軌条の羽撃き

18.奈落の魔域へ~必死の形相で走らざるを得ない展開②~

 奈落の魔域に飛び込んだ冒険者一行は、目が眩むほどの強い光に視界を遮られた。程なくして6人と1匹が目を開けると、グランドターミナル駅のホームに立っていた。しかしよく見ると、駅の装飾や内装は現在のグランドターミナルとは異なっており、他のホームへ行く廊下などは封鎖されていた。

 冒険者達が立っているホームには、8両編成の武装魔動列車が停車している。


インニェラ 「……広いな?」

ガレナ 「本当に、これがあの球の中なのか?」

ヤーン 「駅だねぇ」

ナント 「追って来てる?」

GM 追ってきているかどうかは現時点ではわからないな。

ナント 「あれ乗った方がいいやつ??」

ヤーン 「乗っちゃおう!!」

ナント 「いやでもどこいくのか……」

ガレナ 「……乗れ!」

ナント 「あっはい」

ガレナ 「きっと、”それで良い”」

ヤーン 「おみちびき~~ってやつ~~~??」

GM 魔動列車は汽笛を鳴らし、ゆっくりと速度を上げはじめた。

ミァンティール 「猶予は無さそうですね」とびのれー

インニェラ 「早く! ミァン走れる⁉」

ミァンティール 「それなりに丈夫ですからね、これでも」

フロワ 「よし、こういうときは飛び込む方がいい。商機はつかむもの!」

GM 加速が思ったよりも早い。レイルウェイカノンが追ってきていた場合、あれを逃せば鉢合わせは免れない。

インニェラ キャーーーーーーーッ。

ヤーン きゃーーー。

GM 走る列車に乗るには判定が必要だ。少しルールを説明するよ。


【列車飛び乗りルール】

 判定は幅跳びで行う。達成値は10で変わりないが、今回の跳躍距離は4mとなる。(幅跳び判定は3mまではペナルティ修正が無いが、それ以上は1m毎に-2のペナルティ修正がはいる)

 金属鎧を着ている者は-6されるが、5mの助走は付けられるため合計-4の修正となる。金属鎧でない者は±0での判定となる。

 しかしそれだと後輩サイドがかなり不利になるため、戦利品以外でものを拾っている場合、それを破棄することで判定に+2のボーナス修正を与えるものとする。


インニェラ キャン……っ。

フロワ へへっ。拾った草を捨てます……。

インニェラ では魔香草1つぽい。

ヤーン 跳躍だから冒険者に敏捷B2で……GM。ケンタウロスレッグ今使える?

GM そうだな、練技は補助動作で使えるし、OKとしましょう。

フロワ 俺の草……。

ガレナ また拾おうね……。

GM めちゃくちゃ落ち込んでる……。

フロワ 救命草が命を救うぜ。

ヤーン さようなら草~~~~。

ミァンティール せっかくみつけたたいせつなもの……犠牲はむだにしない。

フロワ 「あ! 救命草!」荷物から落ちた。

ヤーン (笑)

フロワ 「草ーーーーーーーーーーーーーーーー‼」

ガレナ 「くそっ尊い犠牲だった……!」

ナント 「また摘もうな‼ 手伝うから、な‼」よっしゃでは飛ぶぞ〜〜〜。

インニェラ うーん……厳しいが、どうにかなるか。

GM がんばれがんばれ!

フロワ 運を天にまかせよう。鉄道の神に入信してもいい。

インニェラ いうたな?

ヤーン 「列車は~~走って乗るのはおおすすめできな~~いね~~」ぜいっ。

ナント 「駆け込み乗車はご遠慮ください〜〜〜」

ガレナ 「鉄道神王よ、我らの道行きが途絶えぬよう どうか見守りください!」おっしゃいくぞお!

インニェラ (ころころ)16‼ 

ミァンティール (ころころ)18!

ヤーン (ころころ)19‼ 

ナント (ころころ)11! 

ガレナ (ころころ)6ゾロ‼

ガレナ なんだ?

インニェラ えらい、鉄オタ。

GM ものすごく飛ぶね?

フロワ (ころころ)9……‼ 神ーーーーーーッ!

インニェラ フロワーーーーー!

ナント フロワーーーーーーッ‼

ヤーン フロワ―――――‼

フロワ 俺……やっぱり草が気になります!

ガレナ あきらめろ‼ 草のことは‼

ナント 草は帰りに拾っていこうっていったじゃん‼

ミァンティール 本能が……。

ヤーン 商人気質がアダとなる。

ガレナ GM……わたし、自動成功なんですが……。

GM はい何でしょう自動成功さん。

ガレナ フロワをサポートすることはできませんか?

GM そうだな、6ゾロだからな。フロワもあと1届かないだけだし……よし、解りました。ではフロワが飛び乗りそこねたとき、ガレナが手を伸ばしてフロワを引き上げたことにしよう。

インニェラ えらい!

ヤーン えらーい!

ナント えらい!

ミァンティール 良いシチュエーションだ。

フロワ 「くそ、間に合わないか?」

ガレナ 「いいから手を伸ばせ! 間に合うって言ってんだろ‼」

フロワ 「ガレナ、重いが辛抱しろよ!」がっしり掴むぜ!

ガレナ 「加減できん! 傷めたら言え‼」よっこいしょお‼ っと力任せに引っ張りあげます!

GM ぐいっと力強くひっぱり、ふたりで列車内に転がり込みます。

フロワ 列車の方にドサっとひっぱられたな。

ヤーン 「ガレナナイス‼」

ナント 「ガレナーーーー‼ フロワーーー‼ 無事⁉」

ミァンティール 「危ない所でしたね。でもよかった」

フロワ 「はぁ、なんとなかった……か? ありがとうなガレナ」

インニェラ 「ナイスキャッチ! ……カノンは⁉」少し身を乗り出して後ろをみる。

GM 列車は速度を上げ、みるみるうちにターミナルから離れていく。いまだレイルウェイカノンの姿は見えない。

ガレナ 「おま、お前! 飛び移るとき一瞬草のほうチラッとみたろ……」

ナント 「草は諦めなよ」

ガレナ 「街でのケンカの時もそうだ、できることとできないこと、危ないことと猶予あること、シッカリ判断してくれよ……!」

フロワ 「いや、言い訳の余地もないな。今度ばかりは反省している。」

ガレナ 「それならよし、だ。帰りに良い草摘んで行こうな」

ナント 「本当にそうして。今度一緒にいくらでも摘むのは手伝うから……」

ヤーン ちゃんと仲間が叱ってくれる。いいパーティだね。

GM 列車は浮島に敷かれた軌条の上を速度を保ったまま走っていく。

ナント 「こっからどうしましょう」はーーーっと息を吐いたあと、先輩たちの方をみる。

ミァンティール 「こうなってしまった以上、敵を見つけたら即座に排除するしかありませんね」

インニェラ 「アビス内部では物理法則も曖昧なことが多い。長居は危険よ……とにかく追いつかれないうちに、コアを破壊するか出口を見つけるかするしかない」

ヤーン 「できれば叩いておきたいけどねぇ。これが森に広がったら、街にも影響が出てくるしね」

インニェラ 「見たことないのよね? だいたいは剣に似た形の黒い結晶よ。探して!」

ナント 「はい!」

ガレナ 「黒い結晶だな、了解だ」

GM ちなみに、この列車は車内と屋根上を調べることができるよ。

インニェラ 「車内と、あとは上……?」

ミァンティール 屋根の上あやしすぎなんだよな。

フロワ のぼるか……屋根……。

ヤーン ヤーンも登るよ。

ミァンティール フロワとヤーンが上行く感じかな?

インニェラ これは……レベルで別れたほうがいいか?入り混じっても構わない?

GM 今は混じり合って構わないよ。

ミァンティール 上足りなければ登るが無ければ車内でもいいかなとはおもってる。

インニェラ 足りるか足りないか何も分からん~。

ミァンティール わかんないよなぁ。

ヤーン とりあえず3・3で良いんじゃないかな?

ミァンティール こういう時均等に分けたくなるから上いくか!

インニェラ じゃあ車内いきますわ。

ガレナ OK、なんか危ないことあってもプリーストばらけてますからね、良いと思います!


ガレナ 「すまんが俺は一番先頭の車両に向かわせてもらっていいか?」

フロワ 「そうだな、ガレナやナントなら何かわかるかもしれん。」

ヤーン 「良いと思う。ただ誰かと一緒に行った方が良いと思うよ」

ナント 「ガレナ、一緒に行く! フロワ上は頼んだ!」

ガレナ 「助かる! フロワ頼んだぞ」

フロワ 「ああ、行ってこい」

インニェラ 「私も先頭車両行くわ、運転席や機関部に何かあるかもしれない……」

ガレナ 「わかった、お前が来てくれるなら心強い」

ヤーン 「じゃあボクはフロワと一緒に屋根の上に行ってくる。いざとなったら砲丸の一つくらい打ち返しとくよ」

ガレナ 「ヤーン、くれぐれも気をつけて。さっきの砲撃、まともに食らってはお前だって無事では済まないだろう」

ヤーン 「ありがとうねガレナ。ニェラも一緒に行くなら大丈夫だと思うけど、気を付けて」

GM 屋根に上る場合は登攀判定です。目標値は10。

ヤーン ギーさんはどうなるんだろう?

GM ギーは固定値がないのでヤーンと一緒にします。

ヤーン 了解です。(ころころ)20!

フロワ (ころころ)13!

ミァンティール (ころころ)18! のぼれたね。

ガレナ 屋根に登ったのを見送ったあと「ではこちらも向かおう」

GM よし、では屋根上と車内で二手に分かれたね。車内のほうからいこうか。先頭車両に行く道すがらで探索判定ができるよ。車内はスカウトのみだ。目標値は9!

ガレナ たのむ~!

インニェラ (ころころ)8! わからん‼

ナント (ころころ)8! わからん‼

ガレナ (ころころ)8! わからん‼

インニェラ 誰もわからんとはね。

GM 誰もわからんとはねぇ‼

ガレナ ワハハ‼

ナント 出目仲良しか?

GM 先頭車両に向かいながら車内を見回してみたが、特に気になるようなものは見つけられなかった!

ナント ほんとうにすいません……。

インニェラ うーん野外ならな~‼

GM 次頑張っていこうな。では屋根ね、こちらも探索判定ができるよ。目標値は分かれます。後輩の目標値は9、先輩は16だ。

フロワ (ころころ)8‼

GM 君も8かよ! 仲良しだな!

フロワ えーん!

ヤーン (ころころ)16!

ミァンティール (ころころ)19!

フロワ 先輩方だけがたより。

GM お、いいね。では情報を出そう。


・屋根上

 ミァンティールは、列車の屋根部分に正方形の大きな切れ目が入っていることに気がつく。そしてその切れ目が砲台を収納している格納庫のハッチであることがわかるだろう。


ミァンティール ふふふ(笑)。

ガレナ わははは‼

ヤーン ガレナ―! ガレナ上においで―‼

インニェラ ワハハハハ。

ミァンティール 「この切れ目は……まさか、砲台をここに?」

ヤーン 「ガレナがいたら喜びそうなのにね」空を警戒しつつ。

GM あともう一個情報があるよ。


・魔域の周囲

 この魔域は浮島の群島を模した魔域のようだ。島と島の間にレールが敷かれており、はるか地上には、凍土となった水面が雲の切れ間から顔をのぞかせている。とてもここが遺跡内に生まれた魔域だとは到底思えないだろう。

 ヤーンは薄明がかった空を注意深く見回していると、遠くの空からなにかの影がこちらに向かってきていることに気がつく。ミァンティールも程なくしてその影に気づくだろう。


ヤーン 空??

ガレナ 空から⁉

GM フロワが屋根の上にいるのは危険だろうと思うでしょう。

ヤーン 「フロワ! おりて!」

フロワ 「ええ、少しまずそうです」降りる降りる!

ヤーン さっき頑張って登ったのにね!

GM それでは、探索が一巡しましたね。では全員、聞き耳判定をどうぞ。目標値は10だ。

ガレナ (ころころ)5!

ナント (ころころ)9!

ミァンティール (ころころ)19!

インニェラ (ころころ)7!

ヤーン (ころころ)9!

フロワ (ころころ)8!

GM ミァンティールだけ気づきました!

ガレナ えらい! ありがとう!

ヤーン ミァンありがとう!

ミァンティール まじか。

GM 後方、駅の方から炸裂弾の音がした。

インニェラ キャッキャ。

ナント ぎゃはははは。

GM ミァンティールが音がした方向をみると、レイルウェイカノンがまさにレールに接続しようとせんとしているところだった。

ミァンティール 接続~。

ヤーン わはははは! やばいね。

ミァンティール 耳を澄まして音を捉えた「炸裂弾、使われてますね」

フロワ 「……わあ」

ヤーン 「……ダメじゃない?」

フロワ 「あの砲身おばけ、えらい速い設計じゃありませんでした?」

ミァンティール 「フロワ、早く下に降りて! そしてできればインニェラをよんで!」

フロワ 「わかりました」

GM レイルウェイカノンは、レールに接続すると移動速度が90になる。君たちの乗っている列車の移動速度は70。現在列車とカノンとの距離は100mだ。この調子だとすぐに追いつかれてしまうね。

インニェラ かわいい。

ヤーン 連結解除の手段が乗ってたけど、多分そう言う事なんだろうな

GM では、フロワは降りて車内にいくでいい?

フロワ いくいく。スワッと降りてナント達のところに行こう。

インニェラ 「あれ⁉ フロワこっちきたの⁉」

ナント 「上は? なにかあった?」

フロワ 「外、まずそうですよ」

ナント 「え?」

インニェラ 「あらそお……オーケーオーケー! じゃあここは任せるわ」

ガレナ 「了解した。インニェラ、なるべく早くなんとかしよう。それまで頼む」

インニェラ 「いいこと! コアを探すのよ! 頼んだからね!」

GM インニェラはどうする? 上に登ります?

インニェラ ゴーレム踏み台にするから上がらせてくれんか⁉

GM お、そうだね。ストーンサーヴァントは2mあるらしいしな。

インニェラ この子は移動速度が23ある素早いゴーレムなんです。私は12なのですが。

GM オーケー、それじゃインニェラはゴーレムを踏み台にして屋根上へ登ることができたぞ!

インニェラ ゴーレム踏んで這い上がっていった。ゴーレムもあとからおいで。

GM ストーンサーヴァントもインニェラの後を追って屋根上へ登っていった。これで先輩サイドが上、後輩サイドが下(車内)の構図になるぞ。


・車内

フロワ 「あと……先輩が屋根に切れ込みがあると。」

ガレナ 「何が起こってる? 追ってきてるか?」

ナント 「きてるのぉ??」

フロワ 「きてますね、砲身のやつ」

ナント 「うわーーー⁉ やばいじゃん‼」

ガレナ 「なるほど、魔動機であっても魔域には侵入できる……と」

ナント 「とりあえずなんかみつけないとだ、ええと、コアだっけ、黒いやつ」

フロワ 「あの四角い切れ込み、兵器かなんか置く……のかな?」


・屋根上

ミァンティール 「アレ見てどう思います?」って上がってきたインニェラに。

インニェラ 「かわいい」

ミァンティール 「なるほど」

ヤーン 「すごいね」

GM かわいいか?

インニェラ 「下がって、ミァン。あたると痛いわよ」

ミァンティール 「もとよりそのつもりです」


GM 空から、羽撃きがきこえる。

 インニェラが外にやってきたと同時に、羽撃きの主が、列車に影を落とす。

 空を見上げれば、翼を広げた魔物が居ることに気がつくだろう。

 その魔物は冒険者を見つけるやいなや急降下し、走行中の魔動列車の屋根上に降り立った。

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