第33話 電話の相手

 俺は、テレビの前に座り、少し静かに考えていた。


 俺のアパートはもうない。

 次に危険なのは、俺の実家?

 小田原の実家は、父親と弟が住んでいる、母親は今年の春に他界してもういない。


 横須賀から、小田原までは、、高速使っても1時間じゃ着かないよな。

 こんな時間だけど、電話するか。


 俺は、考えてもみれば、携帯電話すら持参してこなかった。

 この状況が昨晩のこととすれば、警察から実家に連絡が行っているはず、そうだ、急いで電話をしないと。

 この家には電話がある、さっそく電話をかけてみると、コールが聞こえる。

 良かった、この番号は使われていません、と流れたら、どうしようかと思った。


「はい、斎藤です。」


 お、よかった、出た、父さんか?ちょっといつもよりテンション低いな。


「ああ、俺、雄介、そっちは大丈夫?」


「、、、すいません、私はあなたの父親ではありません」


 !

 

 俺は背筋が凍る思いをした。

 そう、電話とは不思議なもので、先入観によって父親が出ると決めつけていると、他人の声も父親に聞こえてしまうのだ。

 たしかに、よく聞けば親父ではない。


「、、、あんた、一体誰だ。」


「安心してください、私は管理人です」


 、、、! やっぱり。

 父親と弟は、こいつに殺されたのか?


「GFは、あまり電話を使用されない方が良いかもしれませんね。私達は基本的に業務以外では中立の立場ですが、この回線を使用し続けると、貴方の居場所が特定されます。、、、もう遅いかもしれませんが。」


「教えてください、父と弟は生きていますか?」


「大丈夫です。御父上と弟さんは、アパートの火災と行方不明の貴方を案じて、今現在は都内にいます。」


 本当にほっとした。

 もう既にやられているかと思った。

 しかし、管理人とは、聞いていたよりもいい奴じゃないか?


「実家は無事なんですね、電話に出てくれて助かりました。父には携帯電話もかけない方が良いでしょうか」


「そうですね、今はお止めになった方がよいかと。GFの行動は、今後の世界に大きな影響を与えてしまいます、既に許容量としては管理人が直接介入してもよいレベルなのですよ。」


 、、、直接介入って、、なんか怖いな、やっちゃう感じ?


「もう、電話も切ります。それではGF、ごきげんよう」


 そう言うと、電話は切られた。

 管理人と初めて話したが、AIっぽさは感じなかったな。

 、、、管理人も俺のこと、GFって呼ぶんだな、一体GFとは何なんだ?

 許容量の話も出ていたが、、、、そう言えば美鈴玲子の存在は?、彼女は本当に未来人で、安全な人間なのか、多分唯一聞けるのが管理人だ。

 、、、、もう一度電話、かけるか。

 俺は、再度電話をかけた、すると、


「おかけになった電話番号は、現在使われておりません、番号をお確かめになるか、、、」


 あー!そうきたか、大丈夫か?実家?


 そうしていると、俺の話声に気付いたのか、彼女が起きてきた。


「雄介様、どなたと話されていたんですか?」

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