ロクソム城へ
第67話 正 体
城の入り口には、この城の衛士と思われる騎士が整列して馬車を迎え入れた。
なんだか、これってマンガとかで見たことあるやつだな、その奥には正装した従者やメイドがずらり。
まさか、こんなところでリゾート楽しむつもりだったのか?
、、、いやー、まさかね、多分裏があるんだろうな。
「なあマキュウェル、そろそろこの話のオチを教えてもらってもいいか?怒らないからさ」
「、、、そうだな、すまない、君たちを騙すつもりではなかったんだ、ここへ君たちを連れて来たことには理由がある、、それは聞いてもらえるだろうか?」
するとリラルが、俺とマキュウェルの間に入って彼女を庇おうとする。
「ユウスケ様、ミスズ様、申し訳ありません、騙すつもりは無かったんです、マキュウェル様はこの国、ドットス王国君主、ドットス国王の一人娘、マキュウェル・メイ・ドットス様なのです。」
「で、そのドットス王国のお姫様が、何だって流れ者の俺たちを地方の城に招くんだ?何も無いわけではないだろう」
「そうですね、そのお話は城内にて、ゆっくりお話させていただきます」
、、、城内ね、、、まあ、ここまで来たら行くしかないけどな。
あああ、玲子君がちょっと残念がってるな。
しかし、残念がっていた玲子君が、目の輝きを取り戻すまでには、そう時間はかからなかった。
「まあ、雄介様、お似合いですわ」
玲子君のテンションがマックスで俺を褒めた。
、、、なぜ彼女がここまでテンションマックスかと言えば、俺の今の服装が原因だ。
城内に招かれた俺たちは、この城の客人として丁重にもてなされた。
マキュウェルは、俺たちに部屋を割り当て、それぞれ専属の使用人まで付けてくれていた。
そして、これまで着用していたアメリカ軍の軍服を一旦脱いで、この世界の、この国の服装に着替えるよう促されていた。
拳銃とホルスターを、こちらの正装のベルト付近に通して、これだけはいつでも使えるようにしておいた。
マガジンにはフルで弾薬が装填中、を確認する。
拳銃を抜くと、表面に少し赤錆が出ていた、少し整備を怠ると銃は錆びるものなんだな。
ドットス国の正装は、いかにも玲子君が好きそうなゴスロリっぽさが入っていた。
俺たちの世界の中世とも違うし古代ローマとも違う、ただ、比較的センスの良さは感じられた。
自室を出ると、これまた厚遇を受けていた玲子君がこの国の女性の礼装に身を包んでいた。
彼女は相変わらず何でも似合う女性だな、とあらためて感じる、とても綺麗だ。
俺たちは、ドットスの正装に身を包んだ同士で向かい合うと、お互い恥ずかしくて下を向いたままになってしまった。
そんな沈黙を破るように、同じく女性の正装でこちらに向かって来る令嬢がいた。
「、、、マキュウェル?」
驚いた、これはまた化けるものだ。
男一人に女性4人というグループにあって、唯一男性属性の枠だと思っていたマキュウェルが、着替えただけでこれほどまで女性らしくなるものか、、、ってか、もう別人だろ、いやー、女は怖い。
「あらためて自己紹介させて頂きます、わたくしは、マキュウェル・メイ・ドットス、この国の王、マッシュ・メイ・ドットスの娘です。黙ってって失礼しました、詳しいお話をさせてください、さあ、こちらへ」
彼女はこの国の姫君だが、自ら我々を広間へ案内してくれた。
ムスキとリラルの二人は、先に大広間で待機していた、彼女達二人は、最初からマキュウェルの友人や仲間ではなく、従者であり部下であったのだ。
、、、その割には、最初出会った時にはドラゴン相手にマキュウェルが奮闘していた時に、随分後方にいなかったか?
「ユウスケ様、ミスズ様、あらためまして、私は宮廷呪術師のムスキ・アイラベルと申します。」
「私は宮廷医師のリラル・オムイルです。」
「おいおい、二人とも、昨日まで一緒に楽しく呑んだ仲じゃないか、あまりあらたまって挨拶なんてされると困る」
すると、二人はクスクスと笑い、実は二人は姫の従者でありながら、幼なじみであり、学友でもある仲なのだと打ち明けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます