この世の果て
第454話 始まったのです
「そんな、、父さん、嘘でしょ?、そんな?、ねえ、父さん?」
リサの表情は、絶望の縁にあった。
それまで冷静な管理AIであったリサに、大きな変化があったのは、GFが絶命したその時だった。
「イヤ、、、イヤよ、何で?、これは何?、どうしてGFが死ぬなんて、、、私を庇ってくれたんですか?、何で私なんかの為に?、これは何という感情ですか?、私は今、どうなってしまうのですか?」
「木下君、リサの様子が、なんだかおかしくないか?、こんな感情、AIのリサ君にあるはずがないよな、そして、、、リサの本体が、光っている?何だ?、この発光現象は」
「妙円寺博士、違います、これは、、、始まったのです」
「始まるって何が、、、、あ!、リサ君!、どうした、君は?」
「博士、今のリサ様に近づいてはなりません、
「一体何なんだ、シンクロとは?」
そんな妙円寺博士の言葉をかき消すかの如く、リサの悲鳴は巨大化して行く。
「イヤーー、イヤー!、GF!、GF!ー」
やがて、リサを中心に竜巻のような現象が起こりはじめ、それは周囲を巻き込んでゆく。
「木下君、、、、リサは、一体何をしようとしているんだ??」
「、、、、はい、GFを蘇らそうと、、、」
「馬鹿な、死んだ人間を生き返らせるなんて、そんな事出来るわけ、、、」
博士の言葉が終わる前に、リサの輝きは更に増して、すでにFBのカメラアイでは、その実像を捕らえる事が困難になっていた。
「リサ、止めなさい、どんな事をしても、死んだ人間を元に戻す事なんて出来ないんだぞ、、、おい、木下君、リサは、一体、何を始めたんだ?」
「はい、死んだ人間を蘇らせる、唯一の方法を、、リサ様はお選びになったのです、それしか、リサ様の心を癒す術はありません」
すると、イヴが主導権を握っていたFB・ハーネスの中で、吉井 蓮が交代し、先ほどまでGFと繋がっていた高電圧ケーブルを、リサに向かって挿そうとしている。
「何をするつもりだねイヴ、、、いや、吉井君か?」
「はい、リサ様の、お手伝いをさせて頂きます」
人の頭程はある高圧電流ケーブルのソケットが、吉井蓮の手によって、リサの背面に突き刺さった。
そして、リサ・マーモスは、デジタルノイズ混じりの大きな悲鳴を挙げながら、GFの頭部を強く抱きしめ、やがて巨大化した光に包まれた。
そして、それは、周囲を巻き込み、ついには巨大な光の球体となって、周囲を照らす。
妙円寺博士は、すでに声にならない中、それでも吉井と木下に問いただした。
「科学者として、人を生き返らせる術があるとは思えない、これは一体、何が起こっているんだ?」
そして、猛烈な炸裂音と、全てを薙払うような竜巻の中で、彼は耳を疑う一言を聞くのである。
「世界を、再構築しているのです」 と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます