第460話 アンチAI組織

 GFとGMの熱い包容を、少し恥ずかしそうに見ていた周囲の中で、吉井君が申し訳なさそうに話しかけてきた。


「、、、あの、、お取り込み中、申し訳ないのですが、まだ、未解決の案件がありますので、、、」


 ったく、なんだよ、野暮やぼだな、俺はね、今、すっごく感動しているの!、シズだよ、シズが蘇ったんだよ!、何、もう、これ以上の事なんて、ないでしょ!。


「実は、リサ様、、、いえ、GMが最後に世界を再構築した際、リサ様だった頃の記憶と意識が、全世界に一斉放出されました、それは、電脳と生身の境なく、全てに対してです」


 なんだ、、、それは?、生身の人間にも、伝播したって事?、出来るのか?、そんな事、、、できるのか、創造主だから、、、!。

 しかし、全ての人類、AIに伝わったのであれば、それって、世界緊急放送システムを地で行くような行為だな、俺がしようとしていた事と、考えは近いが、スケールが桁違いだ。


「それで、、、と言うことは、リサの意志が人類に伝わったなら、リチャード・シンによる悪事の数々も、人類は知り得たと言う事だろ?、反クラウド法運動も、全て!」


「はい、その通りです、リチャード・シンの悪意を知った人類は、彼が保有していた「G」の権限を緊急で剥奪し、私たちレジスタンスに泣きついて来たという状況です」


 ん?、泣きつく?、なんで?、リサの愛が、世界を救った的な話じゃないのか?、ハッピーエンドではないのか?


「残念ながら、シンクロ現象が起こった後も、なぜかリチャード・シンとその影響下にあるFB・ハーネスは人類に対する侵攻を止めてはいないのです」


「なぜ?、これだけ善悪のはっきりした状況で、それに反抗する勢力なんて、俺には考えられないんだが」


「はい、実はこの状態の中ですら、反抗する勢力がかなり居ると考えてください」


 本当に人類は、自分勝手な生き物だと思う、リサの愛を知っても尚、反抗するなんてな。

 俺は基本的に「生善説」側の人間だから、人間は生まれた時には善意しか持っていないと考えるけど、そうでない人種も居るってことだよな、、、、おい、待てよ、、、、FB・ハーネスが稼働中って、さっき言っていたよな、、、ってことは、反抗勢力の中には、AIも含まれているってことか?。


「そうなりますね、残念ですが、なぜか反AI運動の中に、AIが含まれていることは事実です」


 、、、、反AI組織、、、、キル・ザ・ドールか?


「はい、キル・ザ・ドールはこの後に発足した組織です、本来は、このAI騒乱の犠牲となった人類の家族や恋人らが作った組織になって行きます、そして、今回の事で、彼らは我々が知らない、更に何かを保有している可能性が高まったのです」


 あれだよな、「痛覚コントローラー」だよな、あれとは別の何かがあるってことなのか?。

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