第7話




大丈夫……私なら大丈夫。


「ジンタくん、君をここから出してあげる」


「ここから出れるの?」

ジンタくんの声に元気はない。


「うん……それで、ジンタくんの家に行ってみようか?」

正直、なぜこんな事を言ってしまったのか……後悔した。



これは、私のエゴだ。



偽善者って言われてもしょうがない。



でもこのまま浄霊するのは……あまりにも可哀想でしょうがなかった……。



一目でいい、もう一度家族に会わせたかった。



「家に帰って……僕は……僕……は……」



………………。



ジンタくんの声は家族には届かない。


姿も見えない。


触れることだってできない……。



「私はジンタくんを浄霊する。そうなれば……もう家族には会えないけどいいの?」


「会っても、どうすることもできないじゃん」

ジンタくんが初めて声を荒げた。


「ジンタくんの言う通りね……でも本当にこれが家族を見る最後だよ」


「じゃ僕のことはほっといてよ……僕は待つ、きっとまたここに来る。それまで待つから」


「ごめん……それはできない」


「なんで?僕はずっと一人だった。これからだって一人でも大丈夫だよ」


「ジンタくんの心は不安定すぎるの……きっとこのままでは悪霊になってしまう」


「悪霊?」


「うん。もし悪霊になってしまったら、君は家族を不幸にするわ」


「不幸に?僕は絶対そんなことしない」


「いいえ、悪霊というのは自分が望まなくとも、親しい人を不幸にするの」


「なぜ?」


「ごめん……わからない。だけど、悪霊になった魂は必ず親しい人から不幸にする」



あくまでこれは、私の経験談にすぎない。


全国、いや世界に目を向ければ……異例もあるかもしれない。



でも私は大人だ。



私の経験という現実が、子供の希望を拒絶する。

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