2.冒険のはじまり

GM ではまず新人冒険者のみなさん。君たちはこの宿に所属してから、2回ほど依頼を達成している。だが最低限の実績がある冒険者である証、”冒険の紋章”をまだギルドから貰っていない状態だ。

インニェラ えらい! 2回もやって死んでない!

ナント やったー!

ミァンティール 最初でダメになる子はダメになってしまうからね……。

ガレナ 期待の新人ってやつですよ。まかせてください。

GM 簡単な討伐とか、資材集めなんかをこなしましたね。ちなみに今日は宿代の代わりにとお願いされていたガラクタ集めをしていたよ。

ナント 一生懸命やりました。

フロワ 資材集めとか、冒険者ってこんなこともやるの? とよく解らない顔になってるとこです。

ヤーン 理想と現実の乖離、はげしいもんねぇ最初は。ただの雑用じゃん! ってなる。

ミァンティール そして場合うっかり命を落とす……(ものによる)。

ガレナ 現実は厳しかったな……それでも上機嫌でガラクタ拾って帰ってくると思います。

フロワ ガレナがぼとぼと落としてるガラクタを拾い集めながらついていくぞ。

ガレナ ありがとう。背が高いので足元まであまり注意が届かなくて……(ぼと……ぼと……)。

フロワ 俺だって背でかいんだよ! (190センチ)

GM いつ紋章を貰えるのだろうと思いつつギルドへ帰ってくると、冒険者ギルドの支部長であるアイゼンから声をかけられる。ここでアイゼンの紹介を少しだけ。


アイゼン(人間/男性/48)

元冒険者。そこそこ名の知れたマギテックシューターだった。18年前、依頼の最中に両足を失い、引退を余儀なくされた。

元パーティメンバーの勧めでギルド支部長になり、現在に至る。性格は温厚で人当たりがよく、面倒見もよい。義足はつけておらず、車椅子に乗って生活をしているので、常に膝掛けをかけている。

引退したとはいえ、射撃のスキルは衰えておらず、50m以上離れた的にも的確に弾を命中させることができる。


GM/アイゼン 「ガレナ、ナント、フロワ。おかえり」

ガレナ 「帰ったぞアイゼンさん!」

ナント 「ただいまー!」

GM/アイゼン 「丁度いいところに帰ってきたね」

フロワ 「ああ、アイゼンさん」

ガレナ 「……? ちょうど良い、とは?」

フロワ 「なんです?」

GM/アイゼン 「頼まれて欲しい依頼があるんだよ」

ナント 「ガラクタ集めるやつですか? 草抜いてくるやつですか?」

フロワ 「俺、下水道とかは嫌ですが……」

GM/アイゼン 「どちらも違うよ。今回は遺跡の調査依頼」

ナント 「え? おれたちで大丈夫ですか?」

フロワ 「先輩方ではなく?」

ガレナ 「インニェラを呼んでこいと言うのなら、すぐに連絡をとってみるが」

GM/アイゼン 「いいや、君たちであってる。そろそろ冒険者らしい仕事もしたいだろうと思ってね」

フロワ 「ガラクタ拾いからいきなり冒険者っぽくなりましたね」

ナント 「ようやく冒険者らしいことが……」

ガレナ 「ふむ? 俺たちもついにギルドの一員として認められる日がきたか! いや遅いくらいだな!」

フロワ 「ガレナ、まだ俺たちはまだ依頼を2回しかやってなくてだな……」

GM/アイゼン 「今回の依頼はね、鉄道ギルドからの依頼なんだよ」

ナント 「鉄道ギルド」


【鉄道ギルド】

 ドーデン地方全域に絶大な影響力を誇る国際組織。鉄道の管理や維持、開発を一手に担っており、人材育成も行っている。鉄道関係のトラブルを調査するための独自の組織を持っているが、今回は関係ないので割愛。詳しくはサプリメント「鉄道の都キングスフォール」を参照してほしい。


ガレナ 「……鉄道ギルドから、そりゃまたたいそうな所から」

GM アイゼンはカウンターの上に依頼書を置いた。


【鉄道ギルドからの依頼 遺跡調査及び資源回収(1300G)】

 ゴケルブルグ大公国から西に向かったところにある森の奥に、遺跡が見つかった。「探し屋」の話では魔動機文明時代の遺跡の可能性があるとのこと。内部は見ていないのにどのような有様なのかは検討がついていないが、さほど広い遺跡でもなさそうだという。

 このあたりでは珍しい未探索の遺跡のため、貴重な資源が見つかる可能性もあるので、どのような遺跡なのかを調査し、使えそうな資源があれば回収してきて欲しい。


ナント すげえ金がもらえる。

GM 今まで貰ってなかったような口ぶりだな。

フロワ おっ、よかったな。鉄道乗れるかもだぞ。

ナント 「久しぶりに草以外のものが食えるかもしれないぞ」

フロワ 「草以外のものが……」

ガレナ 「そうだなあ、そろそろナントとフロワにはちゃんとした肉を食わせてやりたいところだが……というか、本当に俺たちあてで良いのか?」

GM/アイゼン 「あっているよ、ただ」

ガレナ ただ?

ナント うん?

GM/アイゼン 「ゴケルブルグあたりは”奈落の魔域”が比較的多く出現するから、新人にとっては要注意の地域なんだ」

フロワ やっぱり先輩たち向けでは!?

GM/アイゼン 最後まで話は聞くように。「”奈落の魔域”は個体差はあれど危険なものには変わりない。したがって、今回は君たちの先輩にあたる冒険者、インニェラ、ミァンティール、ヤーンの3人に引率として同行してもらおうと思ってる」

フロワ えっ、ついてくる。

ナント 大所帯だ!

ガレナ 「それはありがたいが……報酬はどうなる? 彼らに報いれるほどの話でもないんだろう?」

GM/アイゼン 「そのあたりは心配しなくても大丈夫。彼らにはこちらから話をつけてるからね」

フロワ 「あの人たち穏やかそうに見えて中身は爆弾みたいなものですし……」

GM そんな話をしていると、2階から先輩たちがおりてくるぞ。

ガレナ おっ2階の個室を根城にするものたちだ。

ナント もうきた。

インニェラ 「フロワ~~~なんか言った~~~?」

フロワ 「いーーーーーーーーーーーえ!」

ヤーン 「アイゼンさん、みんな来た~?」

ナント 「あ、先輩たちだ」

ミァンティール 「今日も相変わらずにぎやかそうで」とにこにこしている。

ガレナ 「噂をすればなんとやら、だな」

ナント ぶんぶん手を振ってる。

ヤーン ナントにぶんぶん手を振り返す。尻尾もぶんぶん。

ナント ヤーンの尻尾にも振り返す為に両手を振りました。

インニェラ 「誰が穏やかそうに見えて中身は爆弾のようでありながら、品があり気前がよくて実力があって美しいって? よろしい」

ミァンティール インニェラつよい(知ってた)。

ガレナ 「まってまって長い、なんだ? 爆弾も持ってくるのか? インニェラならそうだろうな」

フロワ 「そういうところがランクを下げているのではないかと……」

インニェラ 「ホホホ……」フロワの真横に座る。

フロワ 隣に眼はあわせないけどシッポがぼわぼわになってる。

GM/アイゼン 「やあインニェラ、ミァンティール、ヤーン。いま君たちの後輩に依頼の説明をしていたところだよ」

インニェラ 「説明を聞いたなら解ってると思うけど、私達は付添みたいなものよ。爆破も調査も貴方達がメインでやるの。そうよね?」アイゼンに視線を向ける。

GM/アイゼン 「そのとおり。爆破はしてほしくないけど、調査は君たち新人がメインで行ってもらうよ」

ミァンティール 「だから最初からぼく達をアテにして、って事はできないとは思ってね?」調査とかの仕事面に関してはね。

ナント 「爆破はしない。調査は俺たちが頑張る。なるほど」

フロワ 「先輩がいるとはいえ、おんぶにだっこ、というわけにはいきませんか……」

ガレナ 「話は通してあるといっていたが……本当に良いのか? そちらも暇と言うわけではないだろうに」

ヤーン 「後輩育成も大事なお仕事なんだって。弟できたみたいで嬉しかったけど、ちゃんと鍛えないと後々大変だもんねぇ」

GM/アイゼン 「彼らには適切な時に、適切な助力をしてもらうつもりだよ」

インニェラ 「ガレナにナント、貴方達だっていつまでもがらくた拾ってるわけにいかないでしょう? せっかく鉄道ギルドからの仕事よ、一発名を売ろうじゃないの」

ガレナ 「もちろん。俺が言っているのは、ただついてくるだけになって退屈しないか? ということだからな!」

ナント 「なるほど、お世話になります!」

フロワ 力加減できるのかな、この人たち……。

インニェラ とはいえ、先輩のほうが経験点に余裕があるので、調査用のBテーブルはこっちがしっかりとってるんですけどね。まあそのへんも含めて先輩風ということで……。

フロワ 調査向きなのはフロワと、ナントがちょっと……(どちらもスカウトレベル1)。

ガレナ そうなんですよね。私はBテーブルがないので。

GM そうそう。アイゼンはこう言ってるけど、先輩たちは先輩たちで調査をしっかりやってもらうよ。

ヤーン 「ボク、もともと調査は2人にお任せだけどねぇ」フロワの頭の上に顎のせとこっかな。髪の毛ふわふわそう。

フロワ あ~~(ふーわふわ)。

インニェラ 「まあ、私達には私達で別の理由もあるから気にしなくて大丈夫よ。例えば今10G一枚しか入ってない財布とか……」

フロワ 「インニェラ先輩、この間まで金貨袋いっぱいじゃありませんでした?」

ガレナ 「また酒か? それとも石でも買ったのか? そういえばゴーレムのつやが妙によくなったような……」

インニェラ つやつや佇むストーンサーヴァントの姿が見えている……。「ゴーレム可愛くしちゃったら請求書も可愛くなっちゃって」

ミァンティール 「まぁらしいといえばらしい、のかな?」おさいふ残高。

インニェラ 「まあまあ。そういうわけで首尾よくいけば感謝の気持ちはエールの2杯か3杯か4杯で構わなくてよ。ね、ヤーンにミァン」

ナント 羽振りがいいなあ。

フロワ 「俺にはよくわかんないですね、ああいうのに入れ込むの……」つやつやゴーレム横目で見てる。

フロワ 「でも俺らより強いんだろうな」

ヤーン 「強いよぉ。ボクの横にいるんだもん」

ミァンティール 「頼もしい前衛ですからね」こちら完全後衛だから、前衛は大事なのだよ!

ガレナ 「つやつやで強い……不思議なものだなあ、言葉も届かないが頼もしい仲間なのか」ゴインゴインと、こぶしでつつく。

GM/アイゼン 「それじゃあ、依頼受注ということで構わないかな?」

ガレナ 「皆がよければ」と頷く。

ナント 「はい! 頑張ります!」

フロワ 「ええ、先輩たちも逃がしてくれるつもりはないでしょう?」

インニェラ 「ないない。これを断るなら全員洞穴に放り込んで訓練しようとおもってる」

ナント あっこれ最初から選択肢がなかったやつ。

GM 君たちの返答を受け、アイゼンが依頼ボードに目をやる。

GM/アイゼン 「さて、それじゃあひとつ、君たちに質問をさせてもらおうか」


【アイゼンによる”冒険者の不文律”についての質問】

 今回までは僕の紹介で君たちに依頼を受けてもらったけれど、これからは依頼ボードを見て自分たちで依頼を決めるのが主になってくる。そこで気をつけなきゃならないことは分かってるかな?


GM これはアイゼンからの質問になります。依頼ボードを見て、気をつけねばならないことを探してみましょう。


 依頼ボード(★は他の冒険者が受注済み)

・ガラクタ集め(500G)★

・アローフッド討伐(1000G)

・ゴブリン討伐(1000G)★

・遺跡探索(1000G)★

・遺跡調査(1300G)


ガレナ 「受注済みのものを重ねて受注しないように……だろうか?」

GM/アイゼン 「そう、正解。ガレナよく覚えていたね。他の冒険者が既に受けている依頼をあとから受けてはいけないよ」

フロワ 「同じ依頼を受けても依頼者が困るわけだしな」

GM/アイゼン 「ただ、先に受けた冒険者が依頼に失敗したら別だけどね」

ナント 「なるほど」

ガレナ 「当然だ! なにせ俺たちはできる冒険者なので」

フロワ 「あまりそういう場面は見たことないですけどね。慣れた冒険者は自分の力量がわかってますから」

ガレナ 「しかし……なぜ貼りっぱなしになっているのか気になっていたんだが、そうか。失敗する、ということも考えられるんだな」しみじみとボードを眺める。

インニェラ 「まあ言われるまでもないでしょうけど……血の気の多い冒険者稼業同士、そういうことをしっかりやっていくのが大事なのよ」

フロワ 「……冒険者続けてたらそういうのもあるんだろうなあ」

ナント 「気を引き締めていかないと、なんだな」

ミァンティール 「まぁ、暗黙の了解という類は他にも色々とありますが」

GM/アイゼン 「有名になってくればギルドを介さない依頼を受けることもあるだろうから、その時はしっかり確認するようにね」

ガレナ 「いやあ~……世話になってるんだなということは分かった。こうした管理なんかはなかなか、な」

インニェラ 「お行儀よくしていかないとね、私のように……」

ヤーン 「ニェラはほんぽーすぎるんだよー」

フロワ 「……ノーコメントです」

ガレナ 「俺もそこはフロワと同意見だな」

インニェラ (杖でスッ……とフロワの尻尾をなぞる)(ジ……とガレナを見る)

ガレナ 「……依頼主は鉄道ギルドだったな、乗車の手配は整えてもらえるのだろうか?」すい……と目をそらす。

フロワ 「オウ……」ぞわぞわしてる。

ナント なにも言わずに見守っています。

ミァンティール やりとりをにこにこ眺めている。

ヤーン にこにこ。

GM/アイゼン 「依頼の補足をしておくね。目的地はここからだとそこそこ遠くてね、目的地がある地域までは列車を乗り継いで行くことになる」

インニェラ 「いいわね、魔動列車の旅。キングスレイ様々だわ」

GM/アイゼン 「往復の切符も用意してもらってるから、無くさないようにね」アイゼンは全員分の切符を取り出して1人ずつ配っていくぞ。

ヤーン 「ギーさんの荷車も気持ちいいんだけどねぇ~、列車楽しみ~」

GM/アイゼン 「サウスロンド駅から乗車して、キングスフォールのグランドターミナル駅で下車。そこからドーデン横断鉄道に乗り換えて、ゴケルブルク大公国まで行ってね。そのあとは徒歩で現地に向かってもらうことになるから、野営の準備はしっかりしていくようにね」

ナント 「わかりました」切符をしっかり握り締めよう。

ガレナ 「それはありがたい! 列車に乗るというのも久方ぶりだな」

フロワ 「はい」ガレナとナントを心配そうに見ている……。

ガレナ 「……なんだフロワ、何か言いた気だが?」

フロワ 「……切符、落としそうなら俺に預けてもいいからな」

ナント 「……」誰かについていけばいけるな! って顔をしてる。

ガレナ 「心配無用だフロワ、俺を誰だと思っている。ストラスフォード神官だぞ? グランドターミナルまでしか行った事はないが!」

ナント 「切符は大丈夫。道のりはちょっと、だいぶ、不安」

フロワ 「………」ますます不安そうな顔で同輩たちを交互に見ている。

ガレナ 乗り換えに探索判定が必要ならだいぶ心配だなと私も思っています。

GM (そう言われると入れたくなっちゃうんだよなあ……。)

ヤーン 「ややこしいんだよなぁ列車……乗るまでが。でも大丈夫だよぉナント君。あのね、駅だけの必殺技があるんだ」

ナント 「必殺技」

ヤーン 「駅員さんに聞くと最強だよ~。連れてってもらったらもっと最強だよ~」にこにこ。

ミァンティール 至極まっとうなアドバイス。

ナント 「!! はい!」

フロワ 「それは確実ですね。無人のところでなければほぼほぼ通じる」

ガレナ 「それだ、さすがだなヤーン。まずは駅員を探すことにしよう」

フロワ 「そう、人に……頼りなさいね」同輩にやわらかくいう。

ナント 「わかった」フロワに力強く頷く。

フロワ 「とはいえ、明らかに田舎者丸出しでいるとそういう人をひっかける詐欺もあるので気を付けて」

ガレナ フロワがやさしい目で見てくる……。

インニェラ このあたりでは鉄道は普及しているはずなのですが……。

GM 復旧してるはずなんだけど、おかしいな、あんまり乗る機会なかったのかな……。

インニェラ 赤ちゃんみたいな人間が集まってしまっているな。

ミァンティール SW2.5の世界観というか土地に慣れてないからなPLが……。

ヤーン 無人駅ないんじゃないかなぁ? 蛮族とかいるし、無人だと危ないと思うし。

GM いや、あるにはあるんじゃないか? このギルドの近くにあるサウスロンド駅は妖精たちが無償で駅員をしてくれてるってだけで、書類上は無人駅なんだよ。

ヤーン すごいなぁ妖精の駅員さん。

GM ムリアンの群れからなる妖精たちが切符切りの業務などを行っています。

ガレナ ムリアンが!? かわいいですね……。

インニェラ ムリアンやだあ……。

GM やだじゃない!

ミァンティール ムリアンだぁ。妖精語わかるやったー!

ヤーン ミァンティールに通訳してもらおう。

GM この地域で魔神と妖精の争いがあったときに、人間が妖精側に加勢したという伝説があるらしくてね。その兼ね合いで駅員をしてくれているらしいぞ。

ヤーン なるほどー。

ガレナ 駅員さんがどんな種族でもティエンスなら道を聞けるんですね?

GM そうだね、【通じ合う意識】は共通の言語を取得する必要はないね。ただ1分しか疎通出来ないけど。

インニェラ ムリアン、道を教えてくれるのだろうか……(ムリアンへの信頼度)。

GM 妖精だからなぁ、鵜呑みにしたら痛い目見そう。

インニェラ 「まあ迷子の心配もいいけど……前情報は場所だけかしら。森の周辺の様子や近所の人からの聞き取りの話はない? 中を調べて危険や資源がないかを確認すればいいのね?」

GM/アイゼン 「そう、依頼内容は調査と資源回収。森周辺の地図は探し屋が作製したものがあるよ。この地図に沿っていけばたどり着くはずだから、無くさないようにね」インニェラに地図を渡すよ。

インニェラ 「はあい」一瞥したけど流れるようにガレナに渡した。

フロワ 「地図……地図かあ。当たり前ですけど、地図だけじゃ現地の事ほとんどわかりませんね」

ガレナ 「そうだなあ、フロワの言うとおり、場所以外に何か情報はないのか?」受け取った地図をくるくるまわす。

インニェラ 「ゴケルブルク大公国まわりは……奈落が名産みたいなところあるわね。気をつけたほうがいいわ」

GM/アイゼン 「インニェラの言うとおり、”奈落の魔域”は他の地域に比べると多いほうだね。よって、周囲の状況も変わりやすいということだ。今持ってる情報がすでに古くなっている可能性もあるから、周囲の情報に関しては列車の中か、ゴケルブルグ内で聞き込みをしたほうがいいと思うよ」

ナント 「はーい!」

GM いい返事。

インニェラ 「さ、じゃあいつ出発する? 当然支度はできているでしょうね」

ヤーン 「がらくた拾いから帰ってきたばっかりだし、ちょっと荷物確認した方が良いかもしれないよ~?」

ミァンティール 「消耗品の補充など、先でいつでもできるとも限りませんからねぇ」

フロワ 残りのガラクタ全部きっちり片付けてきた。

ガレナ 「…確認するほど荷物があればよかったんだがな、あいにくそういうわけでもなく こちらはすぐにでも発てるぞ」

フロワ 「もちもの…」(殆ど中身のないかばんを確認する)(閉じる)

ガレナ 「なにせ先の仕事の支度を整えるのに資金が底をついたからな!」

ナント 「大丈夫〜! 確認するほどものがない」

フロワ 「ええ、俺サイフなくても大丈夫ですよ、所持金0なので」

ガレナ 「フロワ、ナント、薬草はどれくらい残っている…?」空っぽのポッケを裏返す……。

ナント 「ちょっとある」出してくる。

インニェラ 「……しょうがないわね、はいこれ」魔香草を2束取り出してガレナに握らせる。

ガレナ 「え……!? そんな、これは大丈夫な草か?」

インニェラ 「要らないんならいいけどお~!?」

ガレナ 「いります! いります!! ありがたく使わせて頂きます!!」

ナント 「先輩〜〜太っ腹〜〜!」

インニェラ 「宜しい。あなたそっちの生命線なのよ、しっかりなさいね」

インニェラ 手荷物から魔香草2本ガレナに譲りました。

ガレナ ありがとう! インニェラから魔香草を2つ受け取りました。

GM 了解しました、持ち物欄を更新しておいてね。

ミァンティール 一応こちらも魔香草いくらか買ってきてるから、必要あったタイミングでインニェラに提供というか焚いてもらおう……。

フロワ 「うーん、こうして少額で後輩に恩を売っていくんだ……」

インニェラ 「そうよ、高くつくわよ」

ガレナ 「……」

ナント 「そういう」ひえっ。

ガレナ 「やっぱこれ返……」

ヤーン 「ボク、割とニェラの草ちょこちょこ食べてるけどせーきゅーされてないよ?」

ガレナ 「本当に? 信じるぞ、ヤーン」

フロワ 「ヤーン先輩のは人徳なので……」

ヤーン 「人徳~? なのかなぁ?」

フロワ 「ヤーン先輩は前衛のまさに盾ですから。請求されるべきものを既に日ごろから支払ってるんですよ、活躍で」

ガレナ 「なるほどな、それは一理ある……」

ヤーン 「そーなのかなぁ。そしたらフロワ君も頑張ってお仕事したら、チャラだねぇ。前衛頑張ろうねぇ」

フロワ 「ええ。ご指導ご鞭撻のほどよろしくおねがいします。ヤーン先輩」

ミァンティール やり取り見て、たのしいなぁってニコニコしている。

ガレナ 「というか、礼を言っていなかったな。ありがとうインニェラ」

インニェラ 「はいはい。さ、準備できてるなら行きますよ。列車にも時間ってもんがあるんだから」

フロワ 「はいはい、行きますよ」

ミァンティール 「依頼の同行とはいえ、少しわくわくしてきますね。列車の旅」乗車時間どんなもんなんだろう?

GM だいたいサウスロンド駅からグランドターミナルまではさほど無いと思う。キングスフォールからゴケルブルグまでは結構あるかもなぁ(地図をみながら)。

フロワ 「面白いもの見れるといいですね、ミァン先輩」

ミァンティール 「そうですねぇ」フロワの方にふふっと笑いかける。

フロワ 「(ミァン先輩、笑顔は可愛いのにな……)」

ミァンティール フロワに何だと思われてるんだろうな(笑)

フロワ 女の子じゃ……ないんでしょう?

ミァンティール そうですね美少年です。

GM/アイゼン さて、ここで思い出したようにアイゼンがナントに声をかける。「そうだ、ナント」

ナント 「? なんです?」よってく。

GM/アイゼン 「きみはマギテックだったね。装備はサーペンタインガンだけかな?」

ナント 「そうです」そうです。

GM/アイゼン 「そうか、じゃあ……」アイゼンはカウンターの壁にかけていた2Hガンをとり、机に置いた。

ナント 「?」なんだろうか。

GM/アイゼン 「これを君に貸してあげよう」

ナント 「えっ、いいんですか??」

GM トラドールだ。2H装備で射程は30m。

ミァンティール これは熱い展開では。

GM/アイゼン 「構わないよ。僕のお古だけどね」

ナント 受け取って、はわ……としている。「んん、では、お借りします……。壊さないで返せるように頑張りますね……」

GM/アイゼン 「使い慣れてない銃だし少し戸惑うかもしれないけれど、役に立つかもしれないから保険として持っていくといい。頑張ってらっしゃい」

ガレナ 「……お、良かったじゃないかナント。人と物、物と人が繋がり、こうして継承されていくのだな」

ナント 「うん」嬉しいな。「ご期待に応えられるようがんばりますね!」

ヤーン 「期待されてるね~よかったね~。ボクも応援してるからねぇ」にこにこ。

GM こうして新人たちは、冒険者になって初めて、冒険者らしい依頼をうけることになったのだった。

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