第16話




さて、どうしたものか?



屋敷除霊は胡散臭いと思っていたが、まさかおじいちゃんが関係してるとは……。


急に他人事に思えなくなってしまったし、これはいわゆる運命なのかもしれない。


ならば孫である私が必ず除霊をしてみせる。


ジッチャンの名にかけて!



………………。



好奇心なのか運命なのか、私の中ではもう屋敷に行く決心はついていた。


しかし、母の話を聞いて凶悪な悪霊がいる可能性がある事を考えて、部屋の奥にしまってあった、自分の戦闘服である巫女服を丁寧に取り出し、厄払いのお札も念入りに準備した。


それから一週間後の大安の日に有給を使い屋敷に向かった。


念のため星占いも確認し、一位で絶好調だった。完璧。




だったはずなのに……。




屋敷についた途端、急に現れた老婆のせいで調子が狂ったわ。


ビックリして心臓が穴と言う穴から出るかと思ったわ。


そして老婆に案内され屋敷に入った。


しかし何故私が来たって分かったのだろう……。



偶然か?



通された部屋は広い和室で、その和室の奥に一人日本人形のような美しい娘が居た。


「来ると思っていました」


日本人形のような娘が話かけてきた。


「なぜわかったのですか?行く日とか教えてませんが……」


少々ビビりながらも聞いてみた。


「女の勘……ですかね」


日本人形のような娘は少し照れながら言ったのを見て、素直に可愛いと思った。


「勘……ですか?」


可愛いけど嘘だなと私も勘が働いた。


「真奈美さん。あなたの力は本物です。私には分かります」


「除霊のですか?」


「はい」


「まあ信用してもらえたのは光栄です。いままで誰も信用してくれませんでしたから」


日本人形のような女性にジッと見られてると少し不気味な感じがした。


「この業界は特殊ですからね」


娘は若いように見えるが、不思議と貫禄を感じる。


「そうですね。ところであなたは屋敷に住んでいる方ですか?」


「これは失礼しました。私は天倉 サキと言います。この屋敷の主です」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

僕はただ成仏を望む ユメミココチ @yumemicoco

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る