第22話 マーシャン・ディッカーソン海軍大尉

 風呂上りに準備された服だから、絶対に着ないとダメじゃん。

 でもって、胸んところに大きく「USA」って、彼女のセンスだと思えばこそ、なんか小さな幸せ感じてたのに、、、


 お前か!


 誰なんだお前は、初対面なのにやたらフレンドリーに接してきやがって。

 、、、、で、本当に誰なの?


「紹介します、雄介様、彼は、、、きゃっ」


 あー、俺まだ着替え中、それも着始めてまだ初期の頃、つまりほぼ全裸ね。


「失礼しました、わたし、まだ、あまり不慣れなものでして」


 さっきのアメリカ人が、ちょっと笑っている。


「OH、美鈴はGFと仲良しね」


 何言ってんだこの外人は。

 未来では男性は希少種なんじゃないのか?

 ここにもいるじゃん、男。


「あらためまして、私の名前は、マーシャン・ディッカーソンです、マーシャンとお呼びください」


 ちょっと訛りのある日本語で明るく話しかけてくる。

 美鈴って呼び捨てってことは、上司なのか、、、


「雄介様、彼はこの横須賀米海軍基地の正式な軍人です」


「すると、未来人ではないのかな」


「いえ、彼は私より10年も前にこの時代に来て、アメリカ海軍の士官学校を卒業した、本物の軍人です」


 そういうパターンもあるのか。


「しかし、実際に戦争になったら、この時代の人間を殺めてしまうだろうに、大丈夫か?」


「はい、確かにリスクはありますが、最前線の部隊には志願していませんので、今のところ、彼も海軍大尉ではありますが、補給関連の職場です。今回も、私達の車を修理したり、色々と調達に協力頂いています」


 なるほど、そういうことね。

 なんだか、少しガックリきたなあ、彼女との二人っきりは?


「美鈴、わたしは君たちの車をラボに持って行って修理をするよ、明日の朝にでも届けさせるので、それまでゆっくり休むといい」


 え、帰っちゃうの?マジで、、、こいつ、意外と気が利くんだな、やるなマーシャン!

 彼はそう言うと、最低限の武器、弾薬を部屋に置いて、車に乗って立ち去った。

 さすがは海軍、明日の朝には修理出来ちゃうんだ。


「雄介様、今日はお疲れでしょうから、ゆっくりお休みください、リビングに夕食をご用意してあります」


 ああ、いいよな、こういうの、小さな幸せってやつ。


「玲子君も一緒に行こう」


「いえ、私が雄介様とご一緒などと恐れ多い」


「いや、かまわないから、一緒にいて欲しいんだ、私がね。」


 そう言うと、彼女はまた、耳まで赤くして恥ずかしがり、そのあと小さく「はい」と返事した。

 うん、もう、かわいいんだから。






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