第453話 嘘ですよね、GF!

「イヴ、その場に伏せろ!、敵の照準が、お前を捕らえている!」


 これは理屈ではない、何度も戦場で、敵の殺意に晒されてきた俺だから解ること、今、俺たちに、敵の悪意が向いている、あの殺意の方向を。


 ドスン ッツ  ーーーーッッツ


 これは対物ライフルの音だな、銃声が聞こえる、かなり近いな。

 、、、?、人間?、そうか、だからレーダーに反応していなかったのか、人間でもFB・ハーネスを破壊する事は可能だもんな。


 あれ?、どうしてだ?、体がエライ重いな。

 、、、、ああ、そうか、俺は被弾したのか?。


 まったく、ザマねえな。


 イヴと吉井君は、、、、無傷か。

 俺はイヴを守る事が出来たんだな。


 って、おい、リサ、ダメだ、近づいて来ては。

 リサが、片足で地面を這いながら、こちらに向かってくる。


 そして、敵の照準は、再びリサを捕らえた。


「リサ、、、、逃げろ!」


 クソ、声も出なくなってきた。

 頼むから、言うこと聞いてくれ、ここは戦場だってのに。

 俺は力を振り絞って、リサの頭部に覆い被さった。


 これならリサは死ななくて済む。



 なあ、シズ、  これでいいよな。



 俺は、結局、人類の何も守る事が出来なかった、でも、リサとイヴを守る事が出来れば、AIと人類の未来にも、少しは光が差すよな。


 機械人間になっても、玲子君とは会えると思っていたけど、それも叶わないか。


 シズ、俺、今から君の所に行く。

 どうか、君だけは、少しくらい俺を労ってくれよな。



  ドスン  ッツ  ーーーーッッツ



 遠くでと、撃殻薬莢うちがらやっきょうの落ちる音がする。

 敵は近い。

 イヴが音のする方に向かって反撃すると、狙撃手は立ち去って行った。


 そうか、俺を仕留めたことで、彼の任務は終わりか。

 クソッタレ、リチャードを一発くらい殴ってから死にたかったぜ。


「、、、イヤです、GF、そんな、そんな、、、GF、返事してください!、イヤ、死ぬなんて、嘘ですよね、GF!」


 片足のリサは、俺を残った足の膝に乗せて、頭部を抱きしめた。

 どうやら敵の弾丸は、俺の頭部を貫いたようだ。


 これは、電脳社会のルール、自我を移したマシンが破壊されれば、自我もそこで終わり、、、つまり死亡。

 慌てたイヴが、大泣きしながら俺に駆け付ける。

 妙円寺博士と木下君は、恐怖に震えながら、敵を警戒している、もう一杯いっぱいだな。

 

 それでも、多くの戦場を戦い抜いてきて、リサの膝の上で死ねるなら、俺はまあまあ、軍人としてはラッキーな方なんだろうな。




 リサ、ありがとう、君は長生きしてくれ、、、、、。


 


「GF、、、、?、、、GF、ねえ、GF?、、、?、、?、ねえ!ねえ!!」



 こうして俺は、意識を完全に消失した、、、つまり、死んだってことだ。

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