第50話 キャサリン・コーネリー
救急車はギリギリのところで、俺を乗せてくれた。
「これからどこへ行きますか?」
「ここの医務室に運びますが、基地内では対処困難かもしれません、彼女、撃たれていますよね、何があったんですか?」
「ああ、横須賀海軍基地が襲撃を受けた、空母エンタープライズが沈んだよ」
「え、エンタープライズが?さっきの閃光は、原子炉の破壊ですか?」
「ああ、そうだ」
「この基地の放射線測定値も少し上がっています、人体に影響のないレベルですが、これは異常事態です」
「その通りだ、ここも攻撃対象になる可能性がある、気を付けた方がいい」
「軍曹殿は、敵を一戦交えたのですか?」
「ああ、何人か殺った、、」
救急隊員の彼は、凄い、と言う顔で俺を見ていたが、多分、ここも同様に戦場となるだろう。
関東最大の米軍補給施設だ、敵が放っておくはずもない。
ここに敵が侵入する前に、タイム化シーンを発見しなければ、多分俺たちはそこで終わりだ、こんな偽の軍籍が、いつまでも通用するとは思えない。
間もなくすると、医務室にはドクターらしい人が待っていた。
女医さん、、か?
「彼女は銃で撃たれています、早く手当をお願いします」
「解ってるわ、そんなに慌てないで、GF、」
ん? 今、彼女は、俺のこと、GFって呼ばなかったか?
なんでこの時代の軍医が、そのことを知っている?
すると、金髪の彼女は、少し笑って
「はじめましてGF、私はキャサリン・コーネリー、美鈴とは同僚です。ご安心ください」
俺は、腰が抜けるほどの安心感を得た。
腰が抜けるなんて言葉は、逆の時に使う言葉だが、今回に至っては、何度も死ぬかもしれない状況を回避してのことだったから、もうキャサリンが未来人であったことが心から安心できることだった。
「事情は理解している、でいいのかな、、コーネリー大尉」
「ええ、マーシャンから通信がずっと入っていました。彼も安心したようですわ、私のことはキャサリンとお呼びください」」
「マーシャンとも繋がっているんだな、しかし、軍曹が大尉をファーストネーム呼び捨ては困るだろ」
「あら、美鈴も中尉ですわよ」
「しかし、未来人が医師でよかった、治るんだろ、玲子君は」
「、、、診てみないと何ともですが、あまり好ましい状況とは言えないようです。全力は尽くしますが、、、」
おいおい、そんなに悪いのか?未来の治療で、チャチャっと治せるんじゃないのか?
俺は再び、血の気が引くような思いがしていた。
彼女が死ぬとか、ないよな。
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