第79話 婚約の決意

 俺はベナルとのミーティングを終えると、廊下では玲子君が待っていてくれた。

 

「玲子君、女子会の方は終わったのか?」


「はい、雄介様、楽しく過ごせました、、、みんなもう、泣いてましたわ」


「随分仲がいいんだな」


「ええ、なんでも彼女達は幼なじみですから、ムスキさんのお兄様は、マキュウェル様やリラルさんとも幼い頃からよく知った仲だったんだそうですよ」


 玲子君は、リラルやマキュウェルが、以前から天才肌で運動が良く出来る貴族の長男であるベナルに、少なからず憧れを抱いていたのだと言う。

 特に、リラルはベナルにぞっこんだったらしく、冷静そうに見えたリラルだっが、今日の求婚は本当に嬉しかったらしく、あの後、もう泣いて泣いて凄かったらしい。

 そのため、皆もつられて、皆で泣いていたとのことだった。


「、、、で、玲子君もだいぶ泣いたようだな」


 彼女の目も真っ赤で、結婚という憧れの事態が目の前で発生したことに感動していたらしい。


「それでは、マキュウェルは、、、失恋したってことなのか?」


「、、、それが、、、いえ、なんでもありません」


 ん? また、含みのある言い方だな。

 そう思っていると、リラルの部屋からマキュウェルが出てきて、俺と目が合った。

 マキュウェルの目も真っ赤で、俺は思わず笑いそうになってしまった、本来男勝りの彼女も、親友の婚約には大泣きするんだな。

 彼女は、俺の方をずっと見てる、扇子のようなもので口元を隠しながら、廊下に変な空気が流れる。

 、、、、なんだ?、この空気は。

 俺の後の玲子君を視認すると、マキュウェルは行ってしまった。


「なんだ、マキュウェルのあの態度は?」


「雄介様は、本当にお気づきではないのですか?」


「え、何が?」


「、、、続きは、お部屋で話しましょう」


 え、あ、うん、、、、え、部屋?、俺の?

 ああ、もしかして、俺たちまた二人、同じ部屋なの?

 、、、どうりてベッドがバカデカい訳だ。

 王様気分だったが、あれは二人分と言うことだったか。

 、、、大丈夫か、俺。

 ベナルの勢い見ちゃった後だから、なんだか気持ちが盛り上がっているんだよな。

 そんでもって、玲子君も、絶対ラブモード入っちゃってるよな。

 彼女は俺の傍らに佇んでいる、何をするでもなく、少し俯きうつむき加減で肩が触れるくらいの距離感で。

 何か言いたいのだろうけど、彼女はただ、俺の隣に黙って立っているだけだった。


 、、、あー、もう、、、これ絶対ラブモード入ってるよ。

 友人の結婚とか婚約とかって、伝染するよな、あれは。

 ましてや100年後の未来なんて、結婚は女性の憧れだろうしな。

 、、、彼女は、俺のこと、どう思っているんだろう。



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