第69話 軍師ベナル
いや、そもそも、俺とマキュウェルが結婚したって、この世界は大きく変化なんてしないだろう。
なんとなく、俺は二人異なり、別の改竄方法があるのではないかと考えていた。
「ユウスケ様、ミスズ様、ようこそロクソム城へ。私はこの城の軍師をしておりますベナルと申します。」
今度は、この城の騎士と思われる参謀が入って来た。
恐らく専門家が入って来たという事は、この城の軍事に関することで、これから説明があると言うことだろう。
「現在、この城の周囲は、隣国「オルコ帝国」の軍勢が迫りつつあります。我らロクソムの騎士は、この城を本陣として戦い抜くつもりです。」
なるほど、やはりそう言うことだよな。
ベナルの話では、ロクソム城を落とされると、この先の主要軍事拠点は突破され王都まで届いてしまうため、ここでオルコの軍勢をくい止める必要があるのだと言う。
しかし、首都から援軍が到着するまでの間、この城の防備に必要な騎士の数が足りず、昨晩急遽マキュウェル姫のところへ使者が送られ、事態を把握したのだそうだ。
この城は、マキュウェル姫の本城らしい。
つまり、昨日までは本当にリゾートでゆっくり、という考えがあったようだ。
『シズ、この国家間の勢力図ってあるのか?」
『はい、空白も多いですけど、この世界の世界地図と勢力図は、エラーサイトの中ではメジャーな方ですから充実している方だと思います、モニターしますか?」
『ああ、たのむ」
勢力図で見ると、ドットス王国の西側一帯に広がる広大な土地が一色で塗りつぶされている。
それがオルコ帝国だ。
帝国と王国と聞いた段階で、このような予感はしていた、この王国は、隣国の帝国と常に国境を接しているため、国境紛争の火種と侵略の脅威に晒され続けているのだろう。
両国の国境には、急峻な山岳地帯が横たわり、良かれ悪しかれ東西の交通の妨げになっている。
そのため、国境には検問所が必ず必要となり、両国の税関を通過しなければ往来が出来ない。
また、イランの東側に該当するこのケシャの港は、東西の交通の要衝であるとともに、海運の拠点と言う立地も手伝って、海岸の少ないオルコ帝国としては、この要衝を確保したい野望が渦巻いているように見える、それは勢力図を見れば明らかだ。
その、核心とも言うべき両国交通の要衝に建っているのがこのロクソム城になる。
どうりて、軍勢の気配がするわけだ。
『シズ、この勢力図に書き込む方法って何かないか?」
『え、書き込み?!、斬新な発想ですわ、普通データ上でなんでも完結していますから、まさかペンシルで直接書き込むという発想はありませんでした。GFの意識がこちらへ一時的に来ることが出来ればなんですが、、、」
『SIZ、やめて!、それは雄介様にはまだ早いわ!」
『何だ?早いって。私は特に問題ないのだが」」
すると、玲子君は直接肉声で話しかけてきた。
「違うんです、これは非常に危険な行為でもあります、雄介様の場合、そのまま戻れない可能性だってあるんんです、だってSIZは、、」
『ちょっと、美鈴、、、いくら私でもそれはしないわ、肉体を持ったあなた達が、今はとても羨ましく感じるけど、私だって管理AIの端くれなんだから、そこは意地ってものがあるわ」
なんの話しだかさっぱり解らなかった、が、俺を巡って二人が取り合いをしているようで、なんだか悪い気はしなかった。
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