第8話 事態急変

 だって、未来を大きく変えると、未来は修正をしようとするよね、多分、これが本当なら大きいぞ、今日の出来事、何しろ人生初だからね。


「それは、修正が必要か否かで変化が変わります。例えば、雨の粒がどこに落ちても未来に影響はありませんが、その雨水が流れる川の形状が変われば、行くべき未来の方向へ修正力が働きます。」


「では、宝くじなどを当てると、未来は大きく変わると言う事で良いのか?」


「その額にもよります、しかし、当選しない人が過去に遡って、当選番号を知り得たとしても、未来ではその当選番号自体が変化してしまい、結局宝くじは当選しない事が大半です。先程の雨粒の落下位置も、まったく同じところに落下する事は逆に有り得ないのです、同じ時間を再現する事は、私たちの未来でも不可能とされているほど、時間軸相互の干渉は複雑と言う事なのです。」


「なるほど、それ故に、君が同じ未来の時間軸に帰れなくなることは、問題では無いと、君のいた未来の近似時間軸に帰れれば、それはほぼ帰った事と同じだと、そう言う事なのだな。」


 そうかー、宝くじはダメかー。

 タイムトラベルネタは、ここって重要だけど、最初に先手を打たれた感があるな。


「その通りですGF。もしかしたら、私が知っている未来とは、少し異なる未来に帰る事になるかもしれませんが、タイムトラベルとは、つまりそのような事を指しますので。」


 、、、見事だ、良い理論だと思う。

 少し解らないところもあるが、話の全体にまとまりがあるし、何より違和感が無い。

 これを元にタイムマシーンを作る事は出来ないが、具体的な方法以外の外堀は、既に埋まっているではないか。

 それでも、まだ彼女が未来人などと言う荒唐無稽な話を信じるような段階ではまだ無いな。

 何故なら、理論は通っていても、物的証拠がまだ何も示されていないのだから。

 、、、あ、西園寺彩音は置いとくとして、、、。


「、、、うむ、君の理屈は理解した、しかし君自身がそれを理解していると思うが、この話の中では、証拠がまだ示されていないな、それはどう解決する?」


 彼女は突然その場に立ち上がると、俺の方へゆっくりと歩み寄って来た。

 そして、俺の斜め前に静かに腰を下ろすと、、、


 近い、近いって!

 顔がもう目の前、彼女の吐息も、心臓の音まで聞こえそうな距離。


 チュウか、チュウなのか?


 え、いや、俺、ぼく、初めてです、いいのかなあ、いいのかなあ、

 ああ、、、、いい匂い、

 、、、まつ毛、長いなあ。


「私に合わせて、、、そのまま、、」


 ついに来てしまいました、ああ、やべえ、静まれ心臓の音。

 ちょっと待て、なんでこんな事になっている?

 大丈夫かな、口、臭くない?

 、、、俺の大事なところ、ちゃんとキレイにしてきたっけ。

 ああああ、何もかもが準備不足。


 え、何、何で体を押し付けてくるわけ、

 、、、、、柔らかい、

 女の人って、柔らかいんだなあ、、、。


 

 すると、それまでゆっくりと近付いてきた彼女は、俺に一気に体重を乗せて、俺を部屋の床に押し付けた、と言うより、叩き付けられたような格好になったのだ。


 、、、未来の求愛って、激しいのか?


 すると、天井を見上げる俺の視界に、彼女の顔と、一瞬何か一筋の線が窓側から壁へと抜ける、その次の瞬間、一斗缶をハンマーで叩いたような大きな音が部屋に響いた。


「え、ちょっと、何?」


「雄介様、私の言うとおりにしてください。」


 彼女がそう言い切らない内に、同じ事が2回、3回と連続して発生した。


 、、、狙撃?


 え、ちょ、ま、何それ、今までのムフムフな時間は何?

 何でこんな物騒な事がここで起こるの?

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