第48話 管制塔
「これからどうする?もう機体が持たないが」
「はい、ここは緊急事態ですから、もう第1目標へ直接降下します」
「、、、で、その場所はどこなのだ?あまり遠くへは飛べないぞ」
「大丈夫です、多分もつと思います、相模原ならそれほど離れていません、すでにこの機体は、そちら方向へ飛行していますので」
ああ、この方向は相模方向か。
第1目標とは、あのタイムマシーンの置いている場所か。
相模原に隠す場所なんてあるんだな。
「玲子君、大丈夫か?まだ意識は持ちそうか?」
「、、、はい、少々意識が失いかけていますが、降着地点を入力しましたので、この地図が示す方向へ飛んでいてください」
やはり、彼女はかなり辛いのだろう。
もう、話し声もかなり小さい、俺の腕の中にいるから、ヘリの騒音の中でもなんとか会話が成立するが。
そう思っていると、彼女は気を失ってしまった。
「おい、玲子君、しっかりしろ、おい」
俺は、彼女が死んでしまうのではないかと少しパニックになっていた。
未来人とはいえ、怪我の処置をしなければ命の危険に晒されるのは変わらないはずだ。
しかも、彼女の指示で操縦していた航空機は、いまや全くの素人である俺が一人で操縦しているのだから無茶ぶりもいいところだ。
うん、そうなのだ、目的地まで飛ばすだけなら一人でもなんとかなりそうだ、しかし、これはどうやって下りればいいのだ?
意外と早く、コンソールパネルが示す目的地は、そのマップ上に現れ始めた。
警報音が以前鳴り響く中だが、何とかたどり着けそうだ。
、、、と思っていたその時、ガツンという変な衝撃と共に、機体が大きく揺れた。
ちょっと、何?怖いんだけど。
空の上でのアクシデントは、本当に怖い、こんな時、機体の高度って、高い方がいいのか、低い方がいいのか、と考えてしまう。
低すぎれば余裕がなく機体を維持出来ない、高すぎれば墜落した時に取返しが付かなくなる。
そう言えば聞いたことがある、ヘリコプターってエンジン止まっても、竹とんぼのようにローターが回り続けてゆっくり落ちるって、、、、。
いや、落ちる前提の事を、今考えるのはやめておこう、、縁起でもないわ。
「こちらは座間管制塔、飛行中の航空機に告ぐ、そちらの機体は、飛行プランに入っていない、所属と氏・階級を述べよ」
これは米軍の管制だな、識別コードが米軍機だからな、、、ええ、でも、これ何て返せばいいのか?
「こちらは海軍原子力空母エンタープライズ所属機、現在、エンタープライズの轟沈に伴い、負傷者1名を乗せて飛行中、なお、当機は被弾しており、飛行困難な状況にある」
「了解、それでは緊急時マニュアルも基づき誘導する、貴官の官姓名と階級、認識番号を述べよ」
いや、当然偽物の軍人だからな、、、、こんな時、彼女に意識があったなら、なんなく切り抜けられるのにな。
認識番号って、このドッグタッグに書いてある番号でいいのかな?
マーシャンの軍服の中には、ドッグタッグ(首から下げる認識票)も含まれていたので、俺は普通にそれを首から下げていた。
「ユウスケ サイトウ 階級 サージャント(軍曹) 認識番号・・・・・・・・」
「了解、認識しました、座間へ誘導します」
ええっ、認識されたよ、、何で?
考えてみれば、100年後の未来人からすれば、この時代のシステムに侵入するなんて造作もないことなんだろう、何とも準備の良いことで。
「座間管制塔、機体がもちそうもない、相模デポへの誘導をお願いしたい」
座間に誘導されたら、再び陸路で相模原まで移動しないといけないしな、意識のない彼女を連れて、車もなく相模原まで行くことは出来ないだろうしね。
「了解、相模原補給処へ誘導する。消防隊を準備させるが、医療スタッフは必要か?」
「よろしく頼む、1名既に意識がない」
頼むぞ、玲子君の命がかかっているからな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます