第13話
まず最初に、母親は幽霊とか否定派の人間である。
理由は、海外の幽霊と日本の幽霊があまりにも違いすぎるからと言うのと、葬式なりでちゃんと供養してるのに幽霊なんてでたら、お坊さんの存在価値がないではないか?と言われた事がある。
まあ一理ある……と思う。
そんな母親でさえ、あの屋敷は嫌な思い出があるらしい。
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母親の実家は小さい寺をやっていて、母の父親にお祓いをしてほしい、と若い青年が必死に頼み込んできた事があるらしい。
父親はお祓いの儀式を行った後、父親と青年は話をしていたらしく、子供ながら母親は会話を盗み聞きしていたそうだ。
「何かあったのかい?」
「ええ実は私の祖母の家がおかしいのです。誰も居ないのに足音が聞こえたり、物が勝手に動いたりと……いわゆるポルターガイスト?ってやつらしいです」
「なるほど、もしかして天倉さん自身にも何かあったのでお祓いにきた感じですか?」
「はいそうなんです。最初は金縛り程度だったのですが、今は声が聞こえるのです」
「声?ですか」
「はい。はっきりは聞き取れないのですが……ハータイハータイと」
「ハータイハータイ……うーん良くわからないが一応このお札を常に持ち歩いて下さい。きっと役に立つと思います」
「ありがとうございます」
そう言って天倉と名乗る若い青年は去って行った。
それから一週間後、次は警察がやってきた。
「このお札に見覚えはありますか?」
父親は、天倉と名乗る男にお守り代わりに渡したものと答えた。
「やはり天倉さんでしたか……」
警察が残念そうな顔をしていた。
「彼に何かあったのですか?」
「3日前に原型をとどめていない遺体が、とある屋敷から発見されたんです。連絡がとれない天倉家の若旦那だと思っていたのですが、色々不可解な事が多くて……唯一このお札だけが現場に綺麗に残っていたので調べていたんです」
「まさか天倉さんが……残念です」
それから父親が警察に天倉さんが来た時の様子を説明した。
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