6.ゴケルブルクにて

GM さて、君たちを乗せた列車はゆっくりとホームへはいり、やがて完全に停車した。ゴケルブルク大公国に到着したようだ。


【ゴケルブルク大公国】

 ドーデン地方の東の端に位置する城塞都市。”奈落の魔域”が多く発生する地域のため、魔域から人族を護る盾の国として建国された。そのため、冒険者ギルドが多数存在し、多くの冒険者で賑わっている。


インニェラ 「あーーーーッついたついた」

ナント 「到着ー!」のびる。

GM どやどやと乗客が降りていくぞ。ホームは人でごった返している。

ナント 「はぐれたらしぬ」ヤーンの尻尾をちょっとつかむ。

ヤーン にこにこ。「捕まっててねぇ」

ガレナ 「いやあ~~~屋根があるのは結構だが、こうも長時間押し込まれていては体が固まってしまうところだった」

フロワ 「こういうのは旅慣れてないとだめですね……」体バキバキ。

GM さてと……地図を持っているのはガレナだったな?

ガレナ もっ……っています多分。忘れてきていなければ……。

GM オーケー。それじゃあ危険感知判定だ。インニェラが魔術師から話を聞いていたので、目標値は下がって8になっている。

ガレナ 危険感知⁉

インニェラ そんな。

ミァンティール お?

ナント えっ全員?

GM いや、ガレナだけ。

ヤーン 地図を持っていない危機……⁉

ガレナ この危機感のまるで無い私に。いいでしょう、ひらめです(ころころ)8!

一同 えらい!

GM (チッ……)ガレナは自分のかばんから地図を抜き取られようとしていることに気がついた。

ヤーン 危ない‼

ガレナ 「あ⁉ おーっとっとっと困りますよそういうことはね!」手をつかむなどできますか?

GM ギリギリ成功だったからそれは難しいな。スリはガレナが気づいた瞬間に手を引っ込め、人混みに紛れて逃げていった。

インニェラ 賢いスリだな。中身が0Gの財布には手を付けなかったか。

フロワ あたまがいいぜ……。

ナント (笑)

ヤーン (笑)

ガレナ 「おーい! 逃げられたか……」

ミァンティール 「おや何かありましたかガレナ」そっちを見る。

ナント 「ん?どうしたの?」

ヤーン 「大丈夫~?」

フロワ 「……ガレナ、今のは?」

インニェラ 「元カノ………? (ハッ)」

ガレナ 「スリってやつだ。何も持ってないものを狙うとは、それほど稼ぎはよくないだろうな」

インニェラ 「なんだ、スリかあ」

ガレナ 「元カノならもう少し可憐な子がいいなあ……」

インニェラ ガレナなんか……。

ガレナ なによ……。

フロワ 「ガレナなんかから何を……。地図くらいしか持ってないじゃないか」

ナント 「本当にそう」

GM 言い草。

ガレナ 「とはいえ鉄道ギルドから発行された情報でもあるわけだ。一度しっかりしまっておくよ」

ナント ぺらぺらの自分たちのカバンを見つめている。

インニェラ 地図を指差しながら「遺跡までどのくらいかかるんだっけ? それほど遠くないなら、先に町で噂話でも集めてみましょうか」

GM 目的地である遺跡へ行くには、北門から出て東の方へあるいていくことになるよ。

ガレナ 「北門から出て東へ……いくらか分け入っていった場所になるな。このあたりは歩きなれていない、少し多めに時間は見積もっていいとは思うが」

フロワ 「奈落の出現で何か起こってないといいんですけど」

ガレナ 「そうだな、さしあたって”奈落の魔域”の新鮮な情報を聞くことができれば良いが……」

GM ”奈落の魔域”については列車で出た情報以上のものは出ないけど、そうだな。先輩と後輩の代表者1名聞き込み判定していいよ。

ミァンティール 話題だしてくれたインニェラとかかな?>判定。

ナント 知力が高いのでフロワお願い!

フロワ じゃあいこうか。(ころころ)11!

インニェラ ギルドのエンブレムを見せて話を聞こう。(ころころ)21!

ヤーン 強い。

インニェラ 基準値が12あっからね。

ミァンティール 流石の値。

GM 知力B5は伊達じゃないな。では2人は最寄りの冒険者ギルドへと向かい情報を集めた。


【冒険者ギルドで得られた話】

 最近、湿地帯からさらに先にいったところにある森で魔物が活発化しているようだ。昨日も冒険者が向かっていったんだが、ついさっき大怪我して帰ってきたんだよ。森の方でデカい生き物の影を見たやつも居るし、あまり近づかないほうがいいんじゃないか?


インニェラ ワハハハハ! 「えーこれから森のほう調査いくのに~」などといって帰ってきた。

フロワ 「普通にまずいんじゃないだろうか……」ノシノシかえってきた。

ガレナ 「ご苦労様。インニェラは朝軽めだったか? フロワはまあ、食べるだろ」朝ごはんまだだったよね? 適当に買ってきたものを皆に渡しますね。

ナント 「いろいろ買ってきたからすきなものをたべな〜。リンゴもあるよ」

GM ご飯かったらその分お金減らしておいてね。

ガレナ はい!

ナント へらしました!

フロワ 「森の方で魔物が活発化してるそうですよ。これから向かうなら一戦は免れ無さそうな気がします」リンゴ食べてる。

インニェラ 「巨大な生き物の影をみた人も見たそうよ。気をつけて行きましょう」

ガレナ 「巨大な生き物?」

ナント 「え? なんかやばそう」

ミァンティール 「それはあまり嬉しくない知らせではありますね」まぁ魔域出てたって言うしねぇ。

ヤーン 「森の中ならギーさんも出れるし、探索の目は多くできるけど……それが遺跡を根城にしてたら困るねぇ」

フロワ 「いきなり魔神がでたって報告よりはマシか……と思ってましたけど、そんなデカいとなると雲行きが怪しくなってきましたね」

ナント 「……大丈夫なのかなあ」やや不安な顔をしつつ。

インニェラ 「ま、巨大な影の噂があったんで帰ってきましたじゃ仕事にならないわ。遺跡に入れないにしても正体くらいは報告できないとね」

ガレナ 「そもそもの依頼は討伐ではなく探索、調査だしな。そのあたりも含めての仕事だろう」

GM さて、君たちがそんな話をしているとな、少し離れた広場の方で言い争うような声が聞こえてくるぞ。

ナント おや。

ガレナ あら。

インニェラ 戦だ。

GM どうやら冒険者同士がモメているようだな。見たところ、剣士と拳闘士のようだ。

ヤーン 「ありゃ~」

インニェラ 「おっ喧嘩だ喧嘩だ。混ざる?」

ヤーン 「ニェラぁ~」

GM/剣士 「あそこでお前がああしてりゃあこんなことにはならなかったんだよ!」

GM/拳闘士 「なんだと! やるのか‼」

ガレナ 「なんだなんだ、ケンカか? 朝から血気盛んなことだなあ」

インニェラ 「そうだそうだ! 言ってやれーっ」

フロワ 「先輩! いきなり治安最悪の発言ですよ!」

インニェラ 「人間には拳でないと解決できない問題があるわ」

ガレナ 「そういってあなたから出てくるのは火の玉だって俺は知ってる」

インニェラ 「拳だと殴り返されるかもしれないけど、私の火の玉を殴り返せる人間はそうはいないわ」

GM そりゃそうだろうよ!

ミァンティール 相変わらず火力の高い発言だなぁインニェラは。

フロワ 「しかし、このままってわけにもいかないだろう、ちょっと仲裁くらいは……」向かおう。

ガレナ 「あっフロワ! ……物好きだなあ。しょうがない、このままじゃケガ人も出そうだ。話だけでも聞けないか行ってみるよ」

ナント え〜〜〜という顔をしつつも心配なので一緒に向かう。

GM 新人3人が仲裁に入ろうとするが、"冒険の紋章"もつけていない君たちの言うことを、興奮状態の中堅冒険者が聞き入れるわけもない。

GM/剣士 「ああ⁉」

GM/拳闘士 「なんだてめぇら! 外野はすっこんでな‼」

インニェラ そうだそうだ! すっこんでろ!

ガレナ やめて‼

ナント インニェラさん?

フロワ 「いいから落ち着きなさい。ここでやりあっても双方の利益にはならないでしょう?」

ガレナ 「そうですよ、諍いによる繋がりほど悲しくむなしいものはありません。」

ナント 「そうそう。こんなところでやりあうと目立ちますよ〜。もうちょっと落ち着いてお話しましょう〜」

GM/剣士 「うっっるせえ! ほっとけって言ってんだろうが‼」

GM/拳闘士 「だいたい、冒険者でもねえやつに俺たちのことが解るかってんだよ‼」

インニェラ そうだそうだ! てめえの振った1ゾロの数だけ指の骨を折ってやる!

GM (笑)

ガレナ どっち側なんですか‼ もどってきて‼

ナント 「いや〜……はは」冒険者なんだけどなあ、という顔をしています。

ガレナ 「……まだあれ、ギルドから受け取っていないからなあ」

インニェラ 行かないのお? という目ででかドラケンを見ているが……。

ヤーン インニェラの視線には「ボクが行くとさぁ」って顔でしょんぼりしてます。

インニェラ 「(肩をすくめる)……ほら、ちょっとあんたたち! いつまでぎゃんぎゃん言ってるの」

GM 割って入ってきたインニェラを見て、言い争いをしていた冒険者は驚いた顔をするぞ。

GM/剣士 「うおっ⁉ アンタ、もしかして軌条の羽撃き亭のインニェラ⁉」

インニェラ 「うちの後輩にあんまり見苦しいところ見せないで頂戴!」

GM/拳闘士 「後輩? つうことはこいつらも冒険者ってことか」

インニェラ 「いっぱしの冒険者なら騒ぎを起こすべきじゃないって解ってるでしょ。一人前なら町中で喧嘩なんてしないでよね……」

GM インニェラの言葉に冷静になった剣士と拳闘士は、バツが悪そうな顔をしているぞ。

フロワ 「何があったかだけでも聞かせてもらえませんか」

GM フロワの問いに、冒険者たちは素直に事情を話してくれるぞ。


【戦士と拳闘士の話】

 一昨日オーロラが出てな、馴染みのやつとPT組んで、近くに"奈落の魔域"が出ていないか調査してたんだよ。そんでまあ、森の中も見ておこうってなってな。中に入ったはいいが魔物に襲われちまったのさ。不意打ちだったもんで陣形もガタガタ、ヒーラーが大怪我負って敗走した……ってわけだ。情けない話だろ?


ガレナ 「それは災難でしたね、近くにいらっしゃるなら治癒の術を施すこともできますが……その方はもう大丈夫なのですか?」

GM/剣士 「仲間は神殿で診てもらってる、問題ない」

GM/拳闘士 「新人相手にカッとなってすまなかったな」

フロワ 「いえ、こちらこそすみません。」

インニェラ 「そうよ、悪い見本見せないで頂戴……にしても運が悪かったのね。何事もないことを祈ってるわ」

GM/剣士 「ああ。お前らも東の方へ行くなら気をつけろよ」

GM/拳闘士 「まだ新しく出現した"奈落の魔域"は見つかってないからな」

ナント うっという顔をした。

ガレナ やさしいじゃん……。

ヤーン 「情報ありがとう~」

GM 冒険者2人は仲間が治療を受けている神殿へ向かっていったよ。

ヤーン 「……仲間が大事だからこそ喧嘩したんだねぇ。喧嘩まではしていいんだけどねぇ。ねえナントたち、ちょっと質問してもいいかな?」


【ヤーンによる”冒険者の不文律”についての質問】

 これから君たちも依頼を受けていくことになると思うけど、いつも上手くいくとは限らないよね。危ないこともあるし、もしかしたらさっきの彼らみたいに失敗して帰ってきて、喧嘩になったりしちゃうかもしれない。でも絶対に超えちゃいけない一線があるよね。それはなにか解ってる?


ナント 「絶対やっちゃいけないこと……」

ガレナ 「やってはいけないこと……か」

GM ダイスを振って思い出すことも出来る。冒険者レベル+知力Bで、目標値は8だ。

フロワ ふるだけふってみよう(ころころ)8!

ガレナ 私もふってみましょう(ころころ)15!

ナント (ころころ)……1ゾロ。あっ知らないです。

GM ナントは経験点50点な。

ナント はい……。

インニェラ よう稼ぐね!

ミァンティール なんとかならなかった。

GM なんともならんかったな……。

ガレナ なんとかして‼

GM ガレナ、フロワは、冒険者同士で互いに戦い合う(殺し合う)ことが最大のタブーであることを思い出した。

ガレナ ははあ。

ナント 「うーん……」腕を組んでうなっている。

ガレナ 「あー……あれだな、いつだか聞いた覚えがある、殺しはいけないと」

フロワ 「仲間同士で戦う事でしょうか」

ヤーン 「そうそう。口喧嘩はしても良いけどね。手を出すとお互い無事じゃ済まないかもしれないからねぇ」

フロワ 「……先輩方くらいになると殺し合いでなくても相当の被害が出そうですけど」あそこに火の玉なげるやつがおんねん。

ガレナ おんねんな。

インニェラ 私のことを災害か何かだと思ってる?

ガレナ ターゲティングはもってるんでしたっけ?

インニェラ ない!

ガレナ ないかあ。

GM 災害だなあ。

ミァンティール 「ちゃんと覚えてたみたいだね」判定成功組にえらいえらい。

ガレナ 「きっとそうなったとして、繋がりを自ら断とうなんてことは考えもしないさ」

フロワ 「そもそも益がないですからね。人の縁より貴重なものはないです」

ヤーン 「むこうが覚えてない、覚えてても守らない。なんてことだってあるかもだからねぇ」

ナント 「そうだなあ……、あんまりないようにはしたいし、自分もそうならないようにする。ヤーンありがとう」

GM さて、いさかいも無事に収まったな。じゃあ目的地に向けて出発するかい?

一同 はい!


 冒険者一行は、ゴケルブルクの北門を抜け、草原へと向かった。

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