第80話 シルク

『だから、好きって言ってるじゃないですか!」


『うわー、っびっくりしたー、急になんだよシズ!」


『ずっといますよ、私は。いいなー美鈴、私もリラルさんの婚約で、ちょっとラブモード入っちゃったんですよねー」


 もう、すいませんでした、ラブモードって、言わないでください。


「それでは玲子君、部屋に入ろうか」


「、、、、、、はい。」


 初夜か?、初夜なんか?、なんだかドキドキしてきたぞ。

 こんなこと、何回かあったのに、今日は本当にやばい


『大丈夫ですよ、何かあれば、私が電撃喰らわせますので」


 あるんじゃん、電撃!

 、、、まあ、それじゃあ頼むぞ、シズ。


 こんな時間でも、恐らくオルコの軍勢は、この城の攻略に向けて動いているのだ、油断はできないな。




「私、今日は服を着て寝ます」


 玲子君が、とっても当たり前の事を、なんだか意を決して俺に言った。

 さすがの彼女も、今日は裸で寝ることに危機感を覚えたのだろう。

 、、、いや、俺も今日はヤバい。

 いや、服を着ていたってこの距離感は際どいんだよな、、、って、何?


 え、いや、その服、、、、えーーー、逆効果じゃん。


 玲子君は、この部屋のメイドが準備したネグリジェに着替えていた。

 シルクなのか、良く体のラインが出るスケスケの布地、その下には下着も付けずに、、、素肌。

 、、、おいおい、エロさ増してるだろ、、、しっかし、彼女は何着ても似合うな。


「あの、、、どうでしょう、雄介様」


「ああ、、、いいんじゃないか」


 それ以上、俺は何を言ったらいいんだ?、もう一杯一杯だな。

 

「、、、じゃあ、寝るか、、。」


 彼女は、はい、と一言返事をすると、よそよそしく二人は別々の方向からベッドに入った。


 そして俺は、昼間の疲れもあって、すぐに眠りについた。



 そんな訳ないじゃん!、寝られませんよ!、どうすんだこの状況。

 今日は昼間に、疲れることなんてしてないし。

 彼女に背を向けていた俺の手は、少しだけ玲子君の方向に向いていた、そして玲子君の手も。

 二人の手の小指が一瞬触れた、俺は慌てて手を引っ込める。

 しばらくそのまま、何もなく、少しウトウトしてきた頃、俺は間違って寝返りを打ってしまった。

 目を開けると、玲子君が俺の顔をじっと見つめていた。


 、、、ああ、もう、いいんじゃないか?


 若い男女が同じベッドの中で、何も起こらない方が不自然だよ。

 責任を取れば、それで済む話なんだよな、、、、俺はそれで、いいと思ってる。





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