第30話 私も20歳の男性なのだ

 俺は、先ほどまで玲子君から至極のマッサージを受けていながら、寝てしまったようだった。

 それは、とてつもなく惜しい事をしたと、起きてすぐに理解できた。

 人生初の女性からのマッサージ。

 

 、、、いやあ、あれは凄いのね、癖になりそうだったわ。

 しかし、寝室に一人か。

 玲子君は自室に行ったのかな。

 時間感覚がおかしなことになっているけど、今、何時だ?


 ん?、ベッドの中に、何かいないか?


 ちょっと、ちょっと、さっきまで怖い「管理人」の話、聞いちゃった後だから、なんかすっごく怖い、いや、本当に怖いって。


 俺は布団を、そーっとめくって恐る恐る、その対象を触ってみる。


 、、、、あれ、柔らかいな、これは少なくとも幽霊の類ではない。

 しかし、まだ、管理人の可能性は残っている。

 少し、布団を剥いでみる。

 すると、ま真っ暗ながら、月明かりに照らされた、美しい女性の裸体がそこにはあった。


 、、、、女性の裸体が、そこにはあった?


「きゃー」

 

 俺は思わず、悲鳴を上げた。

 いや、普通なら、悲鳴を上げるのは女性の方だろと、思うのだが、さすがにこのシチュエーションには

寝起きの頭が追い付いてこない。

 え、え、だれ、だれなの?女性の管理人もいたりする?そんなメゾンな管理人もいる感じ?


 「あ、雄介様、お目覚めですか?」


 あれ、玲子君?、っていや、ちょっと隠さないとですよ、深夜アニメなら湯気とか光線が走るレベルの露出ですが!


「玲子君、君か。どうして、その、、、裸で私の隣にいるのだね」


「いえ、、雄介様も、裸ですが」


 イヤー! 本当だ、俺、裸じゃん。

 ってことは、二人して裸ってこと、同じベットってこと?

 俺、なんかしちゃった?責任取る感じのこと、もしかしてしちゃった?


「どうされたんですか?」


「いや、どうもこうも、なぜ私達は、裸で寝ているのだね」


「普通、ベッドの中では、裸ではないのですか?」


「いや、そういうことではなくて、君は自分のベットに行かなかったのか?」


「いえ、ですので、ここは私のベッドです。」


 あれ、もしかして、間違えたのは、、俺?

 、、、いや、それってかなりヤバくない?


 女性の寝室に、入ってきて、全裸になって、ベッドに入って、、、、って、もう軽く変態だよ。


「そうだったのか、それは大変失礼した。私も自分のベッドに戻るので、玲子君も、どうか気を悪くしないでくれたまえ」


「何を仰っているんですか?雄介様のベッドはここですよ」


 ああ、もう、頭が付いて行かない!

 さっき、ここは君のベッドだって言ったじゃん。


「いや、いずれにしても、私も20歳の男性なのだ、この状況で理性を保てる自信がない。失礼させてもらうよ」


 やべー、本当に理性飛ぶって。

 この家には玲子君と俺しかいないんだぞ。


「あの、雄介様、この家には寝室がここにしかありませんし、ベッドは一つしかありません。」


 あー、そういう事ね、、、、って、いや、そうかもしれないけど、どっちみちダメでしょ、若い男女が。

 それとも君は、真面目な顔して、結構経験ある感じの人なの?

 まあ、エージェントっぽい感じがするから、もしかして、ハニートラップ的な事にも慣れているのかもしれないけど。

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