第2話 未来人の証拠?「キーワード」
俺は、この目の前の美しい女性に、少し意地悪を考えていた。
なにしろ、自称未来人を名乗るのだから、そこはしっかりと追求しなければならない。
少なくとも、大学で物理学を専攻する俺を納得させるだけの理論武装が出来ているか。
そうだ、もしそれができていなければ、少々罰ゲームなんぞ企画しよう。
あー、もう、テンション上がってきたわ。
「あなたの言っている事は理解しました、それならば確認しなければいけませんね、私に貴女が本物だと言うキーワードを。未来の私から聞いているはずですね」
俺ながらナイス!
そんなキーワードなんて、ある訳がないのだ。
大体、テキトーな言葉を並べて、未来では理解可能だとかなんだとか言い出すに決まっている。
、、、まあ、、それでも付き合ってあげますよ、もう少しこの至福の時間を引き伸ばしたいからな。
「やはり、さすがですね、、、本当に聞いてくるなんて、、、、では、、キーワードは、、、西園寺彩音です」
え、、、えーーー!
これはかなり予想外の展開だった。
、、、西園寺彩音、、それはかつて俺がまだ妄想癖全開の中学時代に描いていたマンガのヒロインの名前!
っつか、あのマンガは俺の黒歴史、、誰にも見せずに葬ったはず。
これは流石に気持ち悪いぞ、なんなんだ彼女は、もしやこれは全て夢か、俺の妄想の中なのか?
そうだ、そうに違いない。
そうでなければ、俺の頭の中にしか存在しない西園寺彩音の名前が、彼女の口から出てくるはずは無いのだ。
俺は恐る恐る聞いてみることにした、、西園寺彩音について知っている事を。
「あのー、失礼ですが、西園寺彩音について、貴女が知っている事を教えてもらえますか?
これが俺が見ている白昼夢や妄想の世界なら、彼女はスラスラと、赤裸々な俺のマンガの内容を話すはずだ、、若干拷問のようだが。
「残念ですが、私はGFから、その名前を示すようにしか賜っていません、逆に、この女性の名前は一体何なのですか?」
そう来たか、なるほど。
彼女を送り込んだ未来の俺しか知り得ないから、キーワードに選んだ、、、んー、理屈は通るな。
「では、別の視点から話を進めよう、君はどのようにして未来からこの時代へやって来たのだ?その理論を説明してくれるかな?」
どうだ、未来のグランドファーザーってこんな話し方か?
もうこうなったら徹底的に付き合うぞ、もう!
「本来ですと、それを話してしまえば、タイムパラドクスが発生してしまうため、お話する事は禁じられているのですが、、、。」
「いや、かまわぬ、話してみたまえ。」
なんだか、段々とエロ男爵みたいな話し方になってないか、オレ。
彼女の方は、少し困った表情を浮かべつつ、重い口を開き始めた。
「、、、貴方様がそれで責任をお取りになられるのなら、私はご命令に従うまでです。」
え、知ってるの?話しちゃうの、タイムトラベル理論。
ふむふむ、これはなかなか興味深い、この女性は、俺が口調を変えたら、なんでも言う事を聞くようになったのではないか?
そうだ、このタイムトラベルの話が終えたら、彼女の健康状態について調べねばならないなあ、、、隅々まで、
いや、決していかがわしい気持ちなどないぞ、、、上司として部下の健康管理には責任があるではないか!
しかし、彼女の語るタイムトラベル理論は、俺が考えていたよりも、意外としっかりしたものだったのだ。
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