第6話
さて……子供に現実を受け止められるだろうか?
しかも、それは死だ。
夢や希望の現実ではなく……もうこの世には居ないと言う現実。
はあ……私は神様が嫌いになりそうだ。
なぜ今更、本当になぜ今更幽霊の声が聞こえるようになったのか……。
今まで通りなら、とっくに除霊して今頃家に帰る途中なのに……。
初めて声が聞こえて、それが子供って……。
(これはあれか?金儲けに対する罰なのか?)
それだったら神様って奴は性格が悪い。
いや私の性格が悪いのか?
どっちにしても最悪だ。
「おねえさん……」
「なに?」
ジンタくんの声が弱々しく感じた。
「知ってるよ」
「え?」
「知ってる……だってお母さんがここに来たとき、僕に気づかなかった……いっぱいお母さんって呼んだよ。いっぱい叫んだよ……でも聞こえてないようだった。……だからね、お母さんに飛びついたら……触れられなかった……」
「うん」
「それからお父さんも来た……」
「うん」
「お父さんも泣いてた……だからね、ここに居るよって……何回も何回も言ったよ」
「うん」
「でもね、やっぱり僕に気づかなかったよ……」
「うん」
「僕は……」
「うん」
「死んでいるんだね」
「うん」
自然と涙がでた。
まったく知らない子なのに、死んだことだって私には関係がないのに……。
なのに……なぜこんなに胸が痛いのだろうか……。
ニュースで誰かが死亡するなんて毎日だ。
そのニュースを見たって何も感じない……。
はずなのに……今は胸が潰れそうなくらい苦しい。
「おねえさん」
「何?」
「僕はこれからどうしたらいいの?」
ジンタくんが言った。
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