じ頃、新世界議会はオンラインで開始された。


「サミュエル議長はじめ、世界が混乱しているこの状況にあって、緊急の議会招集に応じていただきありがとうございます」


「妙円寺博士、こちらはお礼を言わねばならない立場です、「F」とリサ・マーモスを守っていただきありがとうございました。今や世界中の人が、リサ様の意志を受け取っています、議会は満場一致であなた方の意見に賛同するでしょう」


 議会は和やかな雰囲気で開始された。

 しかし、それを破るように、ある男が意見をしてきた、ハンス・ロンメル議員だった。


「議長、よいですかな、私はこの件について、以前からFとそのグループに対して協力をしてきた者です、既にご理解頂けていると思いますが、リサ様のご意志によれば、リチャード・シン議員は、元々未来人であり、時空間移動により自分に都合の良い世界に書き換えようと目論もくろんでいる節があります、彼の権限「G」を剥奪するだけでは足りません、私たちには、世界を導いてもらえる、強い指導者こそが必用な時だと思います」


「そうですな、特にこのような時期ですから、新世界機構が予てより進めていた「G」「F」「C」による意志決定システムを本格稼働させ、事態に対応する必用は私も感じています、、、で、誰をそれに充てますか?」


「それならば、意見、よろしいかな?」


 オンライン議会ではあるが、議場がざわめくのを誰もが感じていた、そこに現れたのが、今現在、唯一権限を持っている「F」だったからだ。

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