第55話 発進準備を
「美鈴玲子、君はこれから別の時間に移動するのか?」
管理人は、ぶっきら棒に玲子君に話しかける。
あ、本当だ、敬語使ってないな。
「はい管理人様、雄介様、GFを一旦この時代から隔離します、そして、時間に介入した人物の特定をするつもりです」
「人物の特定なら必要ない、もう理解できている。それより、GFを、くれぐれもよろしく頼む、約束の日はもうすぐだからな」
「はい、心得ております」
なんだ?、約束の日って。
まさか、管理人と玲子君との間には、かつて何かあったんじゃないだろうな!。
すると、キャサリンが笑いながら、
「管理人様、それではGFが誤解しますよ、ほら、心配な顔している」
「、、、ああ、そういうことか、これはGF、失礼しました、私と美鈴玲子とは、そのような関係ではありません。しかし、浮気はよろしくないですな」
、、、浮気?一体何のことだ?
浮気もなにも、まだ誰とも付き合ってもいないぞ。
どうも、未来人や管理人との会話は、何か隠されているようで、怖いんだよな。
彼ら同士って、俺には聞こえない音波でやり取りできるんだろうし、、、でもって、例のごとく、玲子君が赤面しちゃってるよ、だから何?。
「管理人様、私は分を弁えているつもりです、そこはご心配なく」
「そうか、なら、よい。時空間移動へ移行しなさい。」
彼は、そう言うと格納庫を後にした。
初めましてではあったが、何を言いに来たのだろう。
エラーノリターンがバレたかと思ったぜ。
「GF、もうあまり在庫はありませんが、武器、弾薬をタイムマシーンの中に入れておきました、拳銃の弾薬とサバイバルキットもです、それでは良い旅を。」
キャサリンは、俺たちが休んでいる内に色々準備してくれていたようだった。
まあ、このUFOの大きさならば、車より遥かに多くの荷物が積めそうだ。
UFOと言っても、ちょっと古いのだろうか、まだUFOが目撃され始めて間もない頃の、いわゆるアダムスキー型ってやつか?
UFOの中は、外見ほど広くはないが、貨物室もあって、なるほど、未来の乗り物という雰囲気だ。
玲子君は既に操縦席について、発進準備を進めている。
「雄介様、さっき管理人が言ったことは、あまり気になさらないでください、私と雄介様ではつり合いが取れません、私、そんな
彼女が何を言っているのかが解らないでいたが、恐らく彼女は自分を相当低く評価しているように感じられた。
俺は彼女が示した席について、シートベルトを締めると、彼女に
「君は、自分をもっと高く評価すべきだと思うぞ、、、君は魅力的で、、私の好みの女性だ」
ちょっとキザだったかな、と思いつつ、彼女は時空間転移の手順を続けた。
キャサリンが、格納庫の巨大な扉を開けてくれている。
UFOはゆっくりと空中に浮きあがると、格納庫の扉を通過した。
途中、キャサリンの顔が見えたので、軽く手を振ると、丁寧にお辞儀をして返した。
タイムマシーンは扉の手前で一旦停止し、空中に浮いた状態で転移準備に入った。
「雄介様、時空転移を開始します、ちょっと気分が悪くなるかもしれませんが、少々我慢してください」
そう言うと、彼女は振り返って俺の方を一瞬見た、それはなぜか、切ない表情を浮かべていた。
え、何、それはどういう意味の表情なの?
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