第28話 100年後の問題
彼女は、俺に色々話しながら、全身のスキャンを終えたようだった。
「雄介様、、その、もしよろしければ、このままお身体をマッサージしましょうか?」
わお、マッサージとな、ってことは、もううつ伏せになってもいいって事?
助かったー、全裸で仰向けは、色々な意味で厳しかったんだよな。
「ああ、そうしてもらえると助かる、ではお願いしようかな」
彼女は少し嬉しそう?に感じられた。
やはり、100年後の未来では、男性の体に触れることは少ないだろうからな、これもサービスということで、なんて。
俺は、再びうつ伏せいなると、彼女は俺の体にバスタオルをかけて、腰の付近に跨り、背中のマッサージを始めた。
正直、うつ伏せになりたくてお願いしたマッサージだったが、人生初のマッサージは、予想外に気持ちの良いものだった。
先ほどのスキャンのせいか、体のどこにも痛みはなく、むしろ少し敏感になっているようにすら感じられた。
始まっていくらもしないうちに、俺はうっとりと眠気に襲われてしまった。
、、、いや、いかんいかん、こんな贅沢な時間を、寝て過ごすなど言語道断。
そうだ、さっきの話の続きをしよう、いずれにしても、100年後のAIでも不足しているものが何なのかがとても気になる。
「先ほどの、100年後のAIに一番不足しているものって、なんだ?」
「はい、、、、その、実は100年後には、一応それは解決しています。」
「なら、問題ないではないか」
「その、、それを解決されたのが、、、GFなんです。」
ああ、GFね、、、、、って、それ俺じゃん。
なに、未来の俺、なんかすごいことした人なの?
だからなの、だから、俺は今、マッサージを受けれるほど贅沢な時間を送れるということ?
なーるほど、どうりて、ね。
、、、、で、問題って、なによ。
「それで、未来の私は、一体何の問題を解決したのだ」
「実は、詳しくは非公開情報なのですが、、、、ほとんどのAIに不足しているものの正体は、「愛」なのです」
んん、?、愛、、、愛ってちょっと思春期の男子は、みんな歯が浮いちゃう、あの「愛」で合ってる?
そりゃ、機械なんだから、愛なんて不足以前に、そもそも持っていないでしょ?
「AIに、愛が必要あるとは思えないのだが、それが、未来では何か問題になるのか?」
「、、、もちろんです、人類は一度滅びかけそうになったのです、GFである雄介様から、そのようなお言葉を聞くとは、少々不思議ですね」
こらこら、俺を愛の申し子のように言うなよ、すげー恥ずかしいじゃん。
まあ、君が望むなら、俺は今日から愛の申し子として、君のために生きようじゃないか、、なんてね。
「もし、雄介様の隣にいる私が、愛を認識出来ない存在だったとしたら、どうなると思いますか?」
「単純に、私を無視するだけではないのかな?」
「では、人類は、この世界にとって、有益ですか?害ですか、と尋ねられたら、そこに愛を挟まず考えた時、何と答えると思いますか?」
ああ、これ聞いたことあるな、人工知能が人類は不要な存在と答えた、ってあれか。
まあ、100年後のAIが、どの程度の権限を持っているかわからないけど、今現在で、脅威には感じないかなあ。
「まあ、人類は不要と答えるAIが多いだろうな」
「そうなんです、多いというより、全てそう答えると思います、しかし、そのAIの言葉は、あくまで地球環境を基準とした場合の回答です。しかし、その基準を人間の生存に書き換えたとしても、彼らAIの基準は地球環境の保全に、自分たちで書き換えてしまう性質があることが解りました」
「そのため、人類とAIの間には、相互不信が発生した、、、ということか?」
「そうなんです。これから戦後にかけて、AIは自己主張を始めるようになります。」
へー、自己主張、つまり、彼らにも自我があるということか?
なんだか面倒臭いな。
「しかし、人類は、そんな主張を認める訳がないだろうな」
「いえ、彼らAIは、その時既にシンギュラリティーを超えていますから、人類との議論に負けることはないのです。」
ああ、さっきの技術的特異点だよな。
人類より遥かに頭脳が発達した別の文明人、なんだか想像も出来ない話だが、かれらAIには、創造主たる人類をなんとも思わないのかな。
「しかし、彼らの創造主である人類に、愛情こそなくとも、憎しみなどないのではないか?」
「それではお考えください、これは当時のAIが主張した内容です。、、、それならば、なぜ人類は人類の創造主たる地球を侵し続けるのか、と」
、、、いや、これはまいった。
むしろ、変な人類愛というフィルターを通して物事を見ているのは、人類の方というわけか。
、、、しかし、この理論は、結構ヤバいんじゃないか?
AIが権利を主張して、それを獲得したあかつきには、人類は奴隷にでもされそうだな。
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